衆議院厚生労働委員会にて山口代議士が質問に立ちました。
【受動喫煙について】
【在宅復帰について】
【要介護度と介護報酬について】
【ケアマネジメントについて】
【施設のケアマネジャーについて】
【施設の人員配置について】
【リハビリテーションの提供体制について】
※会議の様子は、衆議院TV
でご覧ください。
※以下、議事録を掲載します。
第12号 平成22年3月26日(金曜日)
午前八時五十分開議
午前八時五十分開議
本日の会議に付した案件
介護保険法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
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厚生労働大臣 長妻 昭君
厚生労働副大臣 細川 律夫君
厚生労働副大臣 長浜 博行君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
厚生労働大臣政務官 足立 信也君
厚生労働委員会専門員 佐藤 治君
厚生労働大臣 長妻 昭君
厚生労働副大臣 細川 律夫君
厚生労働副大臣 長浜 博行君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
厚生労働大臣政務官 足立 信也君
厚生労働委員会専門員 佐藤 治君
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午前十一時四十分開議
○藤村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山口和之君。
○山口(和)委員 長妻大臣が欠席ということで、褒め殺しにしたかったなと思っていたんですけれども、それができないということがとても残念ですが……。あれっ、ありがとうございます。
私は、約三十年近く、理学療法士としてリハビリテーションの世界で仕事をしておりました。その意味から、鳩山総理の所信表明のスピーチについては身震いする思いで聞いていたことを、今も鮮明に残っております。これまでの積み重ねが今であるならば、これからの積み重ねが未来をつくる。チーム長妻に大きく期待をするとともに、政権交代の果たすべき役割を全力で実行していきたいと思っているところでございます。
さて、地域リハビリテーションの定義に、「地域リハビリテーションとは、障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたところで、そこに住む人々とともに、一生安全に、いきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてを言う。」とされております。
私は、今回、その立場で質問させていただきます。多少、前半のあべ委員とかぶるところがあるかもしれませんが、こちらは太陽でコートを脱いでもらいたいと思っております。
皆さんがよく使うので使わせていただきますが、まずその前に、受動喫煙について少し質問させていただきたいと思います。
先般、受動喫煙対策に対する通知が出されておりますけれども、たばこ対策が積極的に行われるように進められるということですが、今後、受動喫煙防止対策をどのように取り組むのか、若干教えていただければと思います。
○山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。
我が国が批准しておりますたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても明確にされているとおり、喫煙や受動喫煙が健康に及ぼす悪影響は明らかであることから、受動喫煙対策等のたばこ対策は、国民の健康増進の観点から重要と考えております。
このため、平成二十二年二月二十五日に、受動喫煙対策に関して基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべき等を記した健康局長通知を発出したところであります。
今後は、通知後の影響について適宜、現状の把握を行いながら、対策を推進してまいりたいと考えております。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
自分は病院にずっと勤務しておりましたので、病院でたばこを吸うとなると、少し犯罪者みたいな扱いがずっとされておりました。それが当たり前の世界だと思います。できれば国会内、ここに初めて来たときにびっくりしたのですが、堂々とたばこを吸える場所があちこちにあって、これは分煙すべきでないかと思われますので、ぜひ分煙に協力していただきたいと思います。
