「ラーメン一杯」。。。

貴方は幾らぐらいの値段が適正だと思いますか?



600円なら「オッ!安い!」700円なら「普通かな?」800円なら「今時だからしょうがないな。。。」

しかし、最近では1000円を超えるものも珍しくありません。



「庶民の食べ物であった筈のラーメンに1000円も払えるか!」と憤る諸兄‼️

その気持ちも良く分かりますが、ちょっと待って。。。。

本当にラーメン一杯1000円は高いでしょうか?

ココにこんなデータがあります。

国の統計資料を見ると、中華そば・ラーメンの一杯の平均価格は、昭和371962)年に48.5円、昭和50年に211円、平成元年に437円、平成10年に515円、平成222010)年に594円と推移しています。

つまり、48年で約12倍にまで上昇しているのです。



バブルが崩壊したのが1992年で、その頃のラーメン一杯が約450円とすると、昭和30年代から30年近くで10倍近くにまで爆上がりしているのに対し、それ以降の現代に至る約30年では1.5倍にも満たない上昇率なんです。

この30年ほどを振り返ると、その間、ラーメンの材料費は値上がりし、消費税増税や、バイトを雇うのに最低賃金も525円から1013円と倍近くに上がっているのです。

何故、ラーメンはそれほど値上がりしなかったのでしょうか?



元々ラーメンは、昨今、町中華と呼ばれるような、チャーハンや餃子、レバニラ定食などもあって、出前もやっている街の中華屋さんで食べられるほうが多かったのです。

それ以外は屋台でしたが、その屋台から独立して、ラーメン一本で店を構える専門店が増えてきたのです。

同時に博多ラーメン、札幌ラーメン、喜多方ラーメンなどのチェーンも台頭し、後に環七ラーメン戦争と呼ばれた8090年代で、一気にラーメン専門店でラーメンだけを食べに行くスタイルが出来上がっていきました。



今でこそ、街中にラーメン専門店が沢山目につきますが、これは前世紀まではない光景。。。

ラーメンが専門化すれば、その店でしか食べられない凝ったもので店同士が競うようになり、自然と、材料費も時間もかかります。

スープを取る食材は元より、チャーシューも良いものになって行くのは当然の理。

ましてやウクライナ危機で全て値上がりの時期。。。



なのに、昔ながらの中華そばは「庶民の味方」というイメージだけは根強く残り、原価や労働力に見合わない価格にしないと、他店との競争に勝てないし、チョットでも値上げすると、すぐに高いだのと文句を言われる矢面に立たされてしまうのです。

特に中華料理店や大衆食堂など、昭和の商店街で普及した大衆的な飲食店はこうしたイメージを持たれがち。。。

つまりラーメン店が高いと言われるのは、家族経営といったアットホームな街の食堂的な側面と、そこから脱却し専門店化へと舵を切ってきたという二面性があることに、我々食べる側が無自覚である点が大きいのではないでしょうか?

「庶民の味方」と言いながら、同じラーメンという食品だからといって、ラーメン専門店に見合わない安さを求めてはいないでしょうか?

自問自答します。。。



豚骨ラーメンチェーンの「一蘭」さんなどは替玉をすれば1000円を超える価格となり、さらに同チェーンの豚骨不使用の店舗に限れば1500円さえゆうに超えるラーメンがざら。。

また、海外に目を向ければ、「一蘭」さんのラーメンは一杯1000円どころか、2000円近くするそうです。



勿論、材料をどう調達するかなど、日本でラーメンを作るのとは異なる事情があり、一概に日本と比較は出来ませんが、それでも1回のランチにかけられる価格の差が、日本とは違いすぎます。



見方を変えれば、日本は30年経済が停滞したとも言えますが、30年で1.5倍ほどの価格上昇。。。

しかもその中身のコストも全く同じではなくなっているのにも関わらず、値段だけを見て高い!「庶民の味方」なのに。。。と消費者の勝手なイメージで決め付けているのではないでしょうか?