写真)趣旨説明を行う山本(香)氏=12日 参院厚労委 2022/04/13 1面  公明新聞

参院委可決、売春防止法から脱却/山本(香)氏が趣旨説明

 参院厚生労働委員会は12日、生活困窮や性被害、家庭関係の破綻などに直面している女性を包括的に支えるための「困難な問題を抱える女性への支援に関する法案」(議員立法)を委員長提案で本会議に提出することを全会一致で決めた。法案は、公明党を含む超党派の議員で取りまとめた。

 

 委員会で提案者として趣旨説明を行った公明党の山本香苗氏は、困難を抱える女性について、1956年制定の売春防止法(売防法)に基づく婦人保護事業による支援が行われる一方、問題が多様化、複雑化し「実態と乖離が生じている」と指摘。コロナ禍で支援を必要とする女性が増えているにもかかわらず、なかなか支援につながらない実態も浮き彫りになったとして「従来の枠組みから脱却し、ニーズに応じた新たな支援の枠組みを構築することが強く求められている」と訴えた。

 

 売防法を巡っては、売春の恐れのある女性の「補導処分」や「保護更生」を目的としており、福祉の視点に欠けるといった課題が支援現場の関係者から指摘されていた。

 

 新法案では、目的や基本理念に「女性の福祉の増進」「人権の尊重・擁護」などを明記。支援のために必要な施策の実施を国・地方自治体の責務とし、国による基本方針の策定や、都道府県などの基本計画策定に関する規定も設けた。

 

 婦人保護事業における婦人相談所は女性相談支援センターに、婦人相談員は女性相談支援員に、婦人保護施設は女性自立支援施設に、それぞれ名称を改める。

 

 さらに、民間団体との協働や同団体への補助規定、官民の関係機関が支援内容を協議する支援調整会議に関する規定も盛り込んでいる。