身近な自然観察 11月の道端、川岸


 「道端、川岸」と題してみました。

カワセミ
 写真が相当粗くて申し訳ありません(真ん中あたりに青く写っています)。川沿いに歩いていて偶然見かけました。この川と支流の別の川で年にそれぞれ数回程度見かけるのですが、今年は合わせて2回目です(歩く量が減ったせいか少ないです)。つがいでは見たことがないので巣穴はないのかもしれません。翡翠(ひすい)の字をあてて「カワセミ」と読ませるとおり構造色の光るような青が非常に美しいです。この写真を撮った直後にカワセミは川に飛び込みましたが、その瞬間を見逃しました(音と飛び上がるところだけ目撃)。そしてすぐ飛び去りました。いつも感じますが、直線的な独特の飛び方(ホバリングしながら一直線に素早く進んでいくような感じ)をします。
↓カワセミ 2020/11/17 



カラムシ
 以前、撮影したのとは別の場所(今回カワセミを見たほうの川岸です。前回は支流のほうでした。)で見つけました。最近までカラムシを意識したことはなかったので、どの程度生えているかわからず、「ここにもあった」という感じです。葉が互生でついていることも写真から確認でき、ヤブマオではないとわかります。
 イラクサ目イラクサ科で、日本のものは、ナンバンカラムシの変種ということのようです。茎から麻と同等の丈夫な繊維がとれ、有史以前から栽培されてきたものが野生化した史前帰化植物と言われます。(※1)
↓カラムシ 2020/11/17 



イノコヅチ
 ナデシコ目ヒユ科イノコヅチ属で、学名はAchyranthes bidentata var. japonicaとあり、広義のイノコヅチの変種で、日本に古来からある種のようです。上記と同じ川の岸にありました。恥ずかしながら、イノコヅチという名前、植物は今回調べて初めて知りました。素人です。
Wikipedia(※2)によると

 「別名、フシダカ、コマノヒザとも呼ばれる。平安時代中期に編纂された『延喜式』には、「こまのひざ」「ふしだか」という名前での記載が見られる。日本に地方によって、サシグサ、ノサバリコ、ヌスビトグサ、モノグルイという方言名でもよばれている。中国植物名(漢名)では、牛膝(ごしつ)という。」
「 【薬用 】イノコヅチの根を乾燥させて作った漢方薬(生薬)を牛膝(ごしつ)といい、利尿、強精、通精、通経薬とする。また俗間では堕胎薬としても使われたこともあったと見られているが、これら有効成分はよくわかっていない。牛膝は、秋に根を掘り採って天日乾燥して調製される。民間療法では、生理痛や関節痛に、牛膝1日量5グラムを400 ccの水で煎じて3回に分けて服用する用法が知られている。ただし、妊婦への服用は禁忌とされている。
【食用 】第二次世界大戦中の日本では、戦時下の食糧難で食べられる雑草として「夏の七草」の一つとして食用を推奨されている」

↓イノコヅチ  2020/11/17 



ヨメナかノコンギクか 
 前にも載せましたが、上記と同じ川でも見たので載せました。いわゆる「野菊」と呼ばれる種です。花は8~11月頃まで(※3)とあるので、今も花期とされる範囲です。本来の茎の高さが全くないのは、一度刈り取られたからでしょうか。ヨメナなのかノコンギクなのか相変わらず区別が難しくわかりません。     
 APG体系で、キク目キク科シオン属です。ヨメナは若芽を食用にします。ノコンギクは亜種変種が多数あり日本国内にも複数あって(※3)ややこしいです。
Wikipedia(※4)によると、

「ヨメナの染色体数は2n=63で、これは中国から九州に入ったオオユウガギク(2n=72)と南から侵入したコヨメナ(2n=54)の交配で生まれたと考えられている。」

↓ヨメナかノコンギク 2020/11/17 

 

 

 

オオジシバリ
 キク目キク科ニガナ属(※5)です。春に見る花ですが、秋にも咲くということが確認できました。稲刈り後の水田の脇に咲いていたものです。写真では花の茎と葉との関係がよくわからなくなっていますが、倒披針形(元が細く先が広くなっている)の葉が周辺に見えます。
Wikipedia「ニガナ属」(※5)によると、ニガナ属の植物は、

