慶應大学の三田キャンパスに初めてうかがいました。
私の所属する稲門会と同じ地域の三田会の協力の下、稲門会会員による三田キャンパスの見学会が実現したからです。
大学広報ご担当者のご案内により、通常非公開の建物も見学させていただきました。
まずは、重要文化財の「図書館旧館」。
現在は福澤諭吉記念慶應義塾史展示館になっています。
1912年建設のネオ・ゴシック様式。華やかな外観が特徴です。
見どころの一つが、ステンドグラス。
和田英作原画、小川三知制作、大竹龍蔵復元。
鎧姿の武将が慶應のペンマークを手にした女神を迎える図柄で、「ペンは剣よりも強し」とラテン語で書いてあるのだそうです。
では、2階へ。
2階は慶應義塾史展示館に。
Googleの消しゴムマジックで人を消したので、少し不自然な箇所がありますが・・・
元図書館らしく、天井が高くなっています。
もう一つの目玉は、大時計。
フランスのセーヴルで陶磁彫刻を研究した沼田によるもの。
12時が砂時計に、文字盤にはラテン語で「時は過ぎゆく」と書いてあるのだとか。
ところで、図書館の右側の塔の部分に注目してください。
ラウンド型の空間がカフェになっています。
窓が多く、天井が高いので、とても開放的な空間になっています。
[設計]曽禰中條建築事務所[竣工]1912年[構造]煉瓦造、地上2階地下1階建、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
次は「幻の門」です。
1913年の慶應義塾正門。2000年に図書館旧館の近くに移築されました。
三田キャンパスもう一つの重要文化財「三田演説館」。
1875年とかなり古い建物です。
まずは、柴田佳石による諭吉胸像にご挨拶。
日本初の演説会堂です。[竣工]1875年5月[構造]木造、地上2階建、寄棟造桟瓦葺屋根
外壁は板瓦貼りなまこ壁で、ガラスをはめた洋風の上下窓、正面中央には切妻造屋根の玄関を設けるなど、幕末・明治初頭に流行した和洋折衷様式をとどめています。
鍵を開けていただいて、中に入りました。
奥の檀上で演説をして、1階や2階でその演説を聞いたのでしょうね。
2階には上がることはできません。耐久性の問題だと思います。
壇上の上には、福沢諭吉肖像画(松村菊麿)が飾られていました。
大戦中の戦火に逃れた貴重な建物です。
最後の見学ルートは、「旧ノグチ・ルーム」です。
[第二研究室談話室・萬來舎(ばんらいしゃ)]とも言われています。
三田キャンパスの戦災復興を担った谷口吉郎と、
彫刻家のイサム・ノグチの協業による談話室が、移築されたもの。
第二研究室=[設計]谷口吉郎[竣工]1951年[構造]鉄筋コンクリート造、地上2階建
2005年移築=[移築設計]隈研吾
通常非公開なので、家具などに白い布がかかったままでした。
外観が直線のモダニズム建築でありながら、内部は曲線が多様されているのが特徴です。
らせん階段もあります。
キッチンもあったのですね。
逆側の建物。こちらには庭があります。
そして、イサム・ノグチの彫刻。「無」と「若い人」
見学コースは主に3つでしたが、待ち時間などを利用して、ほかの素敵な建物も見学してきました。
図書館旧館と同じ、曽禰中條建築事務所が設計した1926年築の建物が「塾監局」です。
外観はスクラッチタイルとテラコッタを基調とし、中央に玄関ポーチを設けた左右対象の形。
逆側です。
[設計]曽禰中條建築事務所[竣工]1926年[構造]鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階建
館内です。
また、同じ曽禰中條建築事務所が設計した「第1校舎」。
図書館旧館や塾監局との調和を重視して計画されたそうです。
[設計]曽禰中條建築事務所 [竣工]1937年[構造]鉄骨鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階建
3層吹き抜けの玄関ホール。
太い柱と曲線の手摺りが美しいですね。かなりシンプルな造りです。
新しいところでは、「図書館新館」。
[設計]槇文彦[竣工]1981年[構造]鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階地下5階建
旧館の八角塔をイメージした意匠が取り入れられており(写真の左奥側)、
素材も外観は暖色系のタイルなど、旧館へのオマージュも感じられます。
同じ槇文彦設計による「大学院校舎」。
[設計]槇文彦[竣工]1985年[構造]鉄骨鉄筋コンクリート造、地上9階地下2階建
慶應義塾大学には、垂涎の建物がたくさんありました!