代表質問と答弁の概要

 1 自然エネルギーに対する県の取組について

 (1)まず最初に、自然エネルギーに対する、県の取組についてお聞きします。

 質問に入ります前に、先月5月7日、小泉・細川元総理を中心に設立された、自然エネルギー推進会議に参加した感想を、述べさせていただきたいと思います。

 この会議は、原発ゼロへの取り組みと、自然エネルギーの普及活動を積極的に推進し、原発に頼らない社会への転換を、目指して立ち上げられた団体であります。

 この趣旨に賛同し、作家の赤川次郎さん、精神科医の香山リカさん、俳優の菅原文太さん、尼僧の瀬戸内寂聴さん、そして、南相馬市長の桜井勝延さんなど、12人の発起人と、吉永さゆりさんをはじめ、42人の各分野で活躍されている著名人の皆さんが、賛同人として名を連ねておられます。

 これらの方々は、保守も革新もなく、純粋にこの国の将来を案じて、自然エネルギーを推進することが、日本を救う道であると立ち上がった方々であります。

 特に小泉元総理の挨拶での原発ゼロへの想いと、自然エネルギー推進への決意には、強く共感しました。

 今回は原発ゼロが質問の要旨ではないので、小泉元総理の原発に対する発言は控えますが、何故自然エネルギーを推進しなければならないのかを理解してもらうために、一点だけ紹介させていただきます。

 「原発は安全、安心、クリーンは大うそ、地震、津波、火山噴火、何より日本の地質状態は脆弱である。そして、テロに対処できない。核のゴミ、核廃棄物の最終処分場は日本では無理。そんな原発より自然エネルギーを加速推進させることが得策である。過去の人と言われようが、未来の世代のために、どんな困難な道であろうとも死ぬまでやる」との意気込みに、改めて感動と共感をし、日本の心のふるさと、自然に恵まれているこの奈良の地から、自然エネルギー推進に取り組むべきであると、確信した次第であります。

 大変長い前置きになりましたが、質問に入ります。
 
 国においては、本年4月に「エネルギー基本計画」が、閣議決定されました。

 この計画では、今後20年程度の中長期のエネルギー需給構造を視野に入れ、今後取り組むべき政策課題と、長期的、総合的かつ、計画的なエネルギー政策の方針が示されておりますが、特に、電力システム改革を始めとした、国内の制度改革が進展するとともに、北米からのLNG調達など、国際的なエネルギー供給構造の変化が、我が国に具体的に及んでくる、平成30年から32年までを目途とし、安定的なエネルギー需給構造を確立するための、集中改革実施期間と位置付け、当該期間における、エネルギー政策の方向が定められています。

 その中で、再生可能エネルギーについては、平成25年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくこととされています。

 奈良県においては、国のエネルギー政策の見直し、関西電力管内の電力需給の逼迫、紀伊半島大水害の教訓等を踏まえ、奈良らしい新たなエネルギー政策を推進するため、「奈良県エネルギービジョン」を、昨年3月に策定されています。

 このエネルギービジョンにおいては、基本方針のひとつとして、太陽光発電や小水力発電、バイオマスの利活用など、多様な再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを掲げ、供給面からの目標として、平成27年度の再生可能エネルギーの設備容量を、平成22年度比の2.7倍を目指すこととされています。

 一方、再生可能エネルギー導入に係る現状をみると、国が普及拡大を図るため、平成24年7月から、固定価格買取制度を導入したところ、同制度開始以降、平成25年12月末までに、再生可能エネルギーの設備導入量は、制度開始前と比較して、34%増加したとの国の報告があります。まさに飛躍的な伸びであるといえます。

 そこで、このような状況を踏まえ、本県の再生可能エネルギーの導入促進の取組を、より充実・強化するため、エネルギービジョンの供給面の目標を見直し、更に高く設定するべきだと考えますが、知事の所見をお聞かせください。


【答弁】(知事)

 自然エネルギーに対してお問い合わせがありました。再生可能エネルギーの導入目標についてでございます。奈良県エネルギービジョンでは、供給面からの目標として、県内の再生可能エネルギーの設備容量を、平成22年度時点から、平成27年度には2.7倍にすることを目指していました。

 その進捗状況でございますが、平成26年3月末時点で、22年度の約2.4倍となっております。目標の6割の機関で85%まで達成している状況でございます。県内の再生可能エネルギーの普及は着実に進んでいると思います。

 一方で、再生可能エネルギーの導入の動きにつきましては、電力の固定価格買い取り制度などの国の支援制度の動向の影響があります。今年度の導入状況もよく見極める必要がありますが、目標値の上方修正について検討を進めていきたいと考えます。




 (2)さて、固定価格買取制度等により、民間活力による再生可能エネルギーの普及拡大を図ることは、短期間で導入促進を加速させるために、効果的な方法ではありますが、民間事業者の活動は、採算性を考慮しての取組であり、エネルギーの地産地消や緊急時対応としての分散型電源の確保、エネルギーの安定供給などの問題もあるため、県全体のエネルギー政策を進めるには、県や市町村の積極的な取組が必要と考えます。

 そのような中、私の地元の明日香村では、本年度、総務省の、地域経済循環創造事業交付金の採択を受け、電気自動車を活用した観光モデル事業を、進めていると聞いています。

 この事業は、飛鳥を訪れる観光客に対して、スマートパッドを搭載した、超小型モビリティを中心とする、電気自動車をレンタルする事業で、明日香村・高取町・橿原市をエリアとした周遊コースを設定し、今まで、徒歩や自転車では移動が大変であった、目的地を超小型モビリティでつなぐものと、聞いています。エネルギー政策と観光政策を連携させて、地域振興につなげる、画期的な取組であると思います。

