俺対俺…な俺…。
横着な俺は、何でもベッド付近の手の届く所に持って行ってしまう。
食べ物、飲み物、携帯、パソコン、リモコン。
いっそのこと尿瓶でもあればもうここだけで暮らしていける。
そんな自分に喝を入れるべく朝一番に、宙に浮くほど飛び起き、カーテンが引きちぎれるほど力一杯開き、堂々たる体躯で朝日と対峙した。
むんずとシーツを掴み、そのまま洗濯機の中に放り込んでやった。
朝からなんと爽快な事か。
どうだ今までの堕落した己よ。
こんな大胆かつアクティブな俺が貴様の中に潜んでいたとはさぞ驚きだろう。
回る回るよ洗濯機よ回る。
すすぎ、脱水、繰り返~し。
ジャバジャバジャバ…
ははは、勝った。
遂に怠惰な己を底に押し込めた。
ジャバジャバジャバ…
良き水の調べ。
この音をバックグラウンドミュージックとし、優雅にテレビでも観てやろう、ははは。
ジャバジャバジャバ…
ジャバガンガン…
ジャバジャバガンガン…
ガンガン…
なんかあたってる…
ま、テレビテレビっと。
リモコン…
ガンガンガン…
リモコン…
ガンガンガンガン…
シーツに包まっていた…テレビのチャンネルを変えるリモコン…だったもの。
今は大胆かつアクティブ、な自分の頭をぶっ叩くだけのただのプラスチックの塊です。
いや、説明書に「※このリモコンは洗濯機に入れるとビショビショに濡れて壊れてしまいます、絶対ダメよー!!」と書いてないなぁ…。
こりゃ裁判すりゃ、勝てるかも…