同じ波がないように

 

 

発達障害グレーゾーンのムスコ(ショウ’)の母のルウです。

 

ショウ‘が思春期を迎えた今も

ショウ‘を育てていくことに

ずっとずっと悩んでいます。

 

誰かに聞いてもらえたら。

少しでもこの悩みをわかってもらえたら。

 

もし、広い世界のどこかで、たった一人でも

私の書いたブログの一文字にでも

共感してもらえればと思い

 

グレーゾーンの子供の反抗期について

書いています。

 

 

ショウ’が小学校入学直前に

入学のための面談がありました。

 

ショウ’は、モノへのこだわりが強く

お気に入りのリュックがあり、

そのリュックで通学したいと思っていました。


 

入学前面談の日。

 

ショウ’は、

校長先生と副校長先生に質問しました。

 

「リュックで学校に通ってもいいですか?」

 

副校長先生は、

万が一、【みんなと同じでない】ことで

いじめられたら困るから、という理由で

「ランドセルで学校に来てください」

と言いました。

 

ショウ’は、自分を抑えることができなくなり

早口で、反論しました。

 

「学校は勉強するために行くんですよね。

ランドセルとか、リュックとか、

勉強に関係ありますか?

ランドセルじゃなければ、

勉強できないんですか。

僕はそうは思いません。

じゃあ、日本じゃない国の子供たちは

ランドセルじゃないから、

勉強できないんですか。

そんなことないですよね」

 

まくしたてるように早口で話し始めたショウ’。

ああ、ここで来たか。

一旦スイッチが入ったショウ’を

止めることは難しく

言っていることに矛盾はないにしても

ショウ’の理論武装をし始めると

自分を抑えることができません。


なだめようとすればする程

自分の主張にこだわり続けるため

下手に口を挟むと

ますますヒートアップすると思い

私は、少し様子を見ることにしました。


この頃は、まだ、私自身が

『ショウ’はまだ幼い。

見守っていれば、成長していく』と

気持ちに小さな余裕がありました。


 

校長先生が聞きました。

「どうして、リュックがいいの?」

 

「リュックの方が軽くて、

背負いやすくて、涼しくて

いいにおいがするからです」

 

副校長先生が言いました。

「普通は、ランドセルですよ。

みんな、ランドセルで登校するんだから

ショウ’君も同じがいいでしょ」

 

「同じじゃなくて、いいです。

先生、普通って何ですか?

何人いたら、普通ってなるんですか?

僕は、僕が普通だと思っているし

先生は、先生が普通だと思ってるから

普通って、ないと思うんです」

 

結局、校長先生が、

その場を収めてくださいました。

「何かトラブルが起きたときに

考えればいいから。

好きなリュックで入学式に来てください」

 

結局、リュックに関してのトラブルは

一度も起きることなく 

6年間、ボロボロになったリュックで

卒業式を迎える事ができました。


 

「リュックのこと、一度も言われなかったね」

卒業式の日に、ショウ’がポツリと言いました。

 

「波って、一つも同じじゃないでしょ。

できては、消えていく。

似てるけど、全部違う。

じゃあ、普通の波って、何?

例えば、何センチ以上何センチ未満の波を

普通とする、なんて、誰も言わないし、

考えないよね。

たぶん、瀬戸内海の人の普通の波と

太平洋の人の普通の波は、違う。

普通っているのは、相対的であいまいで

それを、誰かとすり合わせることもないのに

なんとなく、自分の思っている【普通】が

正しい【普通】だと思ってる。

だから、絶対的な【普通】はないんだよ」




 

言語優位なショウ’は

とにかく考えることが好きで

論理的なつじつまが合っているかどうかで

物事を見ています。

 

反抗期に踏み出した、数年前のショウ’。

普通はない! というショウ’が、

とうとう中学生になりました。