9月2日
23時過ぎに自宅へ戻ると、子どもたちは姑宅の和室で布団を並べてスヤスヤと寝ていました。
試合後のボクサー顔みたいに腫れ上がった夫の顔を子ども達に見せることなく帰れて良かった。

『ごめんね』

多分、子どもたちは両親に何かが起こっているようだと勘付いていると思います。
長男と次男はテレビも付けずに静かに過ごしたり、親から言われなくても珍しく勉強したり、2人で話している時は小声になっていることもあります。
失踪の時も心配していましたから…。
申し訳ないです。
早く安心させてあげたいと思いました。


9月3日
元々、半月程前から妹達と会う予定にしていました。失踪や自殺未遂をするまでに追い込まれていた夫が休養できるように、私が子ども達を連れ出して、少しでも静かな1日を過ごしてもらおうと考えていたからです。
妹達には、夫が鬱状態で失踪したことまでは話していましたから、夫のことや私のことを大変心配してくれていました。
そんな中、今回のことを話し、子ども達だけを連れ出してもらうことをお願いしました。妹達の中で夫に対し、驚き呆れ戸惑い怒りの気持ちが生まれてしまったことは言うまでもありません。しかし妹達は私の希望や決意を尊重してくれました。
子ども達に親の問題を今以上に気付かせることなく、動物園に連れて行ってくれたことには大変感謝しています。


お父さんは具合が悪くて寝ているの、ゆっくりさせてあげたいから静かにお願いね。と子ども達に説明し「動物園だ〜♪」と喜ぶ3人と妹達を見送りました。
子ども達が出掛けた後、舅と姑に話をします。
何事?と不思議そうな顔をしてました。
夫は正座して、うつむきながら話します。

『ずっと浮気してました。相手の子は妊娠しています』

お義父さんもお義母さんも絶句です。

夫も黙ってしまったので私が説明…。
まずは…
一昨日の夜、慎さんから別れて欲しいと言われたこと、本音であるか確認したら違うということ、ここの家にいたいという気持ちがあること、私にも離婚する意思がないこと、これからこの問題を解決し、夫婦で手を取り合い夫婦関係を再構築したいと考えていることを伝えました。

ちゃぶ台をひっくり返す勢いのある昭和の男、お義父さんが泣かれました。
『リコちゃん。本当に辛い思いさせてすまん。本当にすまん。申し訳ない…』
と言ってくださいました。
別れないという選択にも安心?してくださいました。
みんなで協力して解決し乗り越えていこうという話になります。

夕方、夫と両親は彼女の家へ謝罪に行きました。私は留守番です。



ドキドキしました。
吐きそうでした。


帰宅したお義母さんにどうだったか尋ねると、やはり彼女は『エーーーン、ママァ〜』と泣き、別れたくないとお母さんに抱きついていたようです。夫への暴力は両親がいるためかお母さんが止めに入っていたようで、目の前で暴力を見ることはなかったと…。

舅『(´・_・`)しかしまぁ、なんであんなつけまつ毛バサバサさせた子どもみたいな子と、、、もうちっと良かおなごなら、お前もやるなと言ったところやけど…あげな子どもんごたるおなごち…あんやつぁバカばい』
と。やはりバサバサつけま気になりますよね(笑)同感です。


私達夫婦は妊娠について、今後どうするかの判断は彼女の意思に任せると言ってきました。産むなら養育費の覚悟もあることを伝えています。父親として認知することもお母さんに伝えています。

精神的に不安定な彼女に『堕ろせ』とは言えません。彼女の怒りを煽り、意地になってしまうかもしれない。
リストカットやoverdoseするような、生きる為に死ぬ死ぬ言ってる彼女に、正直育児は難しいと思っています。
それでも今は、こちら側の要望を伝える時ではないと思っていました。

夫に、彼女と彼女のお母さんから、今後どうして欲しいか言ってくれ、自分達では判断ができないと言われたそうです。
その時に初めて、夫は
『堕ろして欲しい』と伝えたと姑から聞きました。

慎さん、言ってくれたんだな…。
とても複雑な気持ちではありますし、彼女にも悪いのですが、夫の決意を嬉しく思いました。

帰ってきた夫。
両親に謝らせてしまったことを大変申し訳なく思っているようで、寝室で『申し訳ない』と声を押し殺して泣いていました。
好きだった人に辛いことを言ってきた夫。
自分の行動や言葉で、赤ちゃんの命を絶ってしまう罪を背負ってしまった夫。
うつむいている夫へ
『辛かったね、ごめんね、ありがとう』と伝えました。