「日本、中国、東南アジアからインドにかけて20種がある。日本には10種ばかりがあるが、変異が大きくて分類が難しい面もある。」

↓オオジシバリ 2020/11/10 




メリケンカルカヤ
 以前にも載せましたが、茶色く色づいて綿毛が膨らんでいたので写真を撮りました。県道の歩道にあったものです。イネ科カルカヤ属で、名前のとおり北アメリカ原産です。外来生物法の生態系被害防止外来種になっていて(旧要注意外来生物)、分布拡大まん延期、その他総合対策外来種となっています。 
Wikipedia(※6)によると、

「日本における本種の導入経路は不明だが、1940年頃に愛知県で確認され、現在では、関東地方以西に広く分布している」「花期は10-11月。茎の上半分ほどの部分では節から出る葉が葉身を持たない鞘の部分だけの苞葉となり、その長さは数cmで、その内側に2~数本の総、つまり小穂の並ぶ軸を抱える。この軸には小穂が並んでおり、軸と小穂の柄からは多数の細くて長い綿毛が生えている。またこの軸には小穂ごとに関節があり、成熟時にはこの関節で分離し、軸の一部と小穂とがひとまとめとなって脱落し、風によって散布される。」

↓メリケンカルカヤ 2020/11/14 



ナンキンハゼ
 APG体系で、真正バラ類I キントラノオ目トウダイグサ科ナンキンハゼ属です。和名は、ハゼノキの代わりに蝋をとる中国の木という意味です。花は雌雄同株で、種は鳥に散布され拡大します。(※7)
 写真は(おそらく鳥によって種が散布され)道路の歩道脇で繁茂しているものです(樹幹のようなものはまだできていません)。川に近い道路です。紅葉は1つの木で塊ごとに進み具合が違うようで(街路樹のような木でもそうなっていました)、グラデーションのようになっていて、見ようによってはなかなか綺麗です。
 外来生物法の生態系被害防止外来種になっており、分布拡大まん延期、その他総合対策外来種です。同リストの付加情報によると、 
「園芸植物として江戸時代に渡来  中国大陸中南部温帯から亜熱帯原産」
「鳥や水により種子が散布され、土壌環境にも影響する。日本でも河川で分布を拡大しており、草原や雑木林等への影響が懸念されている。そのため、こうした環境に侵入するおそれのある場所や自然水域の周辺では、利用を控える等の配慮が必要である」
↓ナンキンハゼ 2020/11/14 



オシロイバナ
  歩いていたら、黒い種(実は果実)がパラパラ散らばっていたので存在に気づかされました。さて、この果実(種子)を移動させる媒介者がいるのだろうかと思いましたが、いなさそうな感じがします。どうやって野生化し分布を拡大させるのだろうと疑問に思いました。一般社団法人日本植物生理学会のサイトの「みんなのひろば(植物Q&A)」に「オシロイバナの種子」という記事がありました(※9)。これによれば、花の時期、花弁状に見えるのは萼で、果実の黒い表面は萼の一部が厚い殻として残ったものだそうです。この回答者によれば、自分の周囲に種子を落とす植物はたくさんあり、オシロイバナも自分の周囲から少しずつ勢力範囲を拡大するほうが有利だった過去があるかもしれませんということでした。
 ナデシコ目オシロイバナ科オシロイバナ属 Mirabilisで、学名はMirabilis jalapaです。和名の由来は種子に粉状の胚乳があるから。南アメリカ原産で、江戸時代始めに観賞用に渡来し、広く野生化しています。暖地では冬に地下部が生き残り再び芽を出します。(※8)
Wikipedia(※8)によると、

「オシロイバナ属には観賞用に栽培されるもののほか、アンデス山脈周辺でいもを食用にするもの(maukaまたはchago、M. extensa)もある。
根を利尿、関節炎の生薬として処方される。また、葉は切り傷、たむしの治療に用いられる。」

↓オシロイバナの果実 2020/11/14 

 




