代表質問と答弁概要

 2 公契約条例について

 次に公契約条例について、お尋ねします。

 このたび、知事は、奈良県公契約条例の制定に向け、本6月定例県議会に条例案を上程されました。

 知事は、これまで、公契約条例の制定のため、庁内に検討チームを設置するとともに、賃金等の実態調査などに取り組まれ、折にふれ、議会でもその経過を答弁してこられたところです。

 私ども、なら元気クラブでは、県予算に対する要望として、社会的公正の確保に資する入札方法の導入を図るため、奈良県公契約条例を制定し、県民の税金を財源とした公契約の履行において、受注者だけでなく、関係事業者・職員を含めて公平に資する方策を実現するよう求めてまいりました。

 それは、公契約条例の制定により、働く人たちの生活の安定とくらしの向上につながる、地域経済の健全な発展が重要と考えてきたからであります。

 そして、このたび、私どもの要望に応えるかたちで、6月定例県議会に、条例案が提案される運びとなったことは、大変喜ばしい限りです。

 公契約は、県民の貴重な税金を使って実施され、県の行政サービスを直接担う役割を負っており、その品質確保の観点からも、適切かつ公正な、履行が求められています。

 そういった意味からも、公契約条例を制定する意義は、極めて大きいものと信じてやみません。

 そこで、知事にお尋ねします。都道府県初といわれる先駆的なこの条例の基本的な考え方と内容について、お聞かせください。

 また、制定のあかつきには、どのように施行・運用していくお考えなのか、併せてお伺いします。


 【答弁】知事

 公契約条例の基本的な考え方と内容、運用についてのご質問がございました。

 県では様々な契約を締結して、諸施策の推進や行政サービスの提供を行っていますが、これらの契約において、発注者である県には、一つには、公的機関の責務として、従事する方々の労働条件確保への配慮など公正な内容が求められると思います。

 一方、県の事業に携わる受注者等は、法令を遵守し適正に履行する義務を負うものと考えます。公契約の両面の義務があるように思います。

 加えて、受注者等の方々におきましては、地域社会の主要な担い手ですので、社会的な価値を実現・向上させる経済主体にふさわしい行動や役割が期待されているものと思います。

 そのような認識を基本としまして、県では、このたび、公契約の相手方の適切な選定と適正な履行が確保されるよう、県の条例において、公契約の理念や方針、履行時の手続きなど基本的な事項を定めることといたしまして、今議会に提案させていただいているところです。

 この条例の基本方針は2つの面があります。一つは、公契約の相手方の選定に当たって、障害者の雇用や働きやすい職場環境づくり、保護観察対象者の雇用など社会的な価値の実現・向上への寄与度を評価することです。

 もう一つは、公契約の履行に当たって、受注者や下請負者等に対し、従事する労働者の最低賃金や社会保険の加入など関係法令の遵守を求めることです。

 とりわけ、建設工事3億円以上、業務委託や指定管理3千万円以上の県との公契約においては、履行責任者の選任や法令の遵守状況の定期報告を求めることとしています。一定の違反行為に対しては、行政罰である過料や、入札参加停止等のペナルティを科すなど、条例の実効性を確保することとしています。

 本条例案が可決されましたならば、細則となる施行規則や実施要領を速やかに定め、事業者や関係団体に丁寧な説明を行い、来年4月のスタートに備えたいと考えております。

 また、施行後は、公契約審議会を活用し、PDCAサイクルによる条例の適正かつ円滑な運用が図れるよう取り組んでまいりたいと考えております。




3 動物愛護に対する県の取組について

 次に、動物愛護に対する県の取り組みについて、知事にお伺いします。

 先日、私は一冊の本を入手いたしました。「命の教室“動物管理センターからのメッセージ”」という本ですが、秋田県動物管理センターにおいて、捨てられ行き場のない、多くの犬や猫たちの命が奪われているという、殺処分の実態をあえて紹介することで、犬や猫たちの無念な思いなどを伝え、動物の命について、また、動物を飼う責任について、もっと子どもたちに考えてほしい。そして、自分たちの命の大切さを見つめ、自分の命もいたわってほしい。そのような思いで、秋田県内の多くの小中学校に出向き「命の教育」をされた、センター所長はじめ職員さんたちの奮闘が書かれております。

