最近更新が滞ってますが、実は記事は常に準備中です。残念ながらなかなかまとめ切れていないのが現状です。

チェスを指してて思ったこと

まあ、最近はchess.comというサイトでオンライン対局をしているのも関係はしているのですが・・・。で、そのチェスをやっていて気が付いたのですが、自分にオープニングの知識が十分に無いと何を指していいのか、良く分からないということです。

取り敢えず白番の時だと、私はいつも1.e4と指しています。(図1)

(図1)
$将棋日記 by yamajunn21

この手はチェスでは、伝統的で常識的な手です。この後、1...e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5とすれば、Ruy Lopezというオープニングになったりします。

ところがです、黒の1手目の1...e5っていうのもポピュラーな手では有るのですが、他にも有力な手が、1...c5(シシリアン・ディフェンス)、1...c6(カロカン・ディフェンス)、1...d5(センターカウンターゲーム、又はスカンジナビア・ディフェンス)、1...d6(ピルツ・ディフェンス)、1...e6(フレンチ・ディフェンス)その他にも有り、さらに、2手目以降も変化することを考えると本当にキリがありません。

白番で初めに挙げた、ルイ・ロペスを目指しても、これくらい色々と変化の余地が有るということです。これは初心者の間はかなり大変な負担です。


こんな事は初心者の時は当たり前だったはずですが、将棋に関しては何時の間にか忘れてしまってました。


という訳で、将棋の初心者が覚える戦法には何がいいだろう?という事を少し考えてみました。自分のチェスの経験から言っても、なるべく覚える事が多すぎなくて済むような戦法(より正確にはオープニング・レパートリー)は無いだろうか?というのは初心者のうちは結構大事なことではないかと思います。


初心者に勧められるということで、条件を色々と考えてみました。一つ目は上にも書いたように、「覚えることが多すぎない」ということです。少しニュアンスが違うかもしれませんが、「相手の指し方によってあまりにも方針が変わりすぎないほうが良い」と思われます。


相掛かりを目指したら・・・

例えば、先手番で相掛かりを目指して初手▲2六歩と突いたとします。後手が△8四歩と応じてくれれば、メデタシメデタシ▲2五歩から相掛かりの将棋になります。引き飛車棒銀とか、中原流の▲3七銀戦法など指したい戦法に持ち込む方向で進められると思います。

ところが、2手目に△3四歩と突かれると(2図)もうそのままでは普通の相掛かりにはなりません。この場合普通は▲7六歩と指すことが多いのですが、▲2五歩や▲4八銀も有ります。

(2図)
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(初手から▲2六歩△3四歩まで;2図)


3手目に▲7六歩と角道を開ける展開を考えてみます。後手の4手目はかなり手が広いところです。有力なものだけでも△8四歩、△4四歩、△5四歩、△3二金、△3三角、△4二飛、△9四歩、△8八角成と沢山あり、他にも成立するかもしれないものや初心者レベルでは咎めづらい物も考えるとさらに△7四歩、△3五歩、△2四歩、△1四歩という選択肢も考えられそうです。全部合わせると12通りも有りました。

(ただし、後手が△8四歩から横歩取り模様にした時に横歩を取らずに飛車を引けば相掛かりに誘導できます。)


3手目に▲2五歩と指した場合は、変化の幅は少なくなりますが、もう相掛かりにはなりません。後手の振り飛車か角換わり模様の将棋になると思われます。▲2五歩△3三角の後は通常は▲7六歩、引き角戦法を目指す場合は▲4八銀も有ると思います。

▲2五歩△3三角▲7六歩の後の後手の指し手は、△2二飛、△4二飛、△2二銀、△3二銀、△4二銀、△4四歩ぐらいは可能性が有りそうでしょうか?数の割には、後手の振り飛車(角交換振り飛車を含む)か角換わりのどちらかになりそうなので、覚えることはかなり減りそうです。ただし、先手のみが形を決め過ぎているのが少し不満では有ります。


3手目や5手目の▲4八銀は後手が振り飛車党の場合に引き角戦法を目指す指し方なのですが、後手に△8四歩から居飛車にされると、初心者レベルでは対応が難しいので無いかと思います。


