産経新聞が今シリーズで連載している、「世代 ロシア 止まらない侵略」ではウクライナ侵略戦争についてのロシア人から見た論理が書かれていて面白い。
ロシア人の中年世代の多くの人は、ソ連末期のペレストロイカや1991年のソ連崩壊を思春期に経験した。今50歳の人はソ連崩壊時には18歳ごろだった。
ソ連崩壊でもたらされた自由や欧米の文化を謳歌した一方で急進的は市場経済化で国中が大混乱に陥り多くの人が困窮にあえいだ。そんな90年代を経て2000年に大統領に就いたのがプーチンだった。強権的な統治によって自由は縮小したが、その代わりに国際石油価格の高騰に助けられて経済は高度成長の軌道に乗った。
「この戦争は避けられなかった。ウクライナはロシアと兄弟国だったのに、米国にそそのかされてロシアと縁をきろうとした。更にロシア人を攻撃した」と。
ソ連崩壊後の90年代について、欧米が自身の政治や経済のシステムをロシアに押しつけ混乱を引き起こした、と考えている者が多い。
「プーチンは正しい。欧米はロシアをだました。」「欧米とロシアは別の論理で生きている」「プーチンは国を発展させた」といった具合だ。欧米への敵意をあおり、国民の団結を図るプーチン政権の手法が効いている。
中年世代がプーチン支持に傾く理由について、「中年世代には社会的地位や資産、家族など守るべきものが多い」「彼らの多くはプーチンが居なくなって社会に変革が起き、既に入手したものを失うことを恐れている。彼らにとってプーチンは政治というより生活のシステムなのだ。」つまりプーチンが一種の「安定の象徴」と考えられている。

我々西側の国からみると、信じられないことのようだが、彼らの論理からするとこんな考えが大勢を占めるのか・・・・。