第7波のピークは? 8月か 東京都で新規陽性8万5千人/日か
(以下、個人的な見解を書いております)

 以前の記事で、各流行が既定の周期で来る可能性を指摘し、第7波はその記事での予想より遅かったわけですが、グラフ(東京都の新規陽性者数7日間移動平均の推移)※を眺めるうちに(特に2020/11月から2021/10月)、周期が一定なのではなく、流行の規模が大きくなるにつれてそのトータルな流行期間(小さい波と大きい波のセットの期間)も延びているように思われました。つまり、時間を横軸にした日々の新規陽性者数のグラフにおいて、自己相似形(フラクタル)のような感じで流行(小波、大波のセット)が毎回大きくなるということです(追記 正確には自己相似ではなく、感染規模のほうが二重指数関数的な増加で、流行期間の増加より1次元多い様子であり、「フラクタル的」?)。これも「既定の周期」という意味では同じことです。人が対策を取ろうが取るまいが、どこかで感染が起こってしまえばウイルスは変異という試行を繰り返し、確率的に一定の期間を経て、より人間の免疫システムに適応力のある株が選抜され流行を起こし、伝播し始めるということです。実際、規制なしのゴールデンウィークだったにも関わらず、そのタイミングではなかっためか何も起こりませんでした。
 「対策関係ないのなら(やっても仕方ない)」と言って、「だから何もしないでいい」とは言えず、戦いを放棄せず個人レベルでもできる限り感染を回避し、社会の混乱を少なくする必要があります。社会的に感染を許容し通常の疾病として扱い(そのようなコンセンサスを形成し)、感染拡大でも社会が混乱しないのであれば別ですが、現状では、日本ではそうなっておらず医療機関の逼迫や濃厚接触者の特定に伴う自由の制限など混乱を生じてしまうからです。

 話を戻しまして、以前の記事で「小波、大波」のセットとしていたものも一部ずれて変わってきました。そこで「予備波、主波」と呼び方を改め、また「フラクタル的」を把握する上で「底(一時的収束から再拡大前まで)」も把握することとしてみました。「予備」とは、ウイルス側が「予備」しているという意味です。そして、「第〇波」とは呼ばれていない、グラフのこぶも予備波として加えました。
 その考え方により再度整理した結果、第7波のピークは8月頃となり(まだそうなるとは限りませんが)、少なくとも以前の予想(4~5月)よりも現実に近くなりました。以下の試算によれば、第7波のピークでは東京都の1日当たり新規陽性者数は約85000人、そして第7波の終わりが12月頃(長い!)と予想されました。
 

 東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト※にある、東京都の新規陽性者7日間移動平均(人/日)のグラフ、死亡日別による死亡者数(人/日)の推移のグラフからそれぞれのピーク等について読み取った概略値(なお、「底」については死亡者数を除く)は以下のとおり。

(ピーク等)とその時点の(東京都の新規陽性者数7日間移動平均と死亡者数[人/日])
2020/5月下旬 5(底)
2020/7月下旬 250、1(予備波?)
2020/8月上旬 350、3(主波)第2波
2020/9月上旬~10月下旬 150(底)
2020/11月下旬 420、6(予備波)
2021/1月中旬 1900、25(主波)第3波
2021/3月上旬 270(底)
2021/5月上旬 1000、7(予備波)第4波
2021/8月下旬 4700、20(主波)第5波
2021/11月上旬~12月中旬 20(底)
2022/2月上旬 18000、29(予備波?)第6波
(以下予想)
2022/8月  85000、死亡者数不明(主波)第7波

 「底」は幅があるので、各流行期間について、始期は「底」の真ん中と早いほう、終期も早いほうと真ん中で考え、次のように幅を持たせました。
2020/8月が主波の流行期間 約3~4か月
2021/1月が主波の流行期間 約5~6か月 1.6倍
2021/8月が主波の流行期間 約8~9か月 1.5倍
(予想→)2022/8月頃が主波の流行期間 約13か月(始期2021/11月)

