広島市安佐北区のやまもと歯科医院です。

 

今回は加齢と口腔機能の影響についてお話ししようと思います。

 

 加齢による精神心理的な変化としては、生きがいの喪失、経済基盤の喪失、心身の健康の喪失など、多くの喪失があるといいます。

 脳機能の観点からは、脳細胞の減数と委縮、脳の老化による記憶力や学習能力などの精神機能の一部低下を生じ、種々の疾患が脳の老化を加速させてしまいます。

 このような高齢に伴う変化を理解したうえで、高齢者に接することが重要です。とくに要介護になった高齢者に対しては、不可欠です。

 

口腔機能と死亡との関連を検討した研究によると、残存歯数、歯みがきの回数、定期健診の回数が多い人ほど死亡リスクが低いことが報告されています。また、残存歯数は寿命に関係するさまざまな因子の影響を調整したうえでも長寿と関係があり、残存歯数と生存期間との関連を結ぶ経路として、口腔機能低下による栄養摂取の変化が考えられます。すなわち、歯の喪失によって野菜類の摂取量が減少し、抗酸化ビタミンや食物繊維などが不足しやすくなります。また、タンパク質の摂取も減少することが、その要因として考えられています。

 

 8020達成者が51.2%(平成28年歯科疾患実態調査)となり、残存歯数の増加がみられたとはいえ、高齢者においては、加齢とともに義歯(入れ歯)を必要とする人は急速に増加します。したがって、機能する残存歯数の増加や義歯による口腔機能の維持・改善が歯科医院の役割として極めて重要になります。

 

歯磨きをする高齢の男女 イラスト素材 [ 6944610 ] - フォト ...

参考文献  「聞くにきけない補綴治療100」