アメリカ、ネイティブインデアンの生き方は、精神性が高い。

菜根譚 前集 四二 


 意思の自由は神にも勝る 



もし彼が富の力で私を支配しようとするなら、私は仁の徳をもって対抗する。

 もし彼が地位名誉の高さで支配しようとするなら、私は仁義を大切にする道で対抗する。


 仁徳や仁義によってその地位に就いた君主や宰相は、富や名誉の力で権力を得た君主や宰相に負けてしまうことはない。


一、 権力の構造

1、 原理原則論を言えば、国民主権主義の下では、多数の国民が支持をした者が権力の座着くルールである。
   議会制度下では、多数党の党首が宰相。大統領制度下では、国民の直接投票によって決まる。

2、 戦後政治の実情は、戦国武将のように国盗り物語に近い。
   特に田中角栄総理誕生の背景は、地盤・カバン・看板の3バン政治と揶揄されていた。
   国会議員だけで採決される総裁選挙は、公職選挙法の適用はなく資金援助の額で面倒見が良い人が高い評価を得て支持者が増えることになっている。
   ともかく、カバンの力が何より強力であった。右の教えで言えば、「富の力で支配」である。

3、やがて今日では、資金を多額に配布したなら、あっという間にマスコミが公表して評価は上がるどころか地に落ちてしまう。では何の力が富よりも重視されているのか。

  少なくとも仁徳仁義であるとは聞かない。

  多数を獲得するエネルギーで言えば、派閥の大きさ数が物を言っている。派閥のトップに就任するためには、ほぼ世襲主義になっている。

  二世三世の議員が、父親、祖父の代からの世襲の信用力で小さな村社会の長を引き受ける仕組みが出来上がっている。

  小泉純一郎総理、安倍晋三総理しかりである。

  これは、右の教えからすれば、地位名誉の高さで支配するという手法に近い。


 こうした富や地位の手法をひっくり返し、仁義仁徳という価値観で権力を握ることを可能にする制度仕組みが欲しい。


ニ、歴史的権力ルール

1、 弱肉強食 戦国乱世の勝者勝ち残り制である。織田、豊臣、徳川と覇者就任。

2、 インデアン部族長選び パイプセレモニーによって選出された者が酋長となって全ての権力を握る。
   そのセレモニーとは、部族の屈強の若者が一同に集合する。一番の上座は年長の男性と決まっている。一番の男性からタバコのパイプを飲むことになる。年齢順にパイプは回される。自ずから年齢が大切という価値観が周囲を囲んでいく。何回かパイプは回され、次第に誰が酋長にふさわしいかの選定が明らかになって行く。三日ほどたつと年長者の間では、ほぼコンセンサスが出来上がり、最終的に最年長者が酋長を決定する。自分の指名もありうる。

3、クラインマザー  

  アメリカ独立戦争の前には、米国大陸には数部族が存在していた。その中で最も大きいイロコイ族の酋長選びは極めて合理的である。

 子供を二人以上生み育てた経験のある女性が集会で代表者を決める。

  その女性がクラインマザーになり、部族の青年の中から酋長を決定する。

  勉強ができる優等生で、素行の良い親の言うことをよくきく子供だった若者を酋長にしたと言う。

  しかし、それは平時のときだけである。時に戦争が起こる。その戦時になると、クラインマザーは、酋長を直ちに変える。

  その時は、勉強はさほどできないが、正義感と勇気のある友達の多い若者にしたと言う。

  確かに、平時と戦時では組織の長に期待される問題は異なる。

  平時の小渕、乱世の梶山、大乱世の小沢

 などと言われたことがある。まさしく政治は、一コマ一コマ違う問題が起こってくる。

  納得の話であります。


インデアンのパイプセレモニー



指導力のある指導者をいかにして選出するかは、それぞれの社会国家の最大テーマである。