江戸時代にはムクロジの実を石鹸がわりに使いました! | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆ムクロジを使って泡立ちの実験をしてみました!

 

こんにちは、山村です!

 

今回は、江戸時代の化粧に関する実験編。

 

前回の再現では、

米ぬかの洗顔を試してみましたが、

今回は江戸時代に用いられた

ムクロジについて紹介します。

 

ムクロジというと、普通の人は、

まず耳にしない植物です。

 

4月に神代植物公園に行って

ムクロジの木を撮影したのですが、

そもそもが15~20mにもなる落葉高木ビックリマーク

 

公園のムクロジも、写真のように、

首が痛いほど見上げる高さになっていました。

左下に、緑の若葉が生えているのが

わかりますかはてなマーク

 

 

写真の上の方の枝には、

昨年秋の小さな実がまだ残っています。
初夏に花をつけ、

秋に黄褐色に熟すこの実の皮を、

江戸時代には石鹸の代わり使っていました。

 

ムクロジの実には、

天然の界面活性剤サポニンが

多く含まれているので

世界中で石鹸や洗剤として使われてきたのです。

英語でもムクロジはsoap nuts、

まさに石鹸の実です爆  笑

 

公園の人にお聞きしたところ、

年中実が落ちているという話でしたが、

4月だからかさすがに少なく、

3個だけ拾えました。

 

 

写真がムクロジの実。
右側の2つは、まだ少し柔らかく、

左は乾燥していて褐色でした。

 

まん中の下にあるのが黒い球が種子。

右側の実の中から取り出しました。

この黒い球は、数珠(じゅず)や、

羽根つきの羽根の球にも使われています。

 

享和3年(1803)に出版された

『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』

には、ムクロジ(無患子)について、
「その外皮を俗にシャボンと呼び、

油汚れの衣を洗うに用ゆ」

と記述があります。

 

「顔を洗う」とは書いてないので、

どうやら洗濯用だったようです。

 

サポニンが多く含まれている

ということは、

これを水と混ぜて振ると、

石鹸のように泡立つはずビックリマーク

と考えて、実際に試してみました。

 

実を2つ、下の写真のように、

種を取り出して外皮を刻みました。

刻む段階で、手がベトベトして、

独特の匂いがします。

 

 

それをガーゼで包み、

下のように100ccの水を入れたカップに入れ、

一晩浸します。

 

 

次の朝になると、

水が下のように黄色っぽく濁っています。

さらに、少し揉みました。

 

 

これをペットボトルに入れて、

思いっきり振ると、

下のように、しっかり泡立ちましたびっくり

 

 

まさにシャボンです!!

量が少ないので、

何かを洗うまでは至りませんでしたが、

現在ムクロジは、

エコ商品の純植物性石鹸として、

インターネットでも販売されています。

 

しっかり乾燥させたムクロジを、

布袋に入れて洗濯に使う場合、

4、5キロの洗濯物で、10個程度が目安とか。

 

泡で手を洗ってみると、

さっぱりした感じですが、

実をしっかり乾燥させてなかったせいか、

独特の匂いがありました。

つっぱるわけではないけれど、

しっとりはしません。

 

洗顔に用いるなら、ぬか袋の方が、

しっとり感とツヤ感が出てgoodです!!

 

ムクロジは洗濯に、

ぬか袋は顔やからだ用にと、

江戸時代の女性たちは、

繊細に使い分けていたのですニコニコ

 

米ぬかの洗顔については、

下の回で紹介しています。

 

興味のある方は、見てみてくださいドキドキ

 

 

次回は6月30日頃更新予定。