身近な自然観察 秋の園芸植物系

アベリア(スイカズラ科ツクバネウツギ属Abelia × grandiflora
  単純に綺麗に撮れたので載せました。
↓2021/8/18撮影

 
↓2021/10/2撮影 



ヤブラン(キジカクシ科ヤブラン属Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey)
 塊根が生薬「麦門冬」になります。時系列の変化の写真が撮れたので載せました。
↓2021/9/20撮影


↓2021/10/2撮影


↓2021/10/23撮影


アルストロメリア(ユリズイセン科アルストロメリア属Alstroemeria L. (1762))
 学名はリンネの命名で、以下のとおり自ら採集したとあります。今回、私としては葉だけの状態の識別が初体験で、回転するような幾何学的な葉の付き方が独特だと感じました。
Wikipedia「アルストロメリア」(※1)より、

「本属は南アメリカ原産で約50種が知られる。いずれもアンデス山脈の寒冷地に自生する。1753年、南米を旅行中だったカール・フォン・リンネ自らが種を採集した。リンネは親友のスウェーデンの男爵クラース・アルストレーマーの名にちなんで花に名を残した。
 1926年(大正15年)に、日本に渡来した。日本では長野県での生産が全国第1位、で愛知県、山形県が続く。」

2021/10/15撮影




ハナノキ(APG体系でムクロジ科カエデ属Acer pycnanthum K.Koch)
 今回のメインと言ってもいいですが、それは、葉が3裂に見えるカエデ属の見分けです。写真は近隣の小さな公園に植栽されたものですが、葉の特徴からハナノキと思われます。
ハナノキについては、Wikipedia「ハナノキ」(※2)から、

「日本の固有種で、長野県南部・岐阜県南部・愛知県北東部の3県県境のおもに木曽川流域の山間湿地に自生」「近江国、美濃国、尾張国などではこれを栽培するものもあったが、自生種は飯沼慾斎「草木図説」、伊藤圭介「日本産物志」に、美濃、信濃国の山中にあることが記されているだけであった。久しく知られることなく、明治末年、岐阜県恵那郡坂本村(現・中津川市)に自生していることが発見され...」

 愛知県では県の木になっています。環境省の絶滅危惧II類。

[葉が3裂する、又は3裂に見えるカエデ類の見分け](ネット上の画像の比較から)
 ハナノキ、ウリカエデ(Acer crataegifolium Siebold & Zucc.日本固有種で福島県以南に分布)、トウカエデ(Acer buergerianum Miq.中国南東部、台湾原産)の3種が似ているため、葉による見分けをネット上の画像を多数見比べて整理すると、
 まず、3種共通して、それぞれに明瞭な3裂から3裂が明瞭でないもの(浅い3裂)まで多様な形があります。
[ハナノキ]浅く不揃いな鋸歯が全体にあり5裂の名残はほぼないため(根元側の葉脈に開裂する方向性がなく先端側に湾曲し、結果として3裂、「掌状の3脈」)、浅い3裂の葉型の場合には葉柄との付け根はほぼ凹まない(Wikipediaには「基部は浅心形」もあるが、傾向としては「基部は広いくさび形」が強い印象)。Wikipedia(※2)では「掌状の3脈」「先が浅く3裂、ときに無裂」「縁は重鋸歯(鋸歯の中に鋸歯)」「葉先な鋭く尖り」「基部は浅心形から広いくさび形」
[ウリカエデ]鈍い不揃いな鋸歯があるが根元側の葉脈に5裂の名残がある(根元側の葉脈が開裂する方向に伸びる)ため、3裂が浅くてこの開裂する葉脈が不明瞭な場合でも少なくとも葉は少し出っ張るため葉柄との付け根が凹んだ形になる(Wikipediaには「基部は円形」もあるが、傾向としては「基部は浅心形」が強い印象)。Wikipedia(※6)では、「分裂しないか、3浅裂、ときに5裂」「葉または裂片の先端は尾状に伸び」「基部は浅心形から円形」「縁に不ぞろいの重鋸歯」
[トウカエデ]シンプルに3裂で葉脈でも5裂の名残は一切ないため葉柄との付け根は全く凹まず、鋸歯は全くないかかなり深く3裂する場合にごく浅い鋸歯がある。Wikipedia(※7)では、「対生してよく茂り」「薄く光沢」「先が浅く3裂」
(ほかに)
ベニカエデ(アメリカハナノキ)(Acer rubrum)は葉の形がさらに多様で鋸歯はかなり大きなものからあり、全体が明瞭な5裂や5裂の名残があるものが多い様子。ウリハダカエデ(Acer rufinerve Siebold & Zucc.日本固有種)は幅広の葉(特徴的)で浅い3裂っぽく見えるが5裂(根元側に小さく裂がある)で細かめの鋸歯がある。ホソエカエデ(Acer capillipes Maxim.日本固有種、東北地方南部以南)も同様に3裂に見える5裂で鋸歯は粗め。カラコギカエデ(Acer ginnala Maxim.北東アジア、極東ロシア)もほぼ形は3裂で葉脈に5裂の名残があるものがあり、形が3裂するアサガオの葉に鋸歯がついたような形、もしくは葉脈にも3裂の名残すらなく魚の骨状の葉脈で鋸歯があるだけのものまである 
↓2021/10/30撮影(ハナノキ)


