江戸時代の洗髪 ① 回数と洗髪料 月に1~2回、海藻が原料の「ふのり」で洗いました。 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆水道や温かいお湯の出るシャワーもない時代、洗髪は大変だったのです!

 

こんにちは、山村です!

 

今日のテーマは、

江戸時代の洗髪事情ビックリマーク

 

結髪文化が花開き、

数百種類もの髪型があった

といわれる江戸時代。

女性は、いわゆる

日本髪を日常的に結い上げていました!!

 

未婚女性の島田髷、既婚女性の丸髷、

公家など身分の高い女性が結ったおすべらかしなど、

江戸時代は髪型も化粧と同様、

身分や未既婚の区別をあらわしていたのですニコニコ

 

「黒髪は女の命」だった江戸時代ですが、

そのケアとなると、ほとんど知られていません。

結い上げた髪は、

いったいどのくらいの頻度で、

何を使って洗っていたのかはてなマーク

 

江戸と京阪の風俗を記した

『守貞謾稿(もりさだまんこう)』

1837-53)によると、

洗髪回数は月に1~2回。

 

夏場はもう少し多くなるとも書かれています。

 

現代と比べると格段に少ないですが、

それには理由があるのですビックリマーク

 

江戸時代の庶民の家に内風呂はなく、

風呂は銭湯通い。

ただし銭湯では洗髪禁止でした!!

 

というのも、

蛇口をひねれば水が出る現代と違い、

当時の水は貴重品波

沸かした湯を、ひとりでたくさん使う洗髪は、

もってのほかだったからですビックリマーク

 

髪を洗うには、井戸や水汲み場で、

水を汲んで自宅まで運び、

湯を沸かすところからはじめます。

 

当然ドライヤーもないわけで、

長い髪を洗って

自然乾燥させること自体が大仕事でしたドライヤー

 

洗髪の頻度が少ない背景には、

そうしたやむを得ない事情があったのです。

 

寒い冬など、どうしていたのかと考えただけで、

つくづく現代に生まれてよかったと思います。

 

江戸時代を代表する美容書の

『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』によると、

当時、洗髪料として使われたのは、

布海苔(ふのり)(海藻の一種)とうどん粉でした。

 

『都風俗化粧伝』の洗髪プロセスをあげると、

まず熱湯で溶かした布海苔に、

うどん粉を加えます。

 

この混合物を熱いうちに髪にもみこみ、

熱い湯ですすぐと油汚れもとれます。

 

さらに水ですすぎ、よく髪を干すと、

髪色がよく、つやが出て、

臭いがなくなるというものでしたニコニコ

 

そう…、ひと月洗わなければ、

けっこう臭いはあったでしょうね。

 

布海苔は多糖類が主成分、

うどん粉のデンプンも多糖類。

 

どちらも汚れを吸着する性質があるので、

洗髪料として使われたのでしょう。

ちなみに布海苔は、

着物の洗い張りにも使われていましたビックリマーク

 

明治以降、

洗髪用の石鹸が発売されますが、

ふのりを用いた洗髪は、

昭和前期までは新聞、雑誌、美容書などで

紹介されています。

 

実際に、

ふのりとうどん粉(今回は薄力粉を使用)で、

洗髪料をつくって試した結果は

追って掲載する予定ですが、

次回は少し趣向を変えて、

春にちなんだ花と化粧に関するエピソードを紹介しますラブラブ

 

4月26日更新予定。