一方で、JT、たばこ産業はせっせと缶コーヒーや食品やいろいろなところで仕事を転換しておるんですが、たばこ料金を上げる値上げの話になるといつも出てくる問題は、たばこ農家に対する対策です。ぜひ、漢方薬をつくるなり、何か転作するための作戦を今からやっていただきたいと思っております。
さて、本題に入らせていただきます。
ちょっと皆さんにお聞きしたいんですが、皆さんは、ぴんぴんころりがよろしいでしょうか。ぴんぴんころりをしてみたいと思っていらっしゃいますでしょうか。(発言する者あり)そうですよね。普通は、ぴんぴんころりを望む方が多いです。その望む理由は何かというと、脳卒中になって病院に入って、障害を持っておうちに帰れなかったり、つらい思いをしたり、あるいは偏見の目で見られたり、そういうことが現実で起こっているわけです。まだまだ日本の社会に残っているわけです。ですから、ぴんぴんころりの方がいいという意見が多いと思われます。
そこで、住みよい社会をつくっていくために、若干質問させていただきます。
また、幼い子供がいれば保育所待機児童の問題、老いた親がいればこれまた入所待機、本人が希望するのであれば、施設等において適切な介護を受けられることが望ましいというのは言うまでもありませんが、本来、介護保険の理念は、介護の社会化と適切な在宅介護にあったのではないでしょうか。
資料の二の方を見ていただきたいと思います。
これは富山市のデータなんですけれども、富山市で調査したデータです。一般の方々に対する調査はよく見かけるんですけれども、施設入所されている方の調査というのは余り見かけないと思いますが、富山市は、在宅復帰というのを一生懸命やっている市でございます。その中で、介護保険施設に入所中の六百人について、面接法で調査した結果がございます。
在宅復帰への本人の意向としては、条件が整えば希望するという方が、本人としては、老健施設、介護療養型病院においては半分ぐらいいらっしゃる。一方で、在宅復帰への家族の意向はといいますと、極めて少ない数なんです。問題は、本人は帰りたいと思っていても、家族の受け入れがまず不安であるということが大きなところなんです。家族へのアプローチなしにして在宅復帰は成り得ないと思います。
次のページを見ていただくと、今までの施設で行われているサービスを見ますと、朝起きて、歯を磨いて、御飯を食べて、カラオケやいろいろなゲームをして、お昼御飯を食べて、夕方にお風呂に入って、また夜寝る。それの繰り返しをしていても、おうちに帰れるとは到底思えません。家に帰るためには、おうちに対するアプローチと徹底した自立回復が必要になってきます。まずこのことを念頭に置いていただきたいと思います。
そこで、次の質問に入りますけれども、要介護度が改善すると収入が減る。これは資料一を見ていただければいいんですが、資料一は、二〇〇四年に私の地元の増子輝彦議員が、当時、ここにいらっしゃる坂口厚労大臣に質問した内容でございます。
その当時は、中村局長さんがいらっしゃったときには、もう議論は尽くしたというような回答だったと思いますが、坂口厚生大臣はそのときに、検討するということを言っていただきました。私はすごく感動して、このメッセージの紙をずっと持っておりました。一生懸命やっている施設は頑張れば頑張るほどボーナスが減るような体制で、自立を支援すれば支援するほど何か収入が減っていくようなシステムでございました。ですので、このときの坂口厚生大臣に言っていただいた言葉は、非常に自分たちとしては明るい話題であったと思っています。
そこで質問なんですが、要介護状態を軽減させたりあるいは在宅復帰を実現させたりする介護老人保健施設などの介護事業所を評価するための導入は考えられないかということですが、お答えいただければと思います。
○山井大臣政務官 このリハビリテーションは一番重要なことでありまして、山口先生を初めとする現場の方々の御努力で、本当に、歩けなかった人が歩けるようになるとか、それで人生が大きく、クオリティー・オブ・ライフが向上する場合も多いのではないかと思います。
そして、今の御質問の件でありますが、現在は、要支援者が利用するデイサービス、通所リハビリテーションについては、要支援度の改善を介護報酬上評価しているところであります。逆に言えば、要介護の方々に関しては、まだ評価になっていないということであります。
これについては、質の高いサービスを安定的に利用できるようにするため、事業所を評価することは重要であると考えており、今、介護事業所の質の評価は調査研究を行っているところであります。
