キセイ・・・な俺・・・。
待ちに待った年に一度のゴールデンウィークは、連日の快晴という雷様の粋な計らいによって、絶好の行楽日和となった。
年に一度といってもそれはあくまでも暦の上での話で、仕事がない時代はゴールデンウィークが四回訪れるという恐怖の月もあった。
逆に一たび売れれば、年に一度も休みがないなんてこともある・・・らしい・・・。
今回は皆様の多大なる応援のお陰で、無事に・・・大型連休を頂くことができた。
連休と幼馴染の結婚式とが相まって、今回帰省の動機となった。
流線型の小粋なボディに揺られながら、東京~新潟間、約二時間の小旅行。
初めて上京してきた十八歳の時、未知なる場所への不安と迷いでその二時間が二倍にも二、一倍にも感じられた。
あれから十二年、新幹線に乗る度にいつもあの時のことを思い出す。
それどころか今では、思い出す前に眠りについてしまうほど神経が図太くなった。
あれだけ長く険しかった旅路が、今では目を覚ますと既に目的地に到着している。
新幹線を降りた駅前の町並みは急速に開発され徐々にその姿を変化させ、画期的な活気を生み出し、重い思い出を消していく。
車で実家に向かう途中、少し遠回りをして、昔足しげく通った駄菓子屋の前を通った。
時代の流れに反し、子供たち相手に一人で狭い店を切り盛りしていたあのおばさんの顔を久しぶりに見たくなった。
なんて声を掛けよう・・・
少しだけ背中に、あるはずのないランドセルを感じた・・・
「久しぶり、元気にしてた・・・?」
潰れていた・・・。
「ま、まぁ・・・こういうことも、あるよ・・・な・・・。」
気を取り直し、近所のスーパーの前を通った。
ここには同じ学校の友達が働いていた。
なんて声を掛けよう・・・。
「久しぶ・・・
潰れていた・・・。
「ま、ま、まぁ・・・こ、こ、こういう・・・こと・・・も、あ、ある・・・よ・・・な・・・。」
もう家に帰ろう・・・。
やっぱり我が家はいつまでも変わらない安らぎの場所だ。
「お帰り!!」
相変わらずの母の声と共に飼ってる犬が駆け寄ってくる。
そして荷物を置きに二階にある、思い出たっぷりの自分の部屋へ駆け上がると・・・
立派な倉庫になっていた・・・。
「うぎゃぁぁぁぁ~!!」
以上、帰省で奇声でした。