 また、このような新たな取組を実施するにあたり、必要な初期経費に対して、国の交付金を活用する等(など)、限られた予算で効果のある取組を行うための、工夫も見受けられます。

 国では、先に述べたとおり、平成30年から32年までを目途に、安定的なエネルギー需給構造を確立するための、集中改革実施期間と位置付け、経済産業省及び、環境省をはじめ、各省庁で、エネルギー政策の推進のための、様々な補助制度が創設されていると、聞いています。

 本県においても、このような国の補助制度を活用し、再生可能エネルギーの導入促進に、より積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。


【答弁】(知事)
 
 国の補助制度を活用した取り組みに関してでございます。国の再生可能エネルギーの導入の加速化の動きに合わせ、県においても補助制度を積極的に活用しながら進めているところでございます。

 具体的には、議員お述べの明日香村の電気自動車を活用した観光モデル事業や、県においては、都道府県では初といわれております県立十津川高校へのLPガスを使った発電設備設置や、県庁周辺施設でのガス・コージェネレーションを活用した電力供給システムの導入可能性調査など、国の支援制度を積極的に活用しております。

 さらに、つい先日、今週初めでございますが、環境省の「グリーンニューディール基金事業」について、本県分で16億円の配分が決定されました。東京都の17億、石川県の16億に並ぶもので、大変喜んでおりますが、これを活用し、今後3年間で、県及び市町村の防災拠点施設などに再生可能エネルギーと蓄電池の導入を進めたいと思います。

 今後とも、様々な国の支援制度を最大限活用し、再生可能エネルギーの導入促進に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと思います。



 
 (3)続いて、農地の上部空間を利用し、営農を継続しつつ、太陽光発電を行う事業についてお尋ねします。
 近年、農山漁村においても、自然活動によって絶えず再生・供給されるエネルギーを、積極的に有効活用することで、所得の向上を図ろうとする動きが、活発化しています。
 農山漁村の活性化を図るとともに、エネルギー供給源の多様化を図るため、昨年11月15日に農山漁村、再生可能エネルギー法が成立し、11月22日に公布され、本年5月1日に施行されました。これにより、売電収益の地域還元などを通じ、所得向上による地域の活性化が、期待されるところです。
 さて、この法律の施行に先立ち、農地に支柱を立てて、営農を継続するタイプの、太陽光パネル技術が、実用段階となったことを踏まえ、農林水産省は、営農継続型太陽光発電設備の農地転用については、支柱の基礎部分について、一時転用許可の対象とする旨の通知を発出しています。
 この場合、太陽光パネルの下の農地において、農業生産の継続を確保することと同時に、周辺の営農に影響を与えないことなどが、条件とされていますが、営農と再生可能エネルギーの両立が図られるという点では、画期的な事業であると考えています。
 現在のところ、まだ奈良県では実施に至っておりませんが、営農を継続しながら、環境にやさしく、地球温暖化防止にも役立つ太陽光発電を行い、所得向上に寄与する当該事業について、県として今後どのように対応していく考えでしょうか。農林部長にお伺いします。


【答弁】農林部長

 近年、農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備等を設置する技術が実用段階になっていることを受けて、農林水産省は、営農型太陽光発電設備についての農地転用許可制度上の取扱いに関する通知を発出しております。

 具体的には、営農型太陽光発電設備の設置に伴い、支柱設置箇所等の営農できなくなる農地部分については、一時転用許可の対象とされています。

 その許可に際しては、通常の審査基準に加えて、営農の適切な継続を前提として、パネル下部の農地における農作物の単収が平均的な単収と比較して2割以上減少しないことなどを条件としています。

 議員お述べのとおり、営農型太陽光発電設備の設置は、農作物と再生可能エネルギーを同時に生産することができる有効な手段であると認識しています。また、他県では、ミョウガやガーデニングで使われるタマリュウ等を作付けすることで、一時転用許可を受けて設置された例もあることは承知しています。

 本県においては、まだ事例はありませんが、営農型太陽光発電設備の導入にあたっては、日照量が少なくなる中で、いかにして8割の農作物収量を確保するかが課題であると考えています。

 このため、今後、円滑な対応に向けて、他府県等における太陽光パネルの設置による農作物の生育に与える影響に関する先行研究の取組状況や、日照量が少ない中での作物ごとの収量データや収量を確保しやすい作物の選定などの情報収集にまずは努めて参りたいと考えております。





【要望】
 エネルギービジョンの上方修正について、具体的な数値は挙げられませんでした。

 少し残念ですが、県のエネルギービジョンの資料によりますと、太陽光は22年度から見て既に8割方目標を達成しています。小水力は1.5倍、バイオマス・風力は1.0倍の状況です。地熱は目標値がありません。

 27年度には15万5千㎾で22年度の2.7倍になりますが、調査によると、奈良県のポテンシャルは170万㎾あるとなっています。

 太陽光だけで補っている部分がありますが、小水力発電について、もっと活かせる部分があるのではないか。先日、鹿児島にエネルギーの特別委員会が行き、鹿児島ではかなり進んだ取り組みをしていると聞いています。

 自然エネルギーは、県南部・東部の振興というところにおいても活かせるのではないか。と言いますのは、やはり自然エネルギーは雇用を生む。そして、地域を活性化する。里山資本主義ではないですけれども、岡山県の真庭市での「バイオマス」というような取り組みでまちおこしをしています。やはり、こういう今の、そしてこれからの時代に、県南部、面積は県の2/3あるなかで、どうしたら活性化・雇用を生むのか。先ほど、(県南部・東部地域の振興についての答弁で)「奈良モデル」とおっしゃられましたけれども、是非、「奈良モデル」をこの自然エネルギーで推進していただきますよう、要望と言いますか、意見を申し上げ、提案させていただきたいと思います。
 

  続きます。ダウン