と挙げてみたように、先手番で相掛かりを目指すだけでも、他にある程度の戦法に対応出来る必要が有ります。さらには、後手番の時は直接相掛かりを目指すことは出来ず、比較的似た感じの横歩取りに誘導するのがオススメですが、それでも先手に振り飛車や矢倉にされると別の戦型になります。


本来自分の目指す戦型(相掛かり)の他に、変化された場合の備え(後手振り飛車、角換わりなど)、でさらに後手番の時にどうするか(横歩取り)、それも外された場合はどうするか(先手振り飛車、矢倉)の準備まで必要と言う事になります。



振り飛車は?

取り敢えず、一般的に昔から初心者に進められる事が多いのでないかと思う、振り飛車について考えてみます。取り敢えずは四間飛車で話をすすめてみます。

先手で振り飛車を目指す場合は▲7六歩と角道を開けます。後手が△3四歩ならすぐに▲6六歩と角道を止めて(3図)その後▲6八飛とすれば四間飛車に出来ます。(後手も振り飛車にする場合は後で補足します。)

(3図)
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(初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩まで;3図)


また後手が2手目△8四歩の場合にも▲6六歩でもいいですし、すぐに▲6八飛(4図)としても良いと思われます。

(4図)
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(初手から▲7六歩△8四歩▲6八飛まで;4図)

後手が2手目に△3四歩でも△8四歩でも同じような展開に持ち込むことが出来ます。さらに、初心者にとってももう一つ望ましいことが有ります。「玉の囲いが分かりやすい」事です。飛車を振ってしまうと右側にはもう、飛車も角も無いので、玉を囲うのに邪魔な駒が有りません

▲2八玉まで移動して、▲3八銀なら美濃囲い、▲1八香から穴熊囲いにも出来ますが比較的囲い方が分かりやすいのは間違いないと思います。比較的分かりやすい例を挙げると5図の様な感じに組めばいいのでないかと思います。

(5図)
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(4図以下△3四歩▲6六歩△6二銀▲4八玉△4二玉▲3八玉△3二玉▲2八玉△5四歩▲3八銀△5二金右▲7八銀△8五歩▲7七角まで;5図)

手順中で、気をつけるべきなのは「(1)△3四歩には▲6六歩と突いて、角交換を避けること」、「(2)△8五歩には▲7七角と受けること」です。後は手順には現れないのですが、もし後手が△3三角~△4二角として8筋で角と歩を交換する狙いが有る場合は、▲8八飛として受ける手が間に合うように準備しておく必要があります。

ここまでを見ると振り飛車は初心者にとって理想的な戦法の様に思われます。しかし1つ大きな問題が有ります。5図に組み上がるまでは良いのですが、組み上がった後の狙いが分かりづらいことです。


後手からは、急戦の方針では、
△5三銀左急戦
 △6五歩早仕掛け
 △6四銀(左銀)戦法
 鷺ノ宮定跡
やそれらから派生するような戦法、
棒銀
6四右銀戦法
持久戦の方針では、
位取り
 五筋位取り
 玉頭位取り
左美濃
居飛車穴熊

といろいろ有りますし、また後手も初心者だと、攻めて来ずにグダグダの戦いになるかもしれません。それで何か少しでも良い先手の指し方は無いかと考えてみました。私の答えは「▲6五歩ポン戦法」です。

この「四間飛車の▲6五歩ポン戦法」というのは、名前の通り▲6五歩と突いて、角道を開け、角交換したり居飛車側が、△4四歩と角道を閉じれば▲6七銀~▲6六銀と進出して攻めを目指したりする戦法です。

詳しくは 「B級四間飛車の達人」という本に解説されています。


先手は▲7八銀型で待機しておくことで、△6五歩早仕掛けや△6四左銀戦法、△6四右銀戦法を封じています。(△6五歩には▲同歩△7七角成▲同銀で後手は単なる一歩損になる。また△6四銀には▲6五歩と突いた手が銀取りの先手になり、後手はっきり損になります。)これらの戦法は全て、▲6七銀型に対して有効な指し方です。

