工場を新興国などに拠点を移す「オフショアリング」に対して、国内回帰すなわち、再び日本を拠点とする工場で製造することを、「リショアリング」と呼んでいるらしい。日経ビジネスの最近号では製造リショアリングを特集している。中国、台湾など新興国が近年、賃金の上昇や現地工場管理(特に品質管理)の難しさ、原油高による国内への輸送コスト高などを背景に、製造業では今、リショアリングの動きが出て来ているらしい。この傾向は日本だけでなく、米国や英国でも同じと言う。特に米国の場合、00年代からシェールガスの生産が商業ベースで可能になり、米国内のエネルギーコストが低下し製造コストが下がったので無理して新興国での製造をする必要性が低下したのだ。加えて米国では、オバマ、トランプ政権が製造業の復活をめざし、税制改革(大型の法人税減税)や各種優遇政策を進めたのもその理由だ。


更に、製造技術革新も大きい。先進国でのリショアリングを後押しする、ロボット技術やデジタル技術の進化によって、省力化が進み人件費を抑えながら効率的にモノ作りができるようになってきた。今まで世界の工場を自認してきた、中国でさえ、人件費の高騰のため、ロボットの導入など省力化に投資してきている。