TODAY'S
 
エミリア・ペレス(2024年 スペイン語のフランス映画)

 

 


 

 

  頭をガツンと殴られたような衝撃

 

「メキシコの麻薬王が性転換?!」という予告映像を見て、

トッツイーのようなコメディタッチな映画なのかな?と思ったら、大間違い!

 

シリアスで重たい話で、胸が締め付けられて泣きたくなる場面が満載!

かと思うと、いきなりのミュージカルが始まる。

 

なんなのこれは?

頭が真っ白になってしまいましたが、

「言えないことを歌と踊りで爆発させる」演出が天才的でグイグイ引き込まれました。

 

 

  喋ったら殺されることを黙って生きてる人は、パカッと「陽気」になる

 

ゾーイ・サルダナさんが演じる若手弁護士リタが、怒りも悲しみも全部歌でぶちまけるシーン、
情熱的でかつ美しくて、すばらしい!

プエルトリカンが歌って踊る映画「インザハイツ」を彷彿とさせる、キレのいいダンス!

 


最初は違和感がすごかったのに、ミュージカルの力でスッと心に入ってきて、

 

  ありえない話ではなくて、現実にいてもおかしくないと気が付いた瞬間、胸が痛みだす

 

麻薬王(ギャング)の仁義なき世界と飛び交う巨万のマネー!にドギマギ!

 

女性になったマニタスの美しいこと。

外国人女性って体が大きい人が多いから、なんか違和感なくて、こういう女性なんだなと自然に受け入れてしまいました。

このマニタス=エミリア・ペレスを演じた役者さん、本当にトランスジェンダーの方なんだそうです。

 

 

トランスジェンダーの苦しみ、麻薬を売る闇の組織とはいえ、
大組織のボスとして人を統括して生きてきた男の中に母性や愛のようなものが眠っていたのか?


マニタス=エミリア・ペレスを演じたカルラ・ソフィア・ガスカコンさんは実際にトランス女性なんだそうです。だからこその説得力で、麻薬王→美しく強い“お母さん”みたいな女性への変貌が自然すぎて、見事でした。
 
 
 

 

  ジェンダーギャップを考えることで自分を取り戻す

 


私はマニタスとは逆で、若い頃、不躾に性的対象として見られることに耐えられなくなって
「女であることが不利すぎる」と感じて、
「早くオバサンになる」ことを夢見みながら、
若いうちは、心は女なのに、髪を短髪にして、化粧を止めて、男っぽい服装で生活して、自分を守ってました。


マニタスも「麻薬王」として、恐れられる男を演じ続けていたんですね。
だから、心の中はずっと苦しんでいた。
それでエミリア・ペレスとして生まれ変わった。
彼は彼女になることで、自分を取り戻したんですね。
すてきなオバサンになってました。

だから、私とマニタスは目指す未来像が一緒(おばさん)だったんです。
彼(彼女)に共感するところが大でした。


妙に共感して「エミリアと友達になりたい…!」って本気で思いました。

 

 





賛否両論出そうだけど、私は完全に心を掴まれました。
フランス映画らしい骨太で繊細なテーマで、すばらしかったです。

この映画は当たり!!
オススメします。

まだ見てない人は絶対劇場へ!!