暑くも寒くもない、小雨の降る夕方。そんな日。

 

今僕は梅田のマクドでブログを書いている。

690円のビッグマックセットを頼んだ。高い。

 

 

ヒカキンのチャンネル登録者1000万人達成の動画を見たあの夜。ヒカキンは僕と同じ22歳のときから今までの10年間、死ぬほど努力し続けた。そしてやっと少しずつ世間に認めてもらえた。

そんなヒカキンの姿を見て、僕もそろそろ本気で努力しなければならないと思ったのだった。(その時のブログはこちら

 

あの日僕は彼女と大阪のちょっといいホテルに宿泊していた。高かった。

目もくらむような高層ビルに囲まれたオフィス街を歩きながら、無意識に「堂々とこの道を歩けるようになりたいなぁ」と呟いた。

堂々と、歩いていない。そんな気がする。この道を忙しそうに歩いているのはスーツ姿の若者や中年で、僕みたいな無職の貧乏人は歩いてはいけないように感じる。

遅くまで残業をする部屋の明かりがこの魅力的な夜景を作り出しているからだ。

 

 

このオフィス街に歩を進めることができるのは決まってこういうやつだ。

要領が良くて、サークルのことは二の次で勉強最優先。人との付き合いがうまくて、たまにサークルに来るとすごく仕事をしてくれる。

そんな奴が僕の所属していたサークルにはいた。

優秀な人材がこういう豪奢なオフィス街でキャリアを積んで、将来大金持ちになっていくのだろう。なんて羨ましい。

 

僕は今、冷たいビッグマックを頬張っている。

でもいつかこのビル街を堂々と歩いてみたい。俺だって社会に貢献しているという自信を持って生きたい。と思ったのだ。

 

 

 

だから僕は計画を立てる。

今度こそ成し遂げるために。ゆっくりでいい、焦らずちゃんとこなせる計画を立てる。

 

小さい頃からの夢、「俳優」。

そもそも俳優とは何なのだろう。改めて考えてみる。

 

役者と俳優の違い。

役者はそれだけでは食べていけず、俳優は食べていける。簡単にいうと両者の違いはここにある。

 

では僕が俳優になるにはいくら稼げればいいのか。

いずれはひとり暮らしをするつもりだが、今は実家で暮らしている。

生活にあまりお金はかからないが、貯金も兼ねて月に10万ほどは稼いでおきたい。

 

しかし、俳優業で月10万円を稼ぐには舞台の仕事だけでは叶えられないだろう。

演劇サークルに所属していた縁でたまに舞台に出させてもらうが、報酬はほとんどない。むしろ交通費など出費の方が大きいのである。

 

あと、俳優は大きく分けると2種類いる。舞台俳優と映像系の俳優だ。

 

僕は小学校の頃に見たドラマ「ライヤーゲーム」の松田翔太に憧れて俳優になりたいと思った。

だからどちらかというと映像系の俳優になりたかった。

一方で大学で演劇と出会って、演劇にしかない魅力を知った。

だから映像でも舞台でも活躍する俳優になりたい。

 

 

現実問題、月10万円を稼ぐ俳優になるには芸能事務所に所属するのが一番いいと思う。

でも今は芸能事務所に興味はない。俳優志望の多くは芸能事務所所属を目標としている。

芸能事務所に入ると一般には公開されていないオーディション情報を始めとしてさまざまなメリットが得られる。しかしその一方、仕事を選ぶことができないというデメリットもある。

 

仕事を選べる立場でもないのにこんなことを言うのは同じ夢を持つ仲間に失礼だと思うけど、僕は(いきいきと)生きるために演技をするのであってお金を稼ぐために演技をしたくない。(この文意味わからないと思うので、別のブログに書こうと思う。)

 

 

とにかく今は芸能事務所に所属するつもりはないし、オーディションに受かるほどの技量は持ち合わせていない。

では今何をしたいかというと、俳優としての基礎的な部分をたたき上げたいと思っている。

 

