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リーンの翼

 



 
 

私は、あまりアニメを見ない方のですが、

日本を代表するアニメ「ガンダム」の作者 富野由悠季さんの作品に、太平洋戦争で米国に負けた日本人が戦後培った「反戦・平和」の精神や、住民を巻き込んで多くの民間人が犠牲となった沖縄戦(戦争は兵士と兵士が闘うもので、住民を巻き込んではならない)に対する痛烈な批判、さらに特攻をして死んでいった英霊たちの無念を慮る、彼らに対する追悼の思いが込められた作品があると聞き、鑑賞しました。「リーンの翼」という全6話のWEBアニメです。

 

 

愛護の最後まで「リーン」の意味は分からなかったのですが、『エヴァンゲリオン』のように巨大生物をコントロールする戦士たちが登場し、今の日本を皮肉るような展開もあり、辛辣で苦い物語でした。

 

 

 

1941年生まれで、戦争を実際に知る世代の富野監督が、実際に見てきた戦争と戦後日本、そして、「闘うこと」の意味を問いつ続けながら「ガンダム」シリーズを産み出してきたんだろうなあ…と富野監督の心象世界を垣間見たような作品でした。

 

私は幼い頃から、戦闘シーンがある映画、ドラマもアニメも、戦闘シーンになると、頭が真っ白になって、

お祈りをしながらら、ひたすらに戦闘シーンが終わるのを待って、穏やかなシーンが戻るのを待つ…ということをずっと繰り返してきました。やはり、この作品も、戦闘シーンで頭が真っ白になってしまい、ストーリーにのめり込むというより、解離的な感覚に陥ってしまいました。

 

沖縄戦を描いた映画では、人々の会話のあと激しい爆撃が始まり、爆撃の間は隠れて体を小さく縮こませ、固く目を閉じて嵐(爆撃)が去るのを待つ……という場面があります。


だから、バイオレンスが起きると人は私のように頭が真っ白になり、全神経を停止させて硬直状態で嵐が過ぎ去るのを待つ、というのはわりと普通の反応ではないかと思います。ストーリーに没頭できず乖離状態になるのも、珍しくはないはずです。

なので、バイオレンスが発生した時は、人は私のように頭が真っ白になって、全神経を停止して硬直状態になって嵐が過ぎ去るのを待つ…というのは、わりと普通の反応ではないかと思います。ストーリーに没頭できず乖離状態になるのも、珍しくないはずです。

 

一方で、闘うモードに脳が切り替わり、没頭して入り込める人もいる。富野監督は制作者として、内なる葛藤を抱えながらも「闘う人」の物語を産み出してきたわけで、そこにはやはり「闘う」必然性があるのでしょう。日本は憲法で戦争放棄を掲げ、「自衛」だけに特化した自衛隊が存在していますが、攻撃されたときに「反撃するのか」という命題はずっとつきまとっています。

私も「闘うべきときは闘わなければならない」とは考えていますが、そのときに「勇気を出せるか」が、今の私の大きなテーマになっています。

私の出身地は沖縄です。米軍基地があり(反米国の標的になる可能性もある)、国境の島で台湾も近く、尖閣諸島の領有権を中国が主張し始めている……なんだかキナ臭い話が絶えない場所です。

今回の「リーンの翼」では、沖縄戦や特攻隊、在日米軍、かつての原爆など、ガンダムではあまり触れられなかった「現実」の出来事が、ガンダム的なワールドと結びつき、少しだけリアルで幻想的なSFアニメに仕上がっていました。地上波ではオンエアされなかったそうですが、そりゃそうだよなと思います。

「沖縄出身者は観ておいた方がいい」と言われて見ましたが、今、日本のアニメは世界を席巻するほど人気で、国内外のファンが「沖縄といえば、『リーンの翼』に出てきたあの沖縄」なんて言う日が来るのかもしれませんね。私はガンダムブームの外側にいましたが、この作品は「見ておいて良かった」と思える日が、遠くない将来に来そうな気がします。たかがアニメ、されどアニメ。大人たちが人生をかけて作り上げた日本のアニメ。作り手の深い思いが色濃く反映された作品を通じて、戦後日本を違う角度から考えるきっかけになりました。