ラジオ深夜便 にっぽんの歌こころの歌 コミック・ソング
ラジオ深夜便で、懐かしい（と言っても自分の世代以前のものもありますが）コミック・ソングをやっていました（１月５日）。
久しぶりに聴いてみると、どの曲にも歌い手の歌唱力の「お見事」と言いたくなるような素晴らしさや、作品の構成や音楽の素晴らしさがあり、いい料理をいただいたような気分になりました。選曲が良かったです。また、工藤三郎アンカーの趣味なのか、クラシック絡みの曲もありました。また聴いてみたいと思いましたが、深夜便の２時台、３時台は聴き逃し配信なしなのが残念です。
「ハイ、それまでョ」は言わずと知れた植木等さんの歌ですが、久しぶりに聴いて、やっぱり歌唱力がすごいと思いました。ムード歌謡風の部分の甘い歌声と絶妙に「上手い」歌、コロッとコミカルな歌に切り替わるところなど。
植木等さんの歌と言えば、「スーダラ節」がありますが、最近毎日のように出前館のＣＭでダウンタウンの浜田さんが替え歌を歌っているのを聴きます。しかし、いつも「違うなー」と違和感を感じてしまいます。以前、NHKの歴史秘話ヒストリア「スーダラ節が生まれた」で見ましたが、作曲家の萩原さんが、植木等さんに四六時中密着して「鼻歌」を書き留めて誕生したのが「スイスイ、スーダララッタ～」でした。ＣＭでの歌のように、「でっ、でっ、」と気張った感じの歌い方では全く違うと感じてしまいます。鼻歌として、フ～ンガ、フ～ンガ、軽々と、鼻から抜いて歌っていたもの（節）から曲自体が生まれているので、そのように（「ふ～んが、ふ～んが」のスウィングのようなリズムに乗って）歌わないと（たぶん）音楽として不自然です。それに植木等さんの歌唱力は抜群ですので、なかなか真似できないと思います。
ＣＭついでに、貴乃花さんの「ふるなび」のＣＭもおかしいです。オカメインコを調教して「フルナビ」などと言わせているような設定だったと思いますが、鳥は「言葉」を真似るのではなく、ＩＣレコーダーの如く音響を模写して再生しているので、調教者と違った「声」で「しゃべって」くることはあり得ません。分かっていて（そうしないとインコだとわからないと思うから）やっているのでしょうが、いくらＣＭでも自然への理解を無視している点が私にはデマの拡散に思えて、全く良い印象は持てません。
さて、深夜便の話に戻りましょう。「水虫の唄」は初めて聴きましたが、クラシック音楽がでてきます。ベートーベンの田園で始まり、メロディー後半はメンデルスゾーンの無言歌集から「春の歌」です。ラブソングですが君の残したものが「水虫」という内容です。「君と歩いた渚」の「君」が彼女のことなのか水虫のことなのかわからなくなって笑えます。
「走れコータロー」は、カントリーミュージックに似たブルーグラスというジャンルの仕立てになっていて、バンドにバンジョーなどが入り、その演奏の鮮やかさに感動、さらに早口の競馬中継のような部分は脱帽です。ブルーグラスと言えば、日本では、高石ともやとナターシャセブンですが、ここにも「あった」という感じです。
「わかんねェだろうナ」は、「夕焼け小焼け」がジャズ風に編曲されたように歌われ、歌詞は面白く（自分は昔夕焼けだったという）、伴奏は完全に真面目なジャズ風のピアノで、最後は「夕焼け小焼け」が弦楽合奏で美しく奏でられます。歌い手の松鶴家千とせさんはジャズシンガーを目指していたそうなので、なるほどと思いました。とにかく音楽が素敵です。「夕焼け小焼け」と言えば、三善晃「唱歌の四季」の中での編曲がものすごく素晴らしいのですが、この音楽にはまたそれとは違う良さがありました。
さださんの「関白失脚」はさださんらしいユーモアによる笑いと、最後は「がんばれ」という励ましがありました。
【ラジオ深夜便】放送日時：令和三年(2021年) 1月5日(火)午前3時台
にっぽんの歌こころの歌 思い出の流行歌：コミック・ソング・アラカルト
ＰＰＡＰ（ペン・パイナッポー・アッポーペン）
ピコ太郎、エイベックス、AVCD-93575
ハイ それまでョ
植木 等（うえき ひとし）、東芝ＥＭＩ、TOCT-10770
デンセンマンの電線音頭
デンセンマン 伊東 四朗（いとう しろう）小松 政夫（こまつ まさお）スクールメイツ・ジュニア、コロムビア、COCP-35915
帰って来たヨッパライ
榎本 健一（えのもと けんいち）、東芝ＥＭＩ、TOCT-8379
水虫の唄
カメ＆アンコー、東芝ＥＭＩ、TOCT-10264
走れコウタロー
ソルティー・シュガー、ビクター、VICL-41071
関白失脚
さだまさし、ワーナー、WPC6-8125
これが本当のゴルフだ！
吉 幾三、徳間ジャパン、TKCL-30711
わかんねェだろうナ
松鶴家 千とせ（しょうかくや ちとせ）、ＥＭＩ、TOCT-26829
演歌チャンチャカチャン
平野 雅昭（ひらの まさあき）、テイチク、TECN-25842
お読みくださりありがとうございました。