第178臨時国会がスタートした。3点申し上げたい。

1点目は、閉会中も皆さんが、国会議員がほとんど訪れたことがない離島を回るなど、国民生活の現場でさまざまな活動をしてきた努力に敬意を表したい。

私も、台風12号の膨大な降雨量に見舞われた和歌山、三重両県に行ってきた。和歌山県の那智勝浦町では、那智川の支流から土砂崩れが発生し大きな犠牲を出 した。公明党の女性町議は、自宅の周囲が浸水しながら、道路が寸断された上流地域に自ら登って手持ちの食料などを渡し、何が必要か聞き、災害対策本部と連 携して物資の供給に万全を期してきた。献身的で積極的な姿に胸を打たれる思いだった。

三重県の紀宝町では、熊野川支流で、堤で覆った中に住宅を建てる輪中堤の中に水が溢れて、大きな被害をもたらした。輪中堤の高さは(川の水位は最高で)9 メートルと想定し9.4メートルで造った。しかし、当時の公明町議は、住民の声を聞き、過去のデータから類推して「これでは足りない」と決然と反対。(今 回の豪雨による濁流は)結果的に、9.4メートルの壁を超え、大きな被害に結び付いた。この教訓を生かさなければならない。

日高川流域も各地で堤防が決壊した。紀伊半島は、ミッシングリンク(高速道路が途切れた区間)が完結していないが、一部の高規格道路が「命の道路」として 機能した。紀伊半島を一周、できれば奈良県内陸部と沿岸を(高速道路で)結ぶことが今後の降雨災害、地震、津波に対応する上で重要な機能を果たすと思う。

東日本大震災では、釜石市(岩手県)で三陸縦貫自動車道が震災の6日前に完成した。(開通祝賀会に)招かれた(野党の)国会議員は井上義久幹事長ただ一 人。わが党が時間をかけて積極的に整備をし、震災に際して、物資や人を運ぶ重要な道路として機能した。こういった実態に合ったニーズ(必要性)を、ネット ワークの力を挙げて政策遂行に生かしていかなければならない。市町村、都道府県の議員と連携を密にして今後の(災害などへの)備えをしっかり行っていきた い。

2点目だが、野田内閣が最初からつまずいている。閣僚が不用意な発言で辞めざるを得なくなった。新任の枝野経産相は、菅政権の原発対応の責任者の一人だ。 「(震災対応が)遅い、心がない」という被災者の思いからすれば、適任なのか。野田首相が(菅政権の震災対応を)どう総括し任命したのか。枝野経産相が、 どう反省し臨むのか、たださなければならない。

国会は、会期もいまだ決められない。協議、話し合いをして、政治を進めていくことは国民の期待でもある。しかし、冒頭から、合意ができず、(会期を衆院本 会議で)多数決で決めるようでは今後の国会運営が危ぶまれる。与党に厳しい反省を促したい。われわれは予算委員会を開いて、堂々と基本的な議論をすべきだ と訴えてきた。その日程を与党側から提示して決めるべきだと改めて申し上げたい。

3点目に、国民の期待は「政治を前に進めてほしい」「国会も行政府も力を合わせて国民のために仕事をすべき」ということだ。この点から、われわれは、協議 も提案もするし、実際にしてきた。国民のため、被災者のために徳を積むという姿勢で、公明党は団結して、この国会に臨んでいきたい。