その結果、対応しなくてはいけない形が後手の棒銀と鷺ノ宮定跡と持久戦に絞ることが出来ます。▲7八銀の形で駒組みを進め、居飛車側が棒銀に△8四銀と出てきたり、居飛車穴熊に組むために△3三角と上がったりしたタイミングで▲6五歩と突くのがポイントです。

この▲6五歩ポン戦法については、今後詳しく解説してみたいと思います。意外と奥が深く、色々と応用が効く面もあったりします。


さて、以上の様に四間飛車の▲6五歩ポン戦法は、初心者向けの戦法としてはかなり、理想的だと考えました。ただし、今までの話で幾つか触れていなかった事があり補足して、今回の記事を終りにしたいと思います。


まず、一つ目は、「なぜ四間飛車で話を進めたか?」です。この答えは駒組が覚えやすく、後手番の場合いもほぼ同じような駒組みが可能で応用がかなり効くからです。

先手三間飛車の場合は、キチンと組めば後手からの急戦をほぼ封じることが出来るのですが、後手番の場合は▲4五歩からの早仕掛けをキチンと受けるのは、大変そうです。また居飛車穴熊という鉄板の作戦が有ります。

中飛車の場合は5八(又は5二)に飛車がいるので、自然に高美濃に組みづらいという事情が有ります。また左金を▲7八に上がる形は中飛車の常套手段ですが、玉を固めにくいのはやはり欠点の1つだと思います。また、中飛車の場合も居飛車穴熊が非常に手強いという事情は同じです。

また向かい飛車は、居飛車側が飛車先を△8五歩(又は▲2五歩)と伸ばしてくれないと組みにくいし、歩を突かれないのに角を上がって向かい飛車にしても空振りしたようになり、イマイチ迫力に欠ける感じになってしまいやすいです。



それから2番目に、ゴキゲン中飛車や石田流の様な、現在流行の戦法、角道を止めない振り飛車をなぜ勧めなかったのかということです。これらの戦法を選んだとしても正直良いと思います。

ただし、角を交換して打たれる筋を序盤の早い段階から、しっかり覚えておかなければいけないという事が、勧め無かった一つの理由です。もしこの対策がキッチリ出来るのなら、これらの戦法も良いと思います。

次の理由は先手と後手で選べる形が少し違うということです。先手でゴキゲン中飛車に誘導するのは、相手の指し方次第では難しいですし、後手で石田流はかなりハッキリ咎めにくる筋が有ります。

また、後手ゴキゲン中飛車で仮に▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲2五歩△5二飛まで進んだとして、先手の有力手は、▲2二角成(丸山ワクチン)、▲7八金、▲5八金右、▲4八銀(超速▲3七銀、居飛車穴熊)など色々有り、それぞれに対策を用意する必要が有ります。



それから最後に、今回の話しでは先手四間飛車で、後手が居飛車にするものとして話を進めましたが、後手にも変化の余地が有ります。3図までの進行となると、先手は早くも角道を止めているので、後手から△3五歩、△3二飛、△3三角、△5四歩などとして相振り飛車にしてくる展開と、△6四歩から右四間飛車にしてくる展開が考えられます。

結局は、▲6五歩ポン戦法を指そうと決めていても、相振り飛車と右四間飛車の対策は準備が必要という事になります。

ただ、そこまで考慮しても、対応しなくてはいけない形が、比較的限られるので、まだ初心者向けの戦法と言っても良さそうな気がします。先手後手共に四間飛車を目指し、相振り飛車右四間飛車と後手番の場合に3手目にいきなり角交換される変化まで、準備しておけば取り敢えず、ひと通り指せそうです。


と、ここまで書いて、やっぱり将棋を指すのはなかなか簡単じゃないなあと思いました。これでもやはり本当の初心者にはかなり難しそうです。




次回は、自分が居飛車をやりたい場合には、どういう方針で戦型を選べば良いのだろうかという事を考察したいと思います。今回は図面や指し手の解説が少なく、文字ばかりで分かりにくかったかもしれませんが、もう一回難しい話になります。

その次以降に、今回の内容を深めていきたいと思います。