廃案にされた「松くい虫防除特別措置法」について  

  今回は、この全く効果の上がらない、「特別防除」や「樹幹注入」が行われるようになったのかを、「第80回国会」の「松くい虫防除特別措置法」の議事録から「肝」として抜粋し検証します。            

 

 

 現在、全国でアカマツ、スギ等の針葉樹や、ブナ科のコナラ、ミズナラ、マテバシイが枯死し、最近ではバラ科のサクラやウメ等果樹も枯死しつつあることを聞くようになり、このまま樹木を枯死させれば、我々生物が最もに必要とする酸素を失うばかりか、生態系の多大な危機を招くことは明白です。

 

 国は多くの税金を使い、空中から殺虫剤の散布「以下特別防除という」や、樹木の幹にドリルで穴を開け殺虫剤を注入「以下樹幹注入」という」等の各種の対策を行っておりますが、何10年も一向に効果が上がらないばかりか、前記樹木の枯死を早める結果になっています。

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審議内容をお読みになる前に、この法案には「肝」が多くあります。

 

花咲爺さんが問題点と思われる部分をここに列挙します。

(審議議事録を転載した記事で実際のやりとりがお読みいただけます。)

 

肝1:この法案は5年間でマツ枯れを止めるという5年間の時限立法でした。

 

肝2:この法案は、林業試験場を中心に研究した経過をもとにして、航空機による薬剤の散布が最も安全で、なお、最も適確に防除できるという考え方で、特別措置法を国会に提案しています

 

肝3:この法案で国はマツの枯れの原因を、学者・研究者等が主張している大気汚染説を全く顧みることなくマツノマダラカミキリが運んだマツノザイセンチュウによる枯れと限定して考えています。

 

肝4:この法案は国民を納得させるための公開の場での調査要求を無視したもので、マツ枯れ原因を、林業試験場内部での狭い環境下での調査研究のみで全て判断し、制定した法案です。

 

肝5:この法案でおすすめの薬剤スミチオンの原液は住○化学が製造していた。この会社は、過去に別子銅山で周辺の山々の樹木を枯死させた原因を、社史で「亜硫酸ガスが酸性雨となり森林や農村に被害を発生させた」と認めている会社です。マツ枯れに対し効果のない薬剤をつくっているという現実が残念です! (住○さん、この記事を読んで、過去の事実を認めた社史の内容を変更しないでください。)

 

肝6:この法案では5年で本当に効果があるという御指摘ですが現在までの調査結果によると、激甚地では、被害本数率が大体5%以上のところ、大体3年でよかろう、それから虫害地では、1%から5%の間で、2年ぐらい、微害地では、被害本数が1%未満のところでは、大体1年間継続して実行すれば、国が考えております終息型の微害、これは被害本数1%未満の森林にするということでございますけれども、大体そういう形になるであろうと言うふうに調査いたしております。

 (松枯れは国の対策にも関わらず、現在も全国各地で発生し、止むことがないこと

 は皆さんもご承知のことと思います。)

 

肝7:この法案で林業試験場が「松くい虫防除特別措置法」提案する4年前(1974年)から現在までの令和5年(2023年)の50年間、マツ枯れに対して「薬剤を空中散布」、「樹幹注入」しても、全く効果がないばかりか弊害ばかりでした。薬剤散布は一日も早く中止し、法律を恒久法である「森林業害虫等防除法」に戻し「特別防除」「特物伐倒駆除」を削除し、真に現状に見合う法律に戻すべきと考えます。

 

 なお、この法案に添付された、空中散布すれば85%前後の効果があるとした資料は、捏造された資料であることが後日判明、農林水産大臣が謝罪しましたが、法律は廃棄されることなく3度の延長で20年間生き続け、その内容は「森林業害虫等防除法」を改正して引き継がれました。この法律に対して何の反省もなく、全く批判されることもなく、殺虫剤を撒き散らしておるのです。

 

 

読者の御熟読をお願い致します。                             

 

第80回国会衆議院農林水産委員会内容(花咲爺さんのコメント付)はこちらから⇒☆≪長文です) 

 

第80回「マツ枯れ」が止まらない理由を検証する(1)はこちら⇒☆

 

第96回の議事録から「マツ枯れ」が止まらない理由を検証する(2)はこちら⇒☆

 

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 このブログをお読みになって、樹木の集団枯損でお困りの地方自治体の担当者の方々、自然保護団体の皆様、そして自宅のや周囲の樹の根腐れや、自宅の植木の状態が心配な方はコメント欄で質問をお受けしています。樹の復活が間に合う状態と手遅れの場合も想定されますので気になる方はお早目にどうぞご連絡ください。