記事より抜粋(今更なんですがね笑明菜ちゃん記事なので)

 

<古畑任三郎>30年経っても色あせない第1シリーズ初回の“犯人”は中森明菜

 

犯人役の中森明菜と主人公・古畑任三郎(田村正和)が2人きりで対峙した伝説の第1話を紹介しよう。(以下、ネタバレが含まれます) 

 今から30年前になる1994年4月13日に、三谷幸喜脚本の「警部補・古畑任三郎」第1話が放送された。

 

 第1話「死者からの伝言」は、恋のもつれから編集長の畑野(池田成志)を別荘の地下室に閉じ込め殺し、事故死を装う犯人が人気コミック作家・小石川ちなみ(中森明菜)。ちなみは素知らぬ顔で警察に110番し「1カ月ぶりに来て見たら死んでいた」と説明。古畑は別荘の近くで部下の今泉(西村雅彦)と共に車のガス欠で立ち往生しており、電話を借りに偶然別荘に立ち寄った。ちなみの傍らにはゴールデン・レトリバーの万五郎が離れずに居続ける。死体のそばに丸めて残された原稿用紙は何を意味するのか…古畑の推理が冴える。

 

人間味あふれる古畑と犯人の攻防が魅力 

人気作というのは輝きが何年経っても色あせない。田村さんの風貌や話し方は第1話から完全に確立されていて、振り返って見ても視聴者の想像する“古畑任三郎”像が1ミリも崩されることがなく、キャラクターとして強い。古畑と部下の今泉が漫才のようにかけあいをして“ツーカーの仲”になっていくのはまだ先の話。初回はとにかく真っすぐに、古畑が鋭い視点で事件を紐解いていき、犯人を追い詰めていく姿が描かれる。

 中森明菜演じるちなみは、薄暗い別荘で犬と暮らすミステリアスな美女。古畑、ちなみ、犬。数カットのみの今泉。出演者は以上である。華やかなキャストが大勢出演していたトレンディドラマ全盛期に「古畑任三郎」が異色の勝負作だったことが伺える。

 本人は出来を気に入っていない自作のコミックを古畑が読み、感動して涙を流した。それを見て心を許したのが、ちなみの最大のミスだろう。停電で帰れなくなった古畑にたまごスープを作り、そのたまごが新鮮なことから「1カ月ぶり」に別荘に来たという証言の矛盾が露呈してしまったのだ。そこからはちなみが気の毒になるほど、古畑に軍配が上がっていった。

 罪を悔いるちなみに古畑が「まだまだじゃないですか、第1巻目が終わったところですよ」「ハッピーエンドは最後の最後に取っておけばいいんです」と、コミック作家のちなみに語ったシーンが感動的である。殺しを疑う刑事に温かい食事を作ってしまう犯人。「古畑任三郎」が長く愛されるのは、そんな人間たちを描くミステリーだからだろう