ただし、要介護度の改善そのものを直接介護報酬で評価することについては、高齢者は身体機能の悪化、改善を繰り返すことが多く、評価の対象期間の設定が難しいといった論点があり、何らかの方法で評価ができるかどうか、引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。
○山口(和)委員 長年検討されて実現されなかったことでございますけれども、これは考えるに、可能性は非常にあると思いますので、ぜひ検討を続けていただきたいと思います。なるべく次の改定には実現していただきたいと思います。
次に、ケアマネジメントについて質問したいと思うんです。
これも前半のあべ委員とかぶってしまうんですけれども、所属事業所の利益にとらわれず、利用者にとって本当に必要なサービスを効率的に提供するということを観点に置けば、ケアマネジャーの独立性を担保すべきではないか。もちろん、今も独立しても構わないんですけれども、担保するためにはそれなりのものが必要になってくると思います。午前中で回答をいただいておりますので、この件については引き続き検討していただくということにしたいと思います。
続きましてもう一つ、施設ケアマネは本当に必要かという問題、ちょっとこれは通告にないかもしれませんけれども。
実は、介護老人保健施設のような施設に施設ケアマネジャーというのがいるんですけれども、在宅生活を一生懸命支援している在宅ケアマネが、施設に入っている方々のケアをマネジメントすることによって、可能性が高いのは、中立的な立場ができる。ここの老健は本当にサービスがいいのか、あるいはここの療養病棟が本当にいいのか、あるいはショートステイが本当にいいのか。家族も希望を出しやすいし、在宅を意識しやすいと思います。施設の虐待への目も入りやすくなります。ケアマネの目から見て本当にいい施設というものがわかるようになって、実際のサービスの提供のあり方が変わってくるし、在宅復帰の可能性が非常に高くなってくると思われます。
この件については提案したいなと思うんですけれども、もしよろしければちょっと返答いただければと思います。
○山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。
老人介護保健施設あるいは老健というのは在宅復帰を目的としているわけですから、そこが思うように進んでいないという現状、山口委員のおっしゃるとおりだと思っております。
それについて、今おっしゃったことは、施設のケアマネというよりも在宅のケアマネがやった方がいいのではないかという提案だと思いますが、これは正直言いまして一長一短ございまして、施設のケアマネだからこそ、施設内でのその高齢者が置かれている状況がよくわかっているという部分もありまして、現状においては、施設の入所者であっても、包括支援センターのケアマネジャーとか施設外のケアマネジャーの助言をいただきながら判断するということがあるんですけれども、今おっしゃったこと、どういう形でこれからより充実していけるか、また検討させていただきたいと思います。
○山口(和)委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。
それから、これもまたあべ委員とかぶってしまうんですけれども、人員配置は、やはり日本においては極めて少ない人数でやっています。夜間においても少ない人員でしておりますし、拘束はなかなか、してはいけない、もう当たり前のことですけれども、そういった場合に、転倒したりする方がいらっしゃって、どうしても裁判でも施設側が負けてしまったりします。やはり人員配置というのは非常に重要ですので、ぜひ検討していただきたいと思いますが、ただ、施設によって、あるいはサービスの提供するところによって、ピンからキリまであるんですね。
長妻大臣が以前に視察に行かれた特別養護老人ホームは、日中のおむつがゼロです。認知症ケアに対するサービスもかなり充実しております。では、スタッフの数はというと、そんなに極端に、倍いるとか、そういうわけではございません。やはり質だと思うんですね。その辺について、量と質についてお答えいただければと思います。
○長妻国務大臣 山口委員におかれましては、病院のリハビリの責任者としても活躍されておられて、今後とも御指導いただきたいと思います。
私も大臣に就任して、実体験ということで介護の体験をさせていただいた施設では、今おっしゃったように、日中はおむつをつけないで介護をしようということで頑張っておられる施設でありましたが、やはり最低基準の人員配置ではきめ細やかなものが難しいということで、それを上回る配置をしていただいている施設もあるということであります。
