代表質問と答弁概要

4 県南部・東部地域の振興について

 次に、県南部・東部地域の振興についてお伺いします。

 去る5月8日、民間の有識者らでつくる「日本創成会議」が発表した資料によると、20歳から39歳の女性の人口が2010年からの30年間で、50%以上減少する市町村が全国で約半数、県内では26市町村あり、将来消滅の可能性があると指摘されていました。

 昨日、森川議員から市町村の行政サービス提供の維持といった観点から質問がありましたが、私は、特に、過疎化・高齢化が進んでいる県南部・東部地域における取組についてお伺いします。
 
 県南部・東部地域では、振興計画の対象となっている19市町村すべてが、消滅の可能性のある市町村に含まれており、改めて、同地域を取り巻く厳しい状況を認識させられたところです。

 そんな折り、桜井市で、藻谷浩介さんの「里山資本主義の極意」という講演を聴衆しました。
里山には今でも、人間が生きていくのに必要な資源があるが、これはお金に換算できない大切な価値であり、それらを活かしていくことが、地域の活性化にもつながるという心強い内容でした。

 取り組み次第では、この地域の人口減少に歯止めをかけられるのではないでしょうか。加えて、最近では生活ライフスタイルの多様化が進み、田舎暮らしをしたいという若者も出てきているように聞いています。

 そこで知事にお伺いします。

本県の南部・東部地域の19市町村すべてが、日本創成会議のいう「消滅可能性都市」に該当するとされましたが、このことに対する知事の認識と、これらの地域の振興に向けた県の取組についてお聞かせください。


 【答弁】知事

今回、創成会議より公表された資料は、これまで報じられてきました人口予測と大きく変わりませんが、「消滅」という言葉のインパクトが大きかったと思います。県・市町村はもとより、地域の方々へも大きな警鐘になったと思います。本県の南部・東部地域は、過疎化・高齢化がすでに進展をして、多くの課題を抱える地域でございますが、これまでから「住み続けられる地域」を目指して、振興計画による取り組みを進めて参りましたところでございます。何もしなければこうなる可能性が高いという今回の資料の持つ意味を再認識致しまして、市町村・地域の方々と良い意味での危機感を共有しながら、さらに、この地域の振興に取り組んでいきたいと考えております。

今回の資料で「人口減少」の要因は、「経済雇用格差」とされております。この「経済雇用格差」から生じる地方の若者の雇用を求めての大都市圏、特に東京圏などへの流出にあるようでございます。その結果、20歳から39歳の女性人口が減少し、多くの地域は将来的に消滅するおそれがあると指摘されております。奈良県の南部・東部地域だけではありませんが、この「経済雇用格差」をどう埋めるかが大きな課題でございます。そのためには、「地域での仕事を増やすことと」「地域での働き手を増やす」という2つの面から雇用対策に取り組む必要があると認識しております。

 地域での仕事を増やすという面から、例えば、この地域での主力産業であった林業の復興を目指しまして、様々な課題にチャレンジしております。

 さらに、女性や高齢者の雇用にも繋がる農家民宿などの宿泊施設の開設も支援しております。また、近隣地域に雇用の場を確保するため、京奈和自動車道の御所インター付近に産業集積地をつくる取り組みを進めていますが、これが完成すれば、例えば、黒滝村からでも40分の通勤圏内となりますが、村長は通勤団地を作りたいという発想も持っておられるようでございます。

 一方、地域での働き手を増やすには、デザイナーや家具職人などのいわゆる手に職を持った人たちにターゲットを絞った移住の取り組みを進めたいと考えています。ターゲットを絞ることで、移住者の動機づけが明確になり、口(くち)コミなどの波及による移住希望者の増加が期待されます。

 雇用以外の生活基盤の充実でございますが、南和地域公立病院新体制整備による医療機能を強化するとか、地域包括ケアシステムの構築による健康長寿の推進、あるいは、基本的には生活・買い物などの道路整備など、生活基盤を整備する必要があると思いますが、引き続きこのような面に配慮していきたいと思います。

 また、昨日森川議員にお答え申し上げましたように、人口減少に伴う自治体機能の低下を防ぎ、行政サービスを維持・強化する必要がございます。県と市町村の連携を基本とした「奈良モデル」で、市町村の支援に取り組んで参りたいと思います。

 紀伊半島大水害以降、特に南部地域では人口減少に拍車がかかっている地域もありますが、人口が少なくても活力がある地域をつくることは可能であると私は考えております。「住みたくなる、住み続けられる」地域を構築するということを目指して、さらに努力を続けていきたいと考えております。



5 明日香村への支援について【要望】

 次に、私の地元明日香村のことで、一つ要望をしておきます。

 今から34年前の昭和55年、明日香村に残る歴史的風土を保存するため、いわゆる『明日香法』が施行されました。その後、「明日香村整備基金」や「歴史的風土創造的活用交付金」など、国、県からの手厚いご支援をいただきながら、四次にわたる明日香村整備計画の推進により、歴史的風土が良好に維持されるとともに、村民生活の安定が図られてきたところです。

 あらためまして、お礼申し上げたいと思います。

 ただ、明日香村も先ほど申し上げた「消滅可能性都市」の一つに挙げられており、明日香の価値を守り、村民の生活を守っていくためには、今後とも、国、県からのご支援が是非とも必要です。

 そのため、第四次整備計画の計画的な執行を推進していただくとともに、今年度までとされています「歴史的風土創造的活用交付金」の継続につきまして、村とともに国への働きかけをお願いする等、引き続きご支援賜りますよう、要望いたします。