 昨今、飼っている動物の飼育放棄や遺棄、また、動物への虐待や殺傷といった、動物に関わった痛ましい事件が、日々、新聞やテレビなどで報道されています。動物の「命」を大切にすることが、ひいては、人の「命」を大切にすることにつながると思います。

 私は、去る4月30日に、同僚の阪口議員に誘われ、県内の動物愛護団体の方々と、宇陀市にあります「うだ・アニマルパーク」を視察いたしました。うだ・アニマルパークでは、動物に対する理解を促進するとともに、動物愛護の思想について、普及啓発を図るため、動物愛護教育イベントが数多く開催されており、来園者数も増加しているとお聞きしました。
また、地域振興の推進及び県東部地域の観光の拠点としても事業を推進しておられ、短い時間でしたが、とても有意義な視察となりました。

 今回は特に、うだ・アニマルパークの中にあります、動物愛護センターの施設や業務を視察しました。

 現在、我が国では年間約16万頭の犬猫が、全国の動物愛護センターなどの行政機関で殺処分をされており、奈良県においても例外ではありませんが、その頭数は年々減少しているとお聞きしました。

 また、飼育放棄などにより収容された犬や猫を、新しい飼い主へ譲渡する事業や、動物とのふれあいを通して、動物を学び、動物から学び、そして動物のために学ぶ、「いのちの教育」にも取り組まれているとお聞きしました。

 そこで、知事にお伺いします。

 うだ・アニマルパークのこれまでの取り組みを踏まえ、今後どのように取り組もうと考えておられるのか。特に、うだ・アニマルパークでの「いのちの教育」について、これこそが、奈良県の動物愛護行政の根幹と考えますので、今後の進め方についてお聞かせ下さい。


 【答弁】知事

 うだ・アニマルパークは、動物とのふれあいを通して次代を担う子どもたちの健全な育成を目指す場である「パークエリア」と、動物愛護法等に基づき犬・猫の保護や引取などを行う「動物愛護センター」の、大きく2つの異なる機能を持っています。

 「パークエリア」では、牛の乳搾りやポニーの乗馬など、動物と直にふれあえる様々な体験イベントや「休憩施設」、「大型すべり台」などの整備により、平成20年度の開園当初には年間約7万人であった来園者数が、昨年度は約18万1千人と大幅に増加し、多くの方々に来園いただきました。

 「動物愛護センター」では、保護や引取のほか、動物愛護啓発イベントや、収容された犬や猫の動物譲渡を実施しており、その効果等により開園以降の6年間で、収容頭数は年間約2千5百頭から約1千8百頭に減少しました。殺処分についても約2千4百頭が約1千7百頭と大幅に減少しました。レベルとしては、近畿で2番目に低い頭数です。

 また、これまでの6年間で416頭の犬や猫が新しい飼い主に引き取られました。

 動物と直にふれあえる場であり、また動物の生と死が隣り合わせの場であることから、うだ・アニマルパークでは、開園当初より「いのちの教育」を実施しています。

 うだ・アニマルパークに専門の教員を配置し、県内小学校の生活科や道徳の学習に活かすなど、全国でも注目されている取り組みです。

 平成25年度は、モデル校に指定した県内小学校40校での出前授業や、遠足等で来園された約1万2千人の児童、園児などに対しプログラムを実施しました。

 今後とも、来園された方々に様々な動物とのふれあいを通して、動物への愛護の気持ちをさらに育むとともに、犬や猫との正しい接し方や、不妊手術の重要性などを啓発することにより、収容頭数の減少に努めてまいります。

 また、新たに整備した犬猫の飼育棟である「わんにゃんハウス」での譲渡候補動物の積極的な紹介や動物関係団体との協働により、譲渡数の増加に取り組んでまいります。

 「いのちの教育」につきましても、モデル校の増加やプログラムの中高生への拡大、職場体験の積極的な受け入れなどにより、「いのち」の尊さをより多くの子ども達に伝え、動物への思いやりの心を育み、豊かな人間性をもつ子どもの育成に取り組んでまいります。



【要望】

 動物愛護についてですが、今日も動物愛護団体の方が傍聴に来ていただいております。

 先日、一緒にうだ・アニマルパークに視察に行きましたが、これまで、動物愛護団体とうだ・アニマルパークの室長や職員の皆様と意見交換の機会がほとんどなく、意思の疎通が図られていませんでした。

 今後、県と一緒になって動物譲渡を進めていきたいと考えていますので、その方向性をお互いに相談し、お手伝いをしていきたいと思います。