◆12月半ばから本格的に年を越す準備がはじまりました!
こんにちは、山村です!
このところ、厳しい寒さが続いていますね。
今日、12月21日は冬至
1年で昼が最も短い日です。
冬至は、小豆粥やカボチャの煮ものを食べて、
柚子湯に入るのが昔からの日本のならわし
今も続く伝統行事です。
1年の締めを迎えて、
慌ただしいのが現代の年末ですが、
江戸時代の女性たちは、
どんな12月を過ごしていたのでしょう
今回は、浮世絵に描かれた年末の行事を
ご紹介します
新しい年を迎えるための大きな行事といえば、
まずは煤払い
つまり大掃除です。
江戸では、旧暦の12月13日に、
江戸城で毎年、
煤払い(すすはらい)がおこなわれていて、
武家も庶民も同じ日に、
大掃除をするのが決まり事でした。
掃除は一日では終わらず、
数日かかることもあったとか
家をきれいにして汚れを払うのは、
年神さまをお迎えする準備だったのです
下の写真は「千代田之大奥 御煤掃(部分)」。
姐さん被りにたすき掛けをした、
江戸城大奥の女性たちの、
大掃除の様子が描かれています。
(国立国会図書館所蔵)
大掃除が終わると、
年末にかけて餅つきがはじまります。
お金のある商家などでは
家で餅をついてもらいましたが、
長屋住まいの庶民はそうもいかず、
餅屋や菓子屋から買っていました。
下の写真は、大きな商家の餅つき。
広い土間で餅をついていて、
ここでも、女性たちが忙しく働いています
「十二月之内 師走餅つき」 三代歌川豊国画 安永1年[1854] (国立国会図書館所蔵)
左端のむしろの上に並んでいるのは、
のし餅や、かき餅にするなまこ餅
西日本の丸餅に対して、
東日本はのし餅を四角に切りわける文化。
のし餅が少し固くなるのを待って、
切るんでしょうね
よく見ると、左下にはおろし金と大根が
鉢の中には、
すりおろした大根が入っているのでしょう。
みんなで、つきたての餅に
おろし大根と醤油をかけて、
辛味餅にして食べる風景が目に浮かびます
最後に「十二月之内 師走餅つき」の
化粧をまとめてみました
働く女性たちの中で、一番右の女性は
お歯黒をつけています。
つまり既婚者ということですね。
そして、まん中の幼子を抱いた若い女性は、
歯が白く、眉もあり、
ヘアスタイルは島田髷
これらは、いずれも未婚女性のしるしです。
この商家のお嬢さんでしょうか
牙を赤く染めて模様を描いた
柳川櫛に鼈甲のかんざしなど、
裕福な家ならではの高価な髪飾りをつけています。
一方、幼子の髪型は唐子(からこ)
幼児の時は女の子でも、
このように頭の両脇と後頭部の一部を残して
剃りあげていたのでした
男の子もそれほど髪型は変わりません。
現代ではありえない、残念なヘアスタイルです
幼子が手に持っているのは、餅花
柳やヌルデなどの木の枝に、
小さくちぎった餅を丸く巻きつけたものです。
餅花は、招福の意味を持つ正月飾りでした。
働く女性たちの中で、
唯一子どもがいるとわかるのが、
一番左の餅をこねている女性
眉がないので子持ちの女性とわかります
ただし、浮世絵の約束事として、
20歳以上30歳以下ならば、
既婚女性であっても眉を描いてよい、
という不思議なルールがありました。
(当時の20~30歳といえば、
結婚して子どもがいるのが普通)
その理由は眉がないと老けて見えるから
浮世絵は売り物なので、
眉のある若い美人の絵の方が
売れ行きがよかったのかもしれません。
子どもができると、
女性は眉をそり落とすのがルールだった江戸時代。
眉は若さのシンボルでもあったのです
次回は12月30日頃更新予定。