身の回りで起きている天災と思われる事故が、実は「酸性雨」の影響で引き起こされているのではないかと思われるものをいくつか取りあげてみます。皆さんは、酸性雨という言葉を聞いたことがありますか?

 

酸性雨が実のなる木を枯らしている現実、酸性雨の説明はこちら⇒☆

 

「松枯れ」対策で

何故、大気汚染説は否定されているのか! 

                       

                  群馬県赤城山南面の松枯れ  撮影:筆者

某女史さんの学説

マツ樹幹内で起きていること:線虫が感染するとなぜ枯れるのか」と言うネットで次のように述べております。

 

「以前は,大気汚染がマツ枯れの原因という説もありましたが,多数の研究によってその説は否定されています。病原線虫は約100年前に北米から持ち込まれたようです。1905年に長崎でマツが集団で枯れたという最初の記録がある」と記しています。

 

「大気汚染説」は、本当に否定されたのか!

 

 松枯れ農薬空散反対広島県民会議編の「松からの警告」は次のように記している。

 

 「足尾鉱毒事件以来今日まで、このことはすべての公害に飽きることなく意識的に繰り返されてきた。「松枯れ真因(大気汚染)隠しも同じである。」原因は既に突き止められていたのである。が、1971年に「虫因説」を公認した林野庁は、すべての林業試験場に対して、松枯れと大気汚染に関する研究の中止を命令した。林業試験場からの報告は絶え、公害と同じく、以後は住民運動と幾人かの勇気ある学者が真実を訴えるだけとなった。」と記しております。

 

 某女史さんは「大気汚染説は多数の研究から否定されている。」と述べております。しかし、某女史さんの主張する「虫因説」は第80回国会で偽造・捏造されたデータに基づき制定された法律「松くい虫防除特別措置法」であることが後日判明し、当時の農林水産大臣が国会において謝罪をされた法律であるのです。

 

 松枯れ問題での「大気汚染説」は多数の「虫因説」で圧殺されてしまった感がありますが、松枯れは依然として止むことなく続き、野生動物の食料源となるべき、ミズナラやコナラが枯れ、人間の食料となるべき果樹までも衰弱し、枯れ始めているのです。松枯れ問題は1950年代後半から日本資本主義が引き起こした大気汚染による「公害」の一環であると考えるべきなのです。

 

宇井純氏の「法則第一原理」から

 宇井純氏は、東京大学卒でありながら、水俣病告発を開始したため東大での出世の道は閉ざされ「万年助手」に据え置かれた。被害者の立場に立って数多くの公害問題・環境問題と戦った数少ない学者であり、そこからの経験を基に原理としてまとめたものであります。水俣病の告発や新潟水俣病訴訟、公開自主講座「公害原論」でも活躍した人です。

 

宇井純氏は、大鹿卓氏の著書「渡良瀬川」の解題「時間の深淵を超えて」で次のように述べております。

 「今日の公害を我々が放任するならば、百年の未来にわたっても、なおその影響は子孫に及び、我々は無数の谷中村と足尾にはさまれて、その生きる場所を失うだろう。公害の根源を立つ果敢な行動無くしては、小手先の対策を重ねるほど、ますます被害は拡大し、間接化して我々の生活にあらゆる面から襲いかかる。現代の対策の大部分がいかに本質から遠いものか(途中略)我々の進んでいく方向はこれでよいのか、むしろ滅亡の方向に進んでいるのだはないか」と!

 

 そして、宇井純氏は、公害問題への加害者の対処の方法として、宇井純の法則第一原理として、公害の経験則をつかみだしました。

 

第一原理が「公害の起承転結」の四段階であります。

第一段階<起> 公害が発生し、被害が認識される。

第二段階<承> 確からしい原因が探され、発見される。

第三段階<転> それに対する反論が、原因者や公正を装う学者や行政機関から数多く提出される。質より量で、相互に矛盾しようとかまわない。

 

第四段階<結> たくさんの反論が並び立つと、第二段階で発見された正しい因果関係はその中に紛れ込んでしまい、どれがただしいのかわからなくなる。

 

 宇井純氏のこの言葉花咲爺さんの松枯れ問題の解明に、一筋の光明と勇気を与えてくれました。

 

 「大気汚染説」に対し、「虫因説」を主張する原因者である林野庁が、「1971年に「虫因説」を国会で公認した結果、すべての林業試験場に対して、松枯れと大気汚染に関する研究の中止を命令した。」それに従い、学者や行政機関の多数が「虫因説」を、矛盾を抱え、理論が成り立たないにも関わらず、無理に理論建てて全国で指導し、実施している結果「松枯れ」は止まらないのだと、花咲爺さんは考えております。

 

 

参考図書

「新版・渡良瀬川」 大鹿 卓著          新泉社発行   1972年

「松からの警告」  松枯れ農薬空散反対広島会議編 技術と人間発行 1992年

 

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 このブログをお読みになって、松枯れ、ナラ枯れ等、樹木の集団・個体の枯損でお困りの地方自治体の担当者の方々、自然保護団体の方々、個人の方等からのコメントも受け付けております。共に「効果のある樹の再生」について歩みましょう。

 

某女史さんの経歴

 2010年11月まで(独)森林総合研究所の関西支所地域研究監として、近畿中国地域の森林保全の推進を担当。同年12月から神戸大学に移り、現在 神戸大学大学院農学研究科 森林資源学研究室 教授と言う大変な経歴をお持ちのお方です。