かつて、河川の改修工事においては、流れをまっすぐにして、川底や両側をコンクリートで固めてしまうのが一般的でした。
これは合理性のないことではありません。
洪水対策という意味では、できるだけ早く水を海に流すことが効果的なので、直線化やコンクリートで固めることは意味があります。
しかし、一方で、直線化をして、コンクリートで固めてしまうと流れの緩やかなところにしか住めない生物はいなくなります。また、植物も生えにくくなり、植物が生えていてこそ住める水中動物も住めなくなります。そのようにして、生物多様性が失われてしまいます。
そこで、近年は、河川の改修においても、逆に曲線的な流れを復活したり、土を使って島のような部分を作ったりして、自然の状態に近い河川にしていこうという考え方があります。
もちろん、洪水防止などの機能は大事なのですが、生物多様性はかけがえのないものです。
豊かな自然と、災害防止を両立した技術、計画が求められていると思います。