 流行期間の拡大率は前の2回を参考に約1.5倍になると考え、現在の流行の期間は8.5*1.5で約13か月(始期は2021/11月の「底」。第6波は順番から考えても、また、ピーク前のこぶはなく、切り立った崖のように増加したので「予備波」です。ただ、死亡者数はそれまでの主波並みなので、そのあたりは、本当に「予備波」かという疑問は感じますが、それとも、これを予備波とした場合に見合った分だけ第7波では死亡者数が激増するのか、または後述のように「期間当たり」により一定に維持されるのか不明です。)。
 主波は流行期間の後半にあり、上記のうちの3つ目の流行を参考にすると、8.5か月間のうち6か月目=期間の約7割経過時点がピークとなります。このことから現在の流行が2021/11月に始まったとして、約13か月の7割で9か月目、つまり7月から8月がピークとなります。

 感染者の規模は、ワクチンの効果や、統計的に把握される陽性者の場合は感染者の捕捉率の影響も受けると思うので難しいですが、とりあえず今回はデータそのままで考えることとしました。
  2020/11月の予備波420人/日と2021/5月の予備波1000人/日、2021/1月の主波1900人/日と2021/8月の主波4700人/日、それぞれ新規陽性者数は約2.4倍となり、ほぼ一致していました(偶然かもしれませんが)。そこで、2021/5月の予備波と2022/2月の予備波18000人/日の比率18倍を2021/8月の主波4700人/日に適用すると、第7波のピークは東京都で85000人/日となります。決して現実味がない数字ではありません。
 この調子で考えると第8波、第9波はどうなることか。時期は先ほど同様に考えると、
 まず流行期間は13か月*1.5で約20か月です。第7波の終わりが2021/11月から13か月目、つまり2022/12月頃で、そこから約20か月のうち初期(おそらく2023年入ってから)に予備波がありそれが第8波、主波(第9波)は2022/12月から20*0.7の14か月目で、つまり2024年に入ってからとなります。間が空き過ぎて、しかも「感染して重症化する率」がこれまで通り下がるとすれば、消滅したと思うかもしれません。しかし、以下のとおりインフルエンザよりも多い一定の死者数は、統計的に把握できなくなったとしても出てしまうかもしれません
(予想)第8波 2023年初旬、第9波 2024年初旬 
 
 以前の記事では、ワクチンの効果について場合分けもして試算した結果、
 感染力(期間当たり人口当たり感染者数)と毒性(感染者当たり死亡者数)は各流行毎に(今回名付けた「主波」ベースで見て)反比例して推移すること。その結果として、その掛け算である「期間当たり人口当たり死亡者数」は各流行であまり変わらないこと、そしてそれはインフルエンザよりも大きい(インフルエンザ並みにはならない)ことがわかりました。今のところは...ですが。
 ただし、上記のとおり第6波を「予備波」とした場合、第7波ではこれに呼応して(「主波」だからより一層)死亡者数が増えるのか、それとも「期間当たり」が効いて一定に維持されるのか未知です。

 

 

(感染対策について、個人的見解)
 「密」や「人流」、「人との濃厚接触」ばかりに着目されがちだったと思います。しかし、特に感染力のあるオミクロン株以降では「(物を介した)接触感染」の対策も重要だと思います。第6波では、おそらく(外では)マスクをしていても感染拡大しました。寒いから換気不良の可能性もあったのかもしれませんが、ウイルスの付着した物を触った手で、顔(口や目)を触っていまう可能性、特に帰宅した時などに油断してマスクを外すとそうなる可能性があります(外から持ち込んだ物、外で携帯しウイルスを触った手で触った物、郵便物、宅配の物などを介して。特に寒い冬は物体上でのウイルスの寿命が長い。)。ポイントは洗った直後以外の素手で口や目を触らないということだと思います。そしてマスクをして、うっかり素手で口に触れにくいようにすることでしょう。家の中にもウイルスが付着した物体の存在があり得るという前提で考えないといけないのかもしれません。全部拭き取り除去するのは不可能だし潔癖では気が狂ってしまうので、要するに手を洗った直後にしか顔を触らないという水際の対応しかないように思います。仮に、これらの考えに基づけば、「密」じゃないから、人がいないからマスクは不要とは言えません(感染を防止するなら)。自分が無症状無自覚の感染者の場合も、マスクなしだと物にウイルスを吹きかける可能性があります。夏場はマスクは苦しく外しがち、しかも汗を拭うために顔を触りがちになるので気をつける必要があります。

(グラフ、データ参照)
※:東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト
「都内の最新感染動向」
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp