全国県代表協議会での山口なつおのあいさつ(要旨)は次の通り。

全国の都道府県本部の代表の皆さん、日々の党勢拡大、本当にありがとうございます。

東日本大震災により延期されていた13日投票の宮城県議選は、公明4候補とも全員トップ当選の大勝利を飾ることができました。本年の統一地方選も、いよいよ明日投票の福島県議選などで完結します。この掉尾を飾る選挙戦の勝利で統一地方選の完勝を勝ち取ってまいりたい。

公明党のネットワークは3月以来の震災対応でもいかんなく発揮されました。被災地をはじめとする地方選挙での連続勝利は、党のネットワークが高く評価され た証左と言えます。統一選大勝利によって強化されたネットワークの力に磨きをかけ、さらに党勢拡大に臨んでまいりたい。この間に賜りました議員、党員、支 持者の皆さまの心からのご支援に深く感謝申し上げます。

また、明年4月2日には党の機関紙である公明新聞の創刊50周年を迎えます。公明党のネットワークを生かす機関紙としての価値はますます高まっています。 国政、地方政治を通じた政治情報、政策情報を提供する使命を果たすべく、これを機に議員が先頭に立って一層の拡大に取り組んでまいりたい。

さらに、明年9月に「大衆とともに」との立党精神宣言から50周年、2014年 11月には結党50周年と、党にとって大きな節目が続きます。この「三つの50周年」の佳節を歴史的な上げ潮の中で迎え、13年の政治決戦に大勝利するた めに、かつてない党勢拡大運動に取り組んでまいろうではありませんか。

震災復興
さて、今臨時国会の最大の焦点は、東日本大震災の復旧・復興対策であり、円高などに対処するための総合的な経済対策であります。特に、被災地に厳しい冬が 来る中で、本格的な復興に向けての第3次補正予算案および予算関連法案を早期に成立させ、被災者の皆さまへの支援の具体化を急がなくてはなりません。

ところが、民主党政権は最も急ぐべき復興対策を遅らせる一方で、慎重に取り組むべき環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加や消費税増税問題に関しては、与 党内の合意すら形成されていない状況の中で、国際社会に「公約」し、強引に進めています。完全にブレーキとアクセルを踏み間違えている。これが野田首相の 言う「安全運転」でしょうか。こんな車に国民が安心して乗れるわけがありません。

震災復興対策に関しても被災地の住民に寄り添うどころか、ますます遠ざかっている民主党政権に対して、公明党は被災地の地方議員と連携を密にし、国会議員 が何度も現地へ足を運び、被災者の悲痛な叫びを受け止め、国政に反映させてきました。菅政権の政権延命で遅れに遅れたとはいうものの、公明党が主張してき た本格的な復興対策を盛り込んだ第3次補正予算案にようやく成立のメドが立ちました。

さらに、公明党が提唱した復興庁設置法案と復興特区法案の早期実現に全力で取り組んでまいりたい。復興庁は霞が関の「縦割り行政」を排し、復興施策の企画 立案、総合調整にとどまらず、その実施までを一貫して担う権限のある官庁として設立すべきです。また、復興特区は、被災地の創意工夫を生かした復興を促進 するため、地域を限定して規制緩和や税・財政上の優遇措置を実施するものです。東京電力福島第1原発事故による放射能汚染に関しては、財政面の支援のみな らず機材や装備品の手配、専門的な人材の派遣など総合的な除染対策を野田政権に強く迫ってまいります。

こうして、懸案が成立したあかつきには、わが党のネットワークを挙げて、その速やかな執行を推進し、さらなる改善策や追加策の検討に取り組もうではありませんか。

TPP交渉参加
TPP は農業のみならず物品やサービス全般について関税や規制などを取り払うため、その影響は生活全般に及びます。ところが、多くの国民にとって何がメリット で、何がデメリットなのかを理解する情報が決定的に不足しています。また、デメリットを被る恐れのある分野に関して、どのような対策を講じるのか、政府は 明確に提示する責任があります。

そこで私は3点、申し上げておきたい。第1に、衆参両院にTPP交渉に関する特別委員会を設置して、情報を開示し、国民的議論を尽くすべきであります。第 2に、TPP参加で悪影響が懸念されている分野について、どう対処するのか、具体的な処方箋を政府は示すべきです。そして第3に、中国や韓国などTPP参 加を表明していない国々を含めたアジアの成長力を取り込むために、日本の主体的な外交戦略を確立しなければなりません。

公明党はこれまで2国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を推進し、アジア太平洋地域に21世紀型の自由貿易圏を構築すべきだと主張して きました。政府も食料戦略の上で重要な国内農産物を守るため、各国の多様な農業のあり方を尊重することを原則とした貿易交渉を進めてきたはずです。それ が、いきなり農産物を含めた「例外なき関税撤廃」を原則とするTPPへと舵を切ったのですから、「戦略なき外交」と批判されるのも当然です。TPP問題で の政府の迷走を追及すると同時に、今後の新しいアジア太平洋自由貿易圏のあり方について、公明党の考え方をしっかりと示してまいりたいと思います。

当面する政策課題
(消費税増税)
一方、消費税増税について、野田首相はG20の場で消費税の増税を国際公約としました。まず消費税増税に関する法律を成立させ、その後、税率引き上げを実 施する前に信を問うとまで述べています。これまで民主党は4年間、消費税は上げない、マニフェストの政策実現の財源は予算の組み替えなどで十分に捻出でき ると国民に約束してきたではありませんか。国民との約束違反は明白です。従って、消費税増税を決定するならば、その前に国民に信を問うのが筋であります。

しかも、野田政権は消費税のことばかり言っていますが、その前に低所得者の年金加算をはじめとする社会保障の機能強化、あるべき姿についての国民のコンセ ンサスを得ることに全力を尽くすべきです。にもかかわらず、政府・民主党は年金制度の具体的な改革像を明らかにせず、消費税増税の決定だけ先にさせてほし いなどという理屈は本末転倒も甚だしく、国民には到底通用しないと指摘しておきたい。

(選挙制度改革)
現在、衆院と参院の両選挙制度について、それぞれ各党間での協議が行われていますが、「1票の格差」を是正し民意を反映する制度、併せて定数削減を行うこ とを抜本改革でやり遂げるべきです。直近の世論調査を見ても、衆院は現行の小選挙区比例代表並立制を抜本的に改めるべきだという声が約7割に上ります。民 主、自民両党は、小選挙区の「1票の格差」是正だけを先に行うとの姿勢を崩していませんが、「抜本改革せよ」との民意を真摯に受け止め、今国会で抜本改革 の成案を得るよう誠実に努力すべきです。

次期衆院選に向けて
最後に、衆院の任期は半ばを過ぎ、われわれは常在戦場の構えで、緊張感を持って臨んでいかなければなりません。この17日には、次期衆院選挙について小選 挙区で8氏を第1次公認予定候補として決定したところです。震災復興など重要課題に党の総力を挙げて取り組みつつ、「次への戦い」に万全の備えを固めてい こうではありませんか。私もその先頭に立って闘うことをお誓いし、本日のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。