サバにマグロを産ませる技術で養殖業に変革を起こそうとしている、スタートアップがあるそうな。東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門の吉崎悟朗教授がやっている、魚に別種類の魚を産ませる技術だ。「代理親魚技法」と呼ばれているそうだ。天然ものが獲れにくかったり、養殖が難しかったりして一般に流通していない魚を養殖できるようにする技術だ。もう25年前から開発されてきていたが、ついに事業化されようとしているらしい。
代理親魚技法は、魚Aが持つ卵や精子のもとになる細胞を、魚Aと似た魚Bの体内に移植する。すると、魚Bが魚Aの卵や精子を産むようになる。そして、魚Bが産んだ魚Aの卵に魚Aの精子を受精させ、魚Aを育てるというものだ。天然ものが獲れにくかったり、養殖が難しかったりする魚を魚Aに使い、養殖しやすい魚を魚Bとして使うことで、本来ならなかなか食べられない魚を安定生産できる、というものだ。
吉崎教授は「サバにマグロを産ませる」ことを研究開発してきた。まだ「サマにマグロ」は実現していないが、これまでに、ニジマスにヤマメやイワナを産ませることや、クサフグにトラフグを産ませることは成功しているそうな。また、1回産卵すると死んでしまうサケを、繰り返し産卵できるニジマスに産ませることで増産できるようにし、研究成果を発表した。
代理親魚技法を事業化するためのスタートアップ=さかなドリーム(千葉県館山市)を操業した。同社は味に定評があるが養殖技術が確立されていない魚「カイワリ」を安定して養殖できるマアジに産ませようとしている。カイワリはヒラアジとも呼ばれて脂の乗りが良い白身魚でうま味が強く柔らかいとされている。
最近NHKのドラマで「燕は帰ってこない」という番組をみた。こちらは、人間の代理母のお話だ。著名なダンサーだが妻が妊娠できない主人公が遺伝的に子供を作りたいので、精子を保存しておき、代理母になる若い女性に妊娠させることで子供を得るお話。これを思い出してしまった(^^)。
いずれにせよ、日本の養殖技術は凄いと思う。この分野でも日本が世界をリードしてほしい。