例えば、「君を愛してる」というセリフを言うとき僕は本当にその気持ちを込めることができるのか、相手役の人に届くのか、お客さんに受け入れられるのか。僕が舞台上で発するセリフで本当に本心から伝えたと思ったことはほとんどない。つまり自分でも「嘘っぽい」と思いながら演技をしている。

これでは芸能事務所所属どころではない。自分で嘘っぽいと思っているのに、お客さんに伝わるはずがない。これまでは器用に小手先だけで演技してきた。でもこれからは、自意識を抑えて役に没入できる透明な俳優になりたい。

 

と言いつつも今まで何もしてこなかった。養成所に行くお金がないとかやり方がわからないだとかやらない理由を見つけるのがうまかった。

もう22歳だ。知り合いは就職したり夢を追いかけたりしている。

僕が就職をしないという決断をしたのは、俳優になるためではなく、働きたくないからか?

正直なところ働きたくないというのも含まれている。だけど、夢を追いかけるというのは働くことよりももっとしんどくて苦しいことだろう。仕事は会社を出れば終わるが、夢は私生活にピッタリ付き纏っているからだ。

 

もうすぐ23歳になる。まだまだ人生の谷の方へ降りている。

そろそろ頑張れ、俺。

本気で努力しろ、俺。

ゴロゴロ惰性は終わり。

 

小学校のとき、卒業式で泣きながら壇上で夢を叫んだ僕を笑った保護者たち。

中学校のとき、テニス部の大会終わり、汗と夕暮れに包まれて告白してできた初めての彼女。

高校のとき、夢を叶えるためにこれまでで一番努力して、落ちた大学受験。

大学のとき、嘘一つない完璧な舞台で畏怖さえ覚えた先輩の新歓公演。

留学中、中途半端な語学力に後悔と絶望を感じた。誰も助けてくれないと思っていた。人と会うのが怖くなり、でも孤独に耐えきれず過ごした、涙のクリスマス。

休学中、いつしか僕の夢は僕自身も信じきれないほど色褪せてしまった。もう誰も僕が俳優になれると思っていない。

 

思い返せば、僕の22年にはたくさんの「悔しい」、や「絶対見返してやる」、「現実か疑うほどの幸せ」、「羨ましい」があった。特に、嫌なことがあったときに「将来絶対有名になって見返してやる」と恨んだことをよく覚えている。

 

 

23年目からは、昔の僕が夢見た「将来」に近づく努力をしよう。

俳優として10万円稼ぐ前に、まずは自分が自分の演技を嘘っぽいと思わないように演技の基礎を学ぶ。

僕が自分の演技を本物だと感じることができたら、僕の中で色褪せてしまった俳優という夢も輝きを取り戻すと思う。そうすれば周りの人にも僕の夢を信じてもらえるかもしれない。

 

もうお金がないとかやり方がわからないとかいう言い訳はしない。やることはとてもシンプルだ。

自分の演技をカメラで見ながら分析すればいい。

みんなありのままの自分を見たくないものだ。でも自分で思う自分と、他人から見る自分は違うことが多い。声とか。

客観的に自分と向き合うことは、芸能事務所に入ってようがニートであろうが誰にでもできる。嫌だけどやってみる。

 

 

題材は渋谷悠さんのモノローグ集『穴』だ。

モノローグは一人芝居と同じで相手を必要としない。だから1人で少しずつ練習してみようと思う。

 

 

 

もう一冊、鴻上尚史さんの『演技と演出のレッスン』を購入した。これは演技が自分にとってもお客さんにとってもリアルなものにするために必要な技術の練習方法が書かれている。

 

さっき梅田のジュンク堂で買ったこの2冊を使って、俳優に最低限必要な技術を磨く。

2冊合わせて4000円ほどだったが、高いとは思わなかった。690円のビッグマックは高いのに笑。

 

あまり具体的な計画ではないけど、自分の中である程度手応えを感じてお金が貯まったら次のステージに進めると思う。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。今は俳優の卵にもなれていないですが、これから本当に努力します。

夢を持っている人、今はつらいですが一緒にがんばりましょうね。

もしよければ、いいバイトあったら教えてください笑。

 

では。