午前中も答弁申し上げましたけれども、まずは処遇改善ということに取り組む必要があると考えておりますので、今は一万五千円の上乗せ月額報酬ということでありますが、それに見合った資金提供ということでありますけれども、それにさらに加えて処遇改善を続けていきたいというふうに考えておりまして、二年後の介護報酬の見直しのときにも、これは一つの論点になるというふうに考えております。
○山口(和)委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。
いろいろなサービスを、質を高めて、配置基準をふやしたり、いろいろなことをするんですけれども、どうしてもやはり在宅に帰れない方がいらっしゃるんですね。そういった場合に、ぜひ低所得者向けの受け皿をしていただきたいと思います。
次に、リハビリテーションの提供体制についてお伺いいたします。
在宅に帰ろうとしたとき、あるいは帰ったときに極めて重要になってくるのがリハビリテーション、訪問リハビリテーション等々ですが、これが介護保険の限度額を超えて、どうしても生活のための介護保険の活用というふうになってしまうことがあります。そこについて、リハビリを集中的に行えるような、優先されるような何か解決の手だてはないかということでお聞きしたいと思います。
○山井大臣政務官 御質問ありがとうございます。
山口委員の御指摘というのは、もう少しリハビリをやれば歩けるようになるとか、改善が著しいのに、限度額を超えると全額自己負担になってできない、そこが非常にもうもどかしいという趣旨だというふうに思っております。
現状では四割から六割程度しか限度額を使っておられないという方が平均でありまして、限度額を上げると保険財政を圧迫するのではないかという批判がある一方、もう少しサービスがいけば、在宅にずっといられて、逆に施設に入らなくて済むのではないか、そういう意見もありますので、厚生労働省では、リハビリにかかわらず区分支給限度額基準を超えてサービスを受けておられる方々がどれぐらいおられて、どういう状況なのかというのを把握しておりまして、そのことを踏まえて、この支給の限度額についても再検討していきたいと思っております。
○山口(和)委員 前向きな御回答、ありがとうございます。
地域リハ体制の強化においてもう一つですが、今後、プライマリーケアが重要になってきて、地域の中で、健康管理であったり、疾病、再発予防であったり、かかりつけ医機能は強化されていくものと思っております。そのかかりつけ医の共同利用施設として訪問リハビリステーションというものを追加していきたいと思うんです。
ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、資料の四ページ目の方を見ていただくとわかると思うんですが、四ページの右側の図です。これはケアマネ五千人にアンケートを出して、回収率は二七%、千三百件戻ってきたものですが、ケアプラン作成時にケアマネジャーとしてはリハビリテーションが必要だということが資料三のページには書いてありますが、その次のページを見ていただくと、訪問リハサービスが充実しているかというと、必ずしもそうではないといったときに、かかりつけの先生、A先生、B先生、C先生が共同利用して行おうとすれば、今は訪問看護ステーションからのリハビリテーションしかできない状況なんですね。
そこで、訪問看護でリハビリをやっていないところがあったとすると、その近くに訪問看護ステーションをもう一個設けなきゃいけないとかという何か面倒くさいことがたくさん起きてきます。ですので、訪問リハステーションが地域の中にあれば開業医の先生が共同利用できる、非常にいい案だと思うんですが、ちょっと見解をいただければと思います。
○長妻国務大臣 高齢者が住みなれた地域で生活を続ける上で、訪問リハビリテーションというのは重要なサービスだということは認識を同じくしていると思います。
これは従来も、いろいろなリハビリテーションを提供した場合、加算というのがあるというのは御存じだと思いますけれども、議員が提案されたような訪問リハビリステーションの創設については、看護師あるいはお医者さんが密接あるいは継続的に関与するというのが必要不可欠になってまいります。ある意味ではチームで対応するということが必要でありますので、これからも、二年後の介護報酬改定に向けて、この体制を進めるべく取り組んでいきたいと考えております。
○山口(和)委員 どうもありがとうございました。
私の地元の福島県石川町では、三十近くの介護予防のためのサロンが展開されております。介護保険を使わずに、しかも事業費としては一銭も使わずに、保健師の努力によって、三十近くのサロンができておったりします。サービスを効果的に使うための施策をぜひ展開していただければと思います。
どうもありがとうございました。