身近な自然観察 ススキやススキに似た植物 初夏の道端にて 

 昨年の秋深まる中で書きました「ススキに似た植物」になぜかよくアクセスがありましたので、初夏のススキの状況と、ススキに似た植物について書こうと思います。全てイネ科です。ススキ、チガヤ、ヨシ以外は近代に日本に入ってきたもので、環境省の生態系被害防止外来種になっています。


↓ススキ(イネ科)(Miscanthus sinensis
 まずはススキですが、6月初旬、前年の穂の枯れたものがまだ残っていて、新しい緑の葉が伸びてきていました。6月中旬を過ぎると枯れた穂は目立たなくなりました。昨年の記事では、ススキとオギの見分けを書きました。
・ススキには芒(のぎ)があり、オギにはない
・ススキは株立ちし、オギは1本ずつ平行して立つ
・葉の中央の白い筋はススキのほうが目立つ
 新しい緑の葉の中央のはっきりした白い筋からススキだろうと思われます。
↓ススキの枯れ穂と新しい葉
2021/6/8撮影  



↓シナダレスズメガヤ(ウィーピング・ラブグラス)(イネ科)(Eragrostis curvula
 シナダレスズメガヤは、国立環境研究所侵入生物データ(※1)によれば、自然分布は南アフリカで、法面緑化,砂防用として北アメリカから輸入(1959年から導入)とあります。ススキが古来から日本で親しまれてきた植物であるのに対して、こちらは60年ほど前に入ってきたものです。写真のものが、間違いなくシナダレスズメガヤかどうか、やや自信はありませんが、Google lensではこれが出ますし(Google lesがあてにならないこともまあまあありますが)、ネット上の写真を見ても見た目は一致していると思います。とにかく、今は道端の至るところに生えています。もちろん、環境省の生態系被害防止外来種になっています。
↓シナダレスズメガヤ
↓2021/6/11撮影  

↓2021/6/9撮影 

↓2021/6/8撮影  




↓セイバンモロコシ(ジョンソングラス)(イネ科)(Sorghum halepense
 昨年秋に見たものと同じ姿が、もう6月に見られました。葉の中央にはっきりした白い筋があり、穂の様子も間違いなくセイバンモロコシです。環境省の生態系被害防止外来種。同付加情報によると「地中海沿岸のアフリカ原産で、飼料用植物として1943年に渡来、世界的な強害草(在来種との競合、駆逐)」。
↓セイバンモロコシ
↓2021/6/14撮影  


↓2021/6/8撮影  

 

 

↓チガヤ(イネ科)(Imperata cylindrica
 たくさんの白い穂が風になびく風景は初夏のススキと言った風情があり、いいなと思いました。穂を噛むと甘いという情報があり、やってみればよかったかも。

 葉にススキやセイバンモロコシのような白い筋はありません。
Wikipedia「チガヤ」(※2)によると、

「日本にあるものをフシゲチガヤ(var. koenigii (Retz.) Durand et Schniz) として変種とする説がある。」
「花期は初夏(5 - 6月)で、葉が伸びないうちに葉の間から花茎を伸ばして、赤褐色の花穂を出す。この花穂を抜き取ってしゃぶり、噛むと甘みがある」「万葉集にも穂を噛む記述がある。」
「地下にしっかりした匍匐茎があるため、大変しつこい雑草である。群生して絹毛のような穂が日光に照らされて輝き、風になびく光景は美しいが、雑草としては最も強い性質をもち、一度土地に侵入すると絶やすのは難しい。」
「鱗片葉を除いた根茎を掘り起こして、日干しまたは陰干したものは茅根(ぼうこん)と呼ばれる生薬で、利尿、消炎、浄血、止血に効用がある薬草として使われる。」
「ちまき(粽)は現在ではササの葉などに包むのが普通であるが、本来はチガヤに巻いた「茅巻き」で、それが名の由来であるとの説がある。」

↓チガヤ
2012/6/1撮影 

 


↓シマスズメノヒエ(イネ科)(Paspalum dilatatum
 環境省の生態系被害防止外来種。付加情報によると、「南アメリカ原産、1915年小笠原で確認、本州では第二次大戦後に緑化用に使われ急速に増加」
 穂にポツポツとついている黒っぽい(黒紫色の)ものは柱頭と葯ということです(※3)
 南米原産のタチスズメノヒエ、在来種のスズメノヒエとの区別として、スズメノヒエは穂が束になり立ち上がること、スズメノヒエとタチスズメノヒエの葯は黄白色なのに対してシマスズメノヒエの葯は黒紫色であること、シマスズメノヒエの毛は長いことが挙げられます。一つ目の写真は明らかにシマスズメノヒエ、下は毛がよく見えませんが黄白色の葯が見えずやはりシマスズメノヒエではないかと思われます。
↓シマスズメノヒエ

↓2021/6/21撮影 


↓2021/6/2撮影  


↓2021/6/1撮影 



↓メリケンカルカヤか??(イネ科)(Andropogon virginicus
 白い綿がついていないことを除けば、昨年秋に見た赤褐色のメリケンカルカヤそっくりな姿なので、これは昨年の枯れ残りなのでしょうか。昨年夏ごろには緑の状態のメリケンカルカヤを見ています(下の写真の場所とは違いますが)。メリケンカルカヤなら、環境省の生態系被害防止外来種。同付加情報によると「北アメリカ原産で、1940年頃入る」。
↓メリケンカルカヤ??
2021/6/8撮影  


(↓2021/6/22追記しました)
↓ヨシ(アシ)(イネ科)(Phragmites australis
 葉にススキやセイバンモロコシのような白い筋はありません。まだ穂は出ていません。

↓2021/6/22撮影




(参考)
※1:「シナダレスズメガヤ」国立環境研究所侵入生物データベース
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80760.html
※2:「チガヤ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/3/16  07:34 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※3:「シマスズメノヒエ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/2/20  17:31 UTC 版)https://ja.wikipedia.org