岩手山の山頂に鷲が現れると本格的に春だと言う。
なるほどたしかに大きく翼を拡げてるように見えますなあ。農家の方々はこれを合図に春に蒔く種の作業を始めるとか。
まあまだ桜は咲いてないんだがね!
岩手の南のほうではちらほら咲いてるようだが盛岡はまだです。(笑)
さて、お話は変わりますが。
うちの従弟であるルークは、今年から無事に新社会人でございます。
うーむチョイと20年くらい前にはちっちゃくてもちゃもちゃしていたガキんちょがスーツ着て会社に行くようになるとは…時は流れるねぇ。(笑)
就職先は缶詰の工場なんだそうです。缶詰つーてもジャムとかも作ってるらしいんだが。
大学は青森だったが仕事場は岩手に戻って来たので、今はお馴染み叔母夫婦とのお食事会にも顔を出してくれてます。
ルークは身体も大きくもりもり食べてくれるんで料理の作りがいがあるんですわー。
で。
なんとルーク。
今年で23になるというのに、あの缶詰を食した事がないんだそうです。
それは……【コンビーフ】。
ご存じ牛の肉を使用した、昔から愛されてきた日本の誇りを体現するようなあのちょっと特徴的な缶詰である。
うちでは親父が愛してやまないコンビーフ、もちろんわたしも幼少の頃より食べてきたのでコンビーフ大好きなわけだが…。
個人的にはオール牛肉よりも馬肉の混じったコンビーフのほうが好きだったりするがまあそれはともかく、これはルークに食わせてやらねばなるまい、という謎の使命感に燃えたわけであります。
もともと叔母一家があまり食事に缶詰出さない流派っぽいので無理もないかなとは思うんだが、缶詰工場に勤める身となるのならばコンビーフの味を知らずに缶詰を扱うのは無謀にも程があるというかなんというか。なんかもう自分でも何が言いたいのかよく分からないがまあルークにコンビーフの美味しさを味わってほしいと思ったのである。
さて、コンビーフといってもどう料理するか。
ぶっちゃけそのまんまかじっても最高なんだが、ここはひとつ何かしら手を加えて料理っぽくしたいわけで。
コンビーフの料理でググってみたが、ジャガイモと炒めてジャーマンポテトっぽくするのが人気のようである。
……が、叔父がお医者から食事制限を受けていて、ジャガイモはできるだけ控えるようにと釘を刺されているのである。
ならば──親父の好物である、卵とじコンビーフを作るしかあるまい。
コンビーフを炒めて卵で閉じるだけ、コンビーフの旨味が卵に染み込んで最高な卵とじならばルークも喜ぶであろう!
……………で。
皆さんご存知だと思うが、コンビーフの缶詰は開け方に少々特徴がある。
指引っかけてぱっかんしたり、缶切りでキコキコするような開け方ではないのだ。
この缶詰を知らないルーク。おそらく開け方も想像つかないのでは…とイタズラ心が湧いて、試しに開け方の書かれたシールをはがし缶詰を渡してみたのである。
そして……。
もー面白いくらいピンであちこちつつきまくり、「あれ?」「あれ?」と首をかしげ、かんかんこんこん缶詰を叩いてはひっくり返して途方に暮れる様が可愛いのなんの。(大爆笑)
いやー前にテレビで『最近の若者はコンビーフの缶の開けかたがわからない』ってのやってたけど、まさかリアルで見られるとは!
缶のツメ部分を引っかける、まではできたけどピンの向きが反対だわ巻かずに引っ張ろうとするわ、なんというかもう本当に最高に笑わせていただきました。
巻き巻きして開けるとかまあ思いつかんよなあ…(笑)
特別にちょっぴり生でご飯に乗せてやったり、卵とじになった初めてのコンビーフを食べてみたルーク。
気に入ったようでもくもくもくもくちまちまちまちま食べてました(笑)
こやつは控えめな性格なので大っぴらにおいしー!とか言わないのだが、気に入ると地味に黙々と箸を伸ばし続けるのでわかりやすいのである。(笑)
そんなわけで、私の悪巧み…いやいや激励は大成功でございました。
今週の日曜は中華料理で晩餐会なので、ルークお得意の麻婆豆腐が食べられると今から楽しみなのである。
私は何を作るかなあ…。