モノは単体で置かれていると、
ただの物体にしか見えませんが、
そこに人間の心というものを通わせると、
新たな役割が生まれて、その存在に輝きを増します。
モノがあっての心の豊かさではなく、
心があってのモノの豊かさであり、
モノは人間の心が離れた途端、
無価値な存在になっていきます。
その意味では、人間をはじめとして
動物、植物、鉱物、森羅万象すべてのものに、
心が宿っており、それらが互いに影響し合うことによって、
存在と価値が生まれてくると考えるほうが
人間らしく生きられるのではないでしょうか。
また、心というものをまったく別なものとしてとらえ、
「自分の命は自分のものだから、
勝手に生きて何が悪いの?」
という考え方をする人もいます。
しかし、ここで冷静に考えてみてください。
あなた一人の存在がこの世に生まれるためには、
どれほどの人間が関わってきたことでしょうか?
まず初めに、あなたを産んでくれた両親がいます。
その上には、その両親を産んでくれた両親がいます、
そして、その両親のまたその上の両親をと、
ずーっと辿っていくと、数えきれない人たちが
あなたがこの世に生まれてくることに関わっています。
それだけをもってしても、
あなたが、「自分の命を好きなように使って何が悪い!」
という考え方は、成立しなくなるのです。
あなたひとりの誕生には、
数えきれない人たちの
命と思いが紡がれているのです。