代表質問 その4 ですアップアップ



 次に、教育政策についてお伺いします。

 教育は国力の源泉であると言われます。明治以降、資源のない我が国が急速に近代化を成し遂げ、飛躍的な発展を遂げました。また、東日本大震災の際には国民の規範意識の高さが、世界中から賞賛されましたが、これらは、日本国民が過去から培ってきた、高い教育水準の賜といえます。

 しかしながら、昨年の大津市のいじめ問題に始まり、最近では、大阪市立桜宮高校での体罰問題など、教育問題が、相次いで大きな社会問題となっています。また、近年の学力低下の問題や、教育水準の国際的位置づけが低下する中で、グローバル人材の育成が急がれるなど、これら多くの喫緊の課題への対応が求められています。

 このように、我が国の教育環境は、極めて厳しいものとなっています。今こそ、教育制度刷新をはじめ、教育の再生が求められています。

 このような中、政府においては、この一月に「教育再生は経済再生と並ぶ我が国の最重要課題」であり『「強い日本」を取り戻していくためには、日本の将来を担っていく子どもたちの教育を再生することは不可欠』であるとして、改めて、教育再生実行会議を立ち上げ、いじめや体罰への対応、教育委員会や大学の在り方の抜本的な見直し、グローバル化に対応した教育等について議論が始められています。

 一方、地方レベルでは、大阪府において、大阪維新の会の橋下代表が、大阪府知事であった当時、学力問題をはじめ、大阪の教育の現状に強い危機感を持ち、積極的に教育改革に取り組み、大阪府、教育行政基本条例などの制定に至りました。教育制度については様々な法的制約はあるものの、この教育行政基本条例では、教育目標の設定については、知事が教育委員会と協議して、教育振興基本計画の中で決定することとするなど、教育行政制度における政治主導を明確にしました。この条例制定に至る過程で、様々な問題提議がされ、全国に波紋を広げましたが、このような地方の教育改革のうねりが、中央の教育改革に、一石を投じたと言っても過言ではありません。

 また、大阪維新の会は、維新八策で、文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から、地方分権型教育行政への転換及び、責任の所在が不明確な教育委員会制度の廃止など、教育制度の抜本的な改革を提唱しており、教育の再生に向けては、国民的議論を深め解決すべき多くの課題があると考えます。
 また、同時に、地域の教育課題の解決に向けて着実に弛まぬ取組を進める必要があると考えます。

 教育は、子どもが明るく活気に満ちた教育環境で、個性と能力を開花させ、生きる力と豊かな人生を保障するものであらねばなりません。そして、そのような環境のもと下で育った若者こそが、我が国の歩みの原動力になることが期待されるのです。

 さて、奈良県では、子どもの学習意欲や規範意識、体力の問題を重要な教育課題として捉え、様々な取組を進めておられます。

 また、一昨年には「奈良県地域教育力サミット」を立ち上げ、知事が議長となって、教育界はもちろん、市町村長の代表や、産業界の代表の方々と、奈良県が抱える教育課題について議論を進めておられます。知事が先頭に立って教育に取り組まれる姿勢には、深く敬意を表するものです。

 そこで、知事にお尋ねします。

 大阪維新の会の維新八策で提唱されているように、現行の教育委員会制度については、廃止すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。

 また、知事は、年頭の記者会見で、教育基本条例の制定について言及されました。さらに、先日開催されたサミットにおいても、教育基本条例をサミット議題として、議論していくことで一致したと報道されています。

 教育基本条例を制定しようとする目的は何か、また、どのような内容のものを考えておられるのか、お伺いします。


【知事答弁】

 現行法制下におきまして、通常は、教育委員会の権限とされている文化・スポーツについて、本県では法に基づく特例条例により、その権限を教育委員会から知事部局に移管し、様々な施策に取り組んでおります。具体の成果としては、奈良マラソンやムジークフェストの実現にもつながったところです。また、本県では私学も重要でありますので、関係者と奈良県の教育について議論を開始したところです。

 また、来年度には、地域振興部に教育振興課を新たに設置し、「教えから学び」という教育目標を生涯にわたり展開するということを目指したいと考え、体制の充実に努めたいと思っております。今後とも教育委員会と連携、協働して、奈良県教育の振興を図ってまいる所存です。 

 また、私が議長を務める「地域教育力サミット」では、教育委員会と協働しながら、生涯を通じて、また、学校と家庭と地域が連携して教育のあり方、また教育の諸課題について議論しているところです。 

 このように、県庁全体が一つの目標に向かって、教育委員会も含めた関係部局が連携・協働しながら、奈良県教育の振興や教育課題の解決に向けた施策を推進していることから、現状で制度上特段の支障は感じていないところです。

 奈良県の子どもの実態でございますが、全国統計で浮かび上がってきているところによると、睡眠時間が短い、朝ご飯の摂取率が低い。また、学力は全国平均に比べて相対的に高いが、学習意欲は低く、更に規範意識や体力・運動能力も相対的に低く、順位的には40位以下という悪い結果になっています。
 これらを本県教育の重要課題と位置づけ、教育委員会はもとより知事部局でも、その解消に向けて様々な取組を行ってきているところです。

 本県教育の課題の抜本的な解決には、学校だけではなく、家庭、地域、学校が連携して地域教育力の向上に取り組む必要があると考えて、一昨年に教育委員会と連携、協働して「地域教育力サミット」を立ち上げたところでございます。

 検討を進める中で、いろいろな問題が出て課題が浮かび上がってきました。①規範意識の醸成については、学校、家庭、地域が連携してどのようにして地域コミュニティを再構築し社会的な絆を強めることができるのか、②体力・運動能力の向上については、学校のスポーツだけでなく地域のスポーツとしてどのようにして振興ができるのか、③さらに、地域で働くための学校と職業の接続、就労支援についてはどのようにすればいいのか、職業能力開発の教育機関はどのように本県で活用すればよいのか、④さらに、障害者の就労と社会参加を、学校だけでは解決できませんので、家庭、地域がどのように連携して障害者を支えるのかというような、教育の場を越える具体的な課題が次々と明らかになり、それらについて地域教育力サミットで議論しています。

 そこで、サミットにおいては、4つの部会を設けました。①1つめの部会は「地域の参画、協働による教育部会」②2つめは「地域で働ける就労教育部会」③3つめは「障害者の就労、社会参加教育部会」④4つめの「学校・地域スポーツ連携部会」でございます。これまで出てきた課題をそのような部会でさらに議論を深めるということにしております。
 また、サミットでは、生涯を通じての奈良県の教育課題全般についても広く議論を始めました。学校、家庭、地域のあり方や連携、協働のあり方などのほか、奈良県の教育の基本的方向はどのようにあるべきか、深く難しい議題でありますが、あえて議論していく必要があるという意見も出ております。これらについての議論が煮詰まってくれば、条例の制定も視野に入れていく必要があるのではないかという思いに至っているのが経緯でございます。

 今後、教育に関する条例が必要かどうか、またその際、どういう内容にするのかということは、県会議員の方にも入っていただいております地域教育力サミットの議論の進捗を見て判断していきたいと思っております。



 次回は 本県における農業の6次産業化の推進について です。




  
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