100年以上のロングセラー化粧品 ④ 資生堂オイデルミン | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆「資生堂の赤い水」とよばれた化粧水!

 

こんにちは、山村です。


これまで3回続けて、

ロングセラー化粧品を取りあげてきましたが、

ロングセラー化粧品を語る上で、

忘れてならないのが、

資生堂のオイデルミンです。


福原有信が、日本初の洋風調剤薬局として、

資生堂を創業したのが、

明治5年(1872)年。

 

明治21年には、日本ではじめて、

半練りタイプの歯磨き粉

「福原衛生歯磨石鹸」を発売しました。

 

歯磨き粉は、江戸時代には、

千葉県で産出する磨き砂、

房州砂(ボウシュウズナ)に、

ハッカなどの香料を加えたものが使われていました。

 

明治初期に欧米に歯磨き粉の処方が導入され、

炭酸カルシウムなどの細かい粉末になったのですが、

それをさらに改良して練りタイプがつくられたのです。

 

資生堂の練りタイプの歯磨きは、

粉が飛び散らないのでよかった、

といわれています。

 

創業当初から、資生堂が、

新しい商品の創造に意欲的だったことが

うかがえるエピソードです。

 

そして、明治30年(1897)、

資生堂が初めてつくった化粧品が、

「オイデルミン」という化粧水でした。

 

処方を見ると、アルコールやグリセリン入りの

西洋処方の化粧水で、色が赤いところから、

「資生堂の赤い水」と呼ばれたとのこと。

 

下の写真は、現在の「オイデルミン」。

肌の汚れを落とす、ふき取り用の化粧水です。

 

私も使ってみましたが、

とてもさっぱりした使い心地でした。

 

商品説明には、
「クレンジングクリームを使った後や、

朝の簡単な洗顔にお使いください」

とあります。

 

確かに、クレンジングのあとに使うと、

べたつきがすっきりしました。

 

色はきれいなピンク色で、

税込540円とお手頃価格音譜

 

 

下の写真は明治38年の読売新聞に掲載された

オイデルミンの広告ビックリマーク

 

 

ボトルのデザインは変わっていますが、

よく見ると、ボトルに貼ってあるラベルは、

昔の面影を色濃く残しています。

リボンのついたボトルがキュートドキドキ

 

オイデルミンの文字が、

アルファベットで書いてあるあたりが、

西洋文化を取り入れた、

ハイカラなイメージをかもし出しています。

 

リボンをつけるのも、

同じ頃のヨーロッパの化粧品にみられる

意匠でした。

 

「本品は貴婦人令嬢方、御常用に適し」

とありますが、色といい、形といい、

このかわいらしさなら、

流行に敏感な当時の女学生の間でも、

話題になったことでしょう。

 

実は、資生堂のオイデルミンは、

もうひとつあります。

発売から100年経った1997年に、

処方を変えて、

新しいオイデルミンがつくられました。

 

新しいオイデルミンは、ふき取り用ではなく、

新保湿成分を配合した高機能化粧水。

 

ボトルの色が真っ赤で、

インパクトのあるデザインになっています。

 

オイデルミンの変遷については、

資生堂の公式ウェブサイトで紹介されています。

興味のある方は、以下のURLをご覧ください。
https://www.shiseido.co.jp/eudermine/history.html

 

資生堂は、戦後、メキメキと売り上げを伸ばし、

今では国内化粧品業界1位のメーカーとして、

業界をリードしています。

 

次回は、2017年1月に復刻された、

資生堂七色色白粉について。

 

10月11日更新予定。