↓2021/11/20撮影(ハナノキ)






クロガネモチ(モチノキ科モチノキ属Ilex rotunda Thunb.)
 学名はツンベルク命名です。実の様子を季節の写真として以下に載せました。街路樹です。鳥が実を運び道端に生えてくることもありますが、いつも載せるクワなど道端に生える木の6強(クワ、アカメガシワ、エノキ、センダン、ナンキンハゼ、クスノキ)ほどでは全くない感じがします。下の写真では赤色に違いがありますが(なぜか早いほうが赤い)、単純に個体差なのでしょう。
↓2021/10/3撮影


↓2021/10/9撮影



キンモクセイ(APGⅢ体系でモクセイ科モクセイ属Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino 日本のキンモクセイは中国のものとは異なる変異種という説)
 日本には雄株しかないため(どうやって変異種が生じたのかが謎ということにもならないでしょうか)挿し木で殖やされますが、逆に言えば勝手には殖えて広がっていかないということです。庭木などでは実をつけないそういう例があるように思います(ノウゼンカズラとかアベリアとか)。
 今年は、自分としては初めて強烈な芳香を感じました。自分の鼻の感度が変わったのか。それから、木によって花の時期がかなり違います。花が咲いたら散るまではあっという間です。実をつける必要がなくなったからでしょうか(種として雌株と協力する必要がない)。
↓2021/10/7撮影


↓2021/10/30撮影



サザンカ(山茶花APGⅢ体系でツバキ科ツバキ属Camellia sasanqua Thunb.)
 学名はツンベルク命名です。サザンカはツバキより花が早いです。
Wikipedia「サザンカ」(※3)

「ツバキ科の植物は熱帯から亜熱帯に自生しており、ツバキ、サザンカ、チャは温帯に適応した珍しい種であり、日本は自生地としては北限である。」

2021/10/23撮影


シャリンバイ(Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi)とコガタスズメバチ(日本本土亜種Vespa analis insularis Dalla Torre, 1894)
 シャリンバイの学名は、最初にリンネが名付け、ジョン・リンディー(英国の園芸家1799~1865)が属を変更し、Ker(John Bellenden Ker Gawler英国植物学者1764~1842のことか?)が発表したのがRhaphiolepis indicaで、その変種としてリンネの弟子ツンベルクが名付け、大橋広好(1936~)が属を変更したumbellataという変種ということが学名を見ただけでわかります。学名の勉強になる学名です。シャリンバイは大島紬の染料に使われます。身近では街路樹の下の低木の植え込みとしてよく見ます。
 コガタスズメバチはWikipediaに記事がなかったのですが、参照した学名は亜種の略号もなく、また植物の場合のような種と亜種の間に種の命名者を記載する形でなく、また、Dalla Torreの間のetが省略され2人の別人(種名、亜種名それぞれの命名者)のことなのかもわかりません。
2021/10/23撮影


