平成の化粧モノがたり 8. 香りは軽く。マリン・緑茶系の香水が流行した1990年代! | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆プワゾンのような自己主張する香りから、癒し系、ユニセックス系の香りに!

 

こんにちは、山村です!


今回は、平成前期、

90年代に流行したフレグランスについて。

 

フレグランスは、

人の嗅覚に訴える化粧品ですが、

目には見えない香りにも、

時代ごとの流行がありますビックリマーク

 

たとえば昭和末期、

1980年代のバブル全盛期に流行したのは、

女性の存在感をしっかり主張する香りでした。


代表格は、ディオールのパルファム

「プアゾン」(1985年発売)。


覚えている人も多いでしょうが、

「プアゾン」は、濃厚でセクシーな大人の香り。

甘くて強烈で、好き嫌いがはっきり分かれる

商品でした香水

 

でも、その「あく」の強さが、

女性の社会進出が進んで、

「元気印の女性たち」が表舞台に出てきた

バブル期に、妙にフィットしていたのも事実ですハイヒール


銀座通りを歩いていると、どこへ行っても

「あっ、またプアゾンだ!」とわかるほど、

多くの女性がつけていました爆  笑


しかし、90年代のバブル崩壊とともに、

80年代の濃厚な香りはどこへやら、

香りの傾向は、

癒し系、ユニセックス系へとシフトしていきました。

 

香りの強さの嗜好も、

パルファムからオードトワレやオーデコロンへと、

より軽い香りが好まれるようになったのです。

 

80年代に流行した濃厚な香水が、

そろそろ飽きられたという理由も、

もちろんあります。

 

90年代はバブル崩壊を受けて、

癒しやリラクゼーションが

注目された時代でした。

それがフレグランスの好みにも反映された

というのも大きな理由と考えられます。

 

また、90年代にはファッションが、

ベーシックで着まわしのできる

リアルクローズ路線へと変わったので、

香りもそれに合わせて、

カジュアル化したともいえるのですTシャツ


そんな90年代を代表するフレグランスで、

まずあげられるのが91年発売の、

ジバンシー「プチサンボン」ドキドキ

 

フランスでベビー用フレグランスとして

開発されたにも関わらず、

日本では、石鹸の香りといわれて、

90年代半ばに女子高生や若い女性の間で

大ヒットしていますラブラブ

 

92年発売のイッセイミヤケ

「ロードゥ イッセイ」も、

90年代を代表するエポックメイキングな

オード・トワレでしたキラキラ

 

新しい香料カロンを使い、

水をイメージしたこの香水が

世界中でヒットしてから、

マリン系、オゾン系などといわれる、

メロンやスイカのような水っぽい香りが

世の中を席巻したのです。

 

私自身は、

このマリン系の香りがすごく苦手でしたが、

周囲でつけている人は多かったですね。


1993年発売のブルガリ

「オ・パフメ  オーテヴェール」も、

それまでなかった緑茶の香りを

イメージした癒し系オーデ・コロンでした。


写真は、ブルガリの

オ・パフメ オーテヴェール(右)と、

オーテブラン(左)。

 

2015年にリニューアルする前の商品です。

オーテヴェール(右)が、

最初に発売された緑茶の香りを

連想させるフレグランス。

 

でも、緑茶そのものは使われていませんでした。

 

オーテブラン(左)は、

白茶(ホワイトティー)の香りで、

ユニセックス対象(2003年発売)ビックリマーク

 

 

ユニセックスといえば、

90年代は、ユニセックスのフレグランスが

人気になった時期でした。

 

仕事でも、プライベートでも

男女同権意識が高まったのが90年代。

男性の香りと女性の香りの境界を

なくした商品が登場しています。

 

元祖といえるのが、

94年発売のカルバンクライン「ck one」!!

トップがシトラスの香りからはじまる

さわやかさで大ヒット音譜

ペアフレグランスとして、

男女の区別なく使えるという触れ込みでした。

 

国内メーカーも後を追いかけ、

資生堂も96年には、

ユニセックスを意識した「ビバーチェ×2」

というコロンを発売していますキラキラ

 

フレグランスは、それまで日本では、

不毛の市場とみなされていましたが、

急激な円高の恩恵もあって、

90年代なかばには、輸入品が伸びていました。

 

でも結局、平成が終わってみれば、

日本では、フレグランス市場は

それほど成長せず、

フランスのようにフレグランスを楽しむ文化は、

定着しなかったといえます。

 

ル・モンド誌は、2017年に、

日本を「香水砂漠」と評しているほどショボーン

 

日本人の清潔志向、夏の湿度や通勤環境など、

背景にはいろんな理由があるのでしょうが、

横並びをよしとする文化では、

香りで突出するのはNGなんでしょうね。

 

平成中期以降の香りの流行は、

改めてとりあげたいと思いますビックリマーク

 

次回は、8月21日頃更新予定。