ムラサキエノコロ
 車道寄りの歩道に生えていていて、穂が黒っぽいので写真を撮りました。エノコログサの穂がまるで排気ガスで汚れたかのようですが、
エノコログサ(Setaria viridis (L.) P.Beauv. subsp. minor)に対して、ムラサキエノコロ( S. v. f. purpurascens Maxim.)(この場合の“f”は命名者のあとではないので「forma(型)」の意味で、品種などを表すようです。)がありました。イネ科キビ亜科エノコログサ属です。
 エノコログサはアワ(粟)の原種とされ、交雑もよく起こるとされます。日本には縄文時代以前にはなく、アワ作とともにアワの雑草として伝わったと推測されています。ブラシ状の毛は、エノコログサの場合、芒(のぎ)ではなく小穂の柄から生じる長い突起です。(※10)
Wikipedia(※10)によれば、

「現在は、一般的に食用としては認識されてはいないが、アワ(粟)の原種であるので食用に使える。基本的に穀物であるので、粟やほかの穀物同様、種子の部分を脱穀・脱稃して食用とする。近代以前の農村では、飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。
食用とする場合、エノコログサは脱粒しやすいのではたきなどで叩き落としざるで受けるのがよい。脱穀したのちすり鉢ですりつぶし、水選する。食べるときはアワと同様、粒のままでも製粉しても食べられる。」

↓ムラサキエノコロ 2020/11/11 



チカラシバ
 ムラサキエノコロを巨大にしたような感じで、試験管を洗うブラシのようです。イネ科チカラシバ属で、学名はPennisetum alopecuroides (L.) Spreng.です。和名は、引き抜くのに力が要ることに由来します。
Wikipedia(※10)によれば、

「日本、朝鮮半島、中国からフィリピン、マレー半島からインドまで分布する。日本国内では北海道南西部以南のほとんど全土で見られる。また、オーストラリア、北アメリカに帰化している。」

↓チカラシバ  2020/11/10  

 


↓チカラシバ2020/11/19  



ハシボソガラス
 稲刈り後の田んぼで、たくさんのハシボソガラスが集まって連日せっせと田んぼの地面をつついていました。親しみを感じます。ハシブトガラスよりも比較的植物質を好む傾向があり、ハシブトガラスと違って地面を歩く時間が長いため、地面採食もするとあります。(※12)
 きっと、植物の種子散布、分布拡大に貢献していることでしょう。
↓カラス(稲刈り後)2020/11/10 



ナナホシテントウ
 道端で地面を移動しているのを見つけました。踏んでしまわず良かったです。草の根元に移動させましたが、また移動することでしょう。踏まれませんように。ヨーロッパ産は斑点が小さいとされますが、これは大きいので日本産でしょう。
Wikipedia(※13)によると、

「体内にはアルカロイドが含まれるため、鳥はこれを食わないという。見かけの派手な色は警告色と考えられる。」「成虫は集団で冬眠する。」「成虫の寿命は活動状態で2ヶ月ほどである。秋に羽化した成虫は越冬する。」

↓ナナホシテントウ 2020/11/11 



 お読みいただきありがとうございました。

(引用、参考資料)
※1:「カラムシ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/7/30  14:38 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※2:「イノコヅチ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/5  04:59 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※3:「ノコンギク」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/8/26  03:45 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※4:「ヨメナ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/3/29  12:36 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※5:「ニガナ属」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/8  20:30 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※6:「メリケンカルカヤ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20  13:22 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※7:「ナンキンハゼ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/8/28  15:27 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※8:「オシロイバナ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/8/10  01:06 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※9:一般社団法人日本植物生理学会サイト「みんなのひろば(植物Q&A)」から「オシロイバナの種子」回答者JSPPサイエンスアドバイザー今関 英雅 回答日:2010-10-05
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2316
※10:「エノコログサ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20  13:35 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※11:「チカラシバ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/9/6  21:14 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※12:「ハシボソガラス」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/7/30  08:18 UTC 版)https://ja.wikipedia.org
※13:「ナナホシテントウ」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/5/22  11:36 UTC 版)https://ja.wikipedia.org