アラカシ(APGⅢ体系でブナ科コナラ属Quercus glauca Thunb.)
 照葉樹林の構成種ですが、Wikipedia「アラカシ」(※4)より、

「照葉樹林そのものがほとんど残っていない場所でも、この種は比較的よく見られる。庭や公園にも、身近によく植えられていることも多い。」

2021/10/15撮影



モミジバスズカケノキ(APGⅢ体系でスズカケノキ科スズカケノキ属Platanus x acerifolia (Aiton) Willd.)
 春に蘖(ひこばえ)が全部刈り取られ、要するに大きな切株だけの状態になってから、1年経たずに蘖が再び成長してここまでなります。いわゆるプラタナスです。
2021/10/15撮影 



コバザクサラ(バラ科サクラ属Cerasus × parvifolia 'Fuyu-zakura')
 マメザクラとオオシマザクラの交雑種で別名フユザクラ。今年も咲き始めました。春のサクラと違い葉が全くありません。
↓2021/10/30撮影

↓2021/11/20撮影 





マテバシイ(ブナ科マテバシイ属Lithocarpus edulis (Makino) Nakai)
 種小名の edulisは「食べられる」の意味。実のつき始めの状態を私としては初めて知ったので載せました。
2021/10/30撮影



チカラシバ(イネ科チカラシバ属Pennisetum alopecuroides (L.) Spreng.)
 雑草ではありますが、なぜか私の身近では一般の道端で見たことがなく、集合住宅の緑地で見かけます。欧米では園芸品種があるようですし、今回は園芸植物系に入れて紹介します。
↓2021/10/2撮影


↓2021/10/15撮影



ツルバキア(ヒガンバナ科ツルバキア属Tulbaghia南アフリカ原産)
2021/9/20撮影


ギボウシ(APGⅢ体系でキジカクシ科ギボウシ属Hosta Tratt.東アジア原産)
2021/10/2撮影


ヒャクニチソウ(キク科ヒャクニチソウ属Zinnia elegans Jacq.メキシコ原産)
2021/10/15 


マルバアサガオ(ヒルガオ科サツマイモ属Ipomoea purpurea熱帯アメリカ原産)
 雑草化しやすい雰囲気を強く感じます。
↓2021/10/21撮影 


↓2021/10/23撮影


↓2021/10/31撮影



ホトトギス(APGⅣ体系でユリ科ホトトギス属Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.日本固有種)
2021/10/23撮影



ランタナ(クマツヅラ科シチヘンゲ属Lantana camara L.南アメリカ原産)
 世界の侵略的外来種ワースト100。温帯の日本ではそれほど深刻な問題にはならず植えられる。私としては実の写真を初めて撮ったので載せました。
2021/10/31撮影




サルビア・ガラニチカ(シソ科アキギリ属Salvia guaranitica南米原産) 
↓2021/10/30撮影


↓2021/11/20撮影




アメジストセージ(シソ科アキギリ属Salvia leucanthaメキシコ原産)
2021/10/31撮影


ユリオプスデージー(キク科ユリオプス属Euryops pectinatus
  ユリオプス属は南アフリカを中心に分布(※5)。
2021/10/15 



(引用、参考)
※1:「アルストロメリア」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11  09:05 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※2:「ハナノキ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/9/11  18:43 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※3:「サザンカ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/9  07:03 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※4:「アラカシ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/9/15  13:28 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※5:「ユリオプス属」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/9/21  07:51 UTC 版)https://ja.wikipedia.org

※6:「ウリカエデ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/7/17  14:10 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※7:「トウカエデ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28  15:19 UTC 版)https://ja.wikipedia.org