私は富士通OBだ。今も富士通の株を持っているが、経営に関してはあまり興味がなかった。なので、15年前ぐらいから、経営陣の管理体制が大きく変わったことにも無頓着だった。
それまでは、社長以下取締役がいて(副社長、専務取締役、常務取締役、平取締役の構成だった。ところが、この15年前ぐらいから、取締役に加え、「執行役員」なるものが出来た。多分、法律が改正されたのだろう。
しかし、会社の経営実務はほとんど執行役員により意思決定されて、取締役会の位置づけは明確には分からなかった。
日経ビジネスオンラインの記事「取締役会の強化を阻む声」を読んで、いくつか分かったことがある。
取締役会が明らかに強化してきている。取締役会が経営陣を監督する「モニタリングボード化」が名実ともに進んできた、とのこと。会の機能は監督と執行に分れる。
会での議論は、1つは、「会社の目指すところ」とそれに向けた経営戦略の議論だ。コーポレイトガバナンスコード(CGコード)にも、「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念)を確立し、戦略的な方向付けを行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行うべき」と明記されている。

ところが、実際は日本企業において経営戦略の議論に充てる時間は全体の約2割という調査結果がある。他の8割は依然として細々とした執行業務の意思決定に費やされています。基準を見直し権限移譲できる体制が必要だ・・・・と。
議論しない言い訳として、時間が足りない、議事録に残るのであまりセンシティブな内容を話すことが出来ない、またそんな時には社外取締役が活躍すべきだが、これまた社外取締役の時間をとるのが申し訳ない、など。
確かに富士通において、株主総会資料などをみても、あまり取締役会が活躍しているようには見えない。