―奪う者だけが、次の景色へ行ける。


早いもので、今週末の日曜、2月1日から、プロ野球は12球団が一斉にキャンプイン。また今年も熱い野球尽くしの一年がスタートします。


プロ野球ファンにとって、春季キャンプは正月のようなもの。順位表も、数字も、まだこの時には存在しません。ただ、ワクワクする日々だけの時間が、毎年変わらずそこにある、それが野球ファンにとっての春季キャンプ。


2026年。新井政権は4年目を迎えます。ここから先は「我慢の年」ではなく、本当の意味でのチームの底上げが求められるシーズンとなる、私はそう思っています。


新井監督は言います。「チャンスは、去年より少なくなるだろう」と。それは冷たい言葉ではありません。「与えられる側から、奪う側へ行け」、新井監督の言葉は、そうした強いメッセージなんだと思います。


そんなカープの春季日南キャンプですが、今回、春季キャンプが直前に迫る中、自分自身の考える春季キャンプの見どころについて改めて考えてみました。



まず注目選手として挙げたいのは、プロ入り2年目を迎える佐々木選手。


昨年は開幕に出遅れ、復帰後も肋骨の疲労骨折と何かとケガに泣かされ、シーズンを通して一軍に帯同することができなかった佐々木選手。それでも、疲労骨折前、そして骨折後に戻ってきてから見せてけれた彼の打席からは、確かな可能性を感じさせてくれるものがありました。


特に忘れられないのは、デビュー戦。初見のプロ投手を相手に、初球から迷いなく自分のスイングを振りにいったあの一振り。この一振りに、私のポテンシャルが凝縮されているように私には感じられました。


一年目は結局54試合で打率.271。ただ数字以上に、その打席での振る舞い一つ一つが、十分プロとしての可能性を感じさせるものでした。


オフには徹底的に身体を鍛え、身体も一回り大きくなりスケールアップした佐々木選手。このキャンプで首脳陣の信頼を勝ち取り、開幕スタメンを奪えれば、まだ出ていない“プロ初アーチ”は、自然とついてくるはず、それだけに2年目の飛躍を期待したいところです。


そして注目選手の次に挙げたいのは矢野選手。


矢野選手にとっては、佐々木選手とは違い、今シーズンはまさに踏ん張りどころのシーズンとなるでしょう。


2年前にレギュラーを掴み、昨年はそれを盤石にするシーズンになるはずでした。しかし、結果は厳しいものでした。打撃が振るわず、出場機会は激減。粘りが身上だった打撃も影を潜め、自慢の守備をお披露目する機会自体も減ってしまう悪循環。やはりある程度打てないと試合には出られない、そのことを痛感させられるシーズンでした。


昨年そうした苦しいシーズンを経験した矢野選手にとって、2026年は逆境からのスタートとなります。それもそのはず、矢野選手の代わりに小園選手がショートを奪い、その小園選手は首位打者と最高出塁率の二冠を獲得、そして侍ジャパンWBCにも選出されるなど、プロとして大きく飛躍しました。その小園選手に対し、新井監督は、早くもショートでのレギュラー確約を公言しています。


矢野選手の立場は、はっきりと揺らいでいることは間違いありません。セカンド、サード。ルーキーや若手との競争。もう一度、信頼を取り戻しにいくシーズンとなる今季。


今季は彼自身にとって、単なるポジション争いではない、プロ野球人生を左右する一年になってくるのだと思います。矢野選手は、カープの元気印、それだけにこのキャンプ、彼の大いなる巻き返しに期待したいところです。


次、注目選手3人目に挙げるのは、末包選手。


和製大砲の「次」が問われる今季。オフ、末包選手は和田一浩氏に弟子入りして教えを乞いました。


和田氏は、ドラゴンズコーチ時代に細川成也選手を一人前に育て上げた名打撃指導者。


末包選手が、このオフ、テーマとして掲げていたのは体の近くを通して、バットを振ることでした。和田氏に教えを乞う中で、バッティングフォームを改良。そのかいあってか、逆方向への強い打球が増えたという確かな手応えも感じはじめているようです。


昨年目立った外のスライダーへの弱さと、外の球への対応。それを克服するため、はっきりした課題にこのこのオフは彼自身向き合い、改善のきっかけをつかみました。


本塁打がセンターから逆方向にも出てくれば、相手投手は簡単に外へ逃げられなくなります。打席の安定感は、確実に増すことは間違いないでしょう。


新井監督いわく、ファビアン選手のレギュラーは小園選手と同じくほぼ確約されているらしいので、そういう意味で言えば外野の残り枠は、実質あとふたつ。


ただその枠も、昨年殻を破った中村奨成選手やルーキー平川選手、そしてベテランの秋山選手、野間選手などが控えています。その中で、和製大砲としての存在価値を示せるのか。このキャンプは、末包選手にとってまさに今後和製大砲として開花させ、真の意味でのレギュラーを勝ち取れるか、それを左右する大切な一年となってくるでしょう。


そして、投手陣として、私が注目しているのは 益田投手、彼を挙げたいと思います。彼への評価は静かに、それでいて着実に変わり始めています。


栗林の先発転向で、中継ぎ陣の再整備が必要になるカープ。そこで面白いのが、益田選手なんじゃないかと。


スライダー頼みから、ツーシーム主体へ。内に食い込む球で、ゴロアウトが増え、コントロールも安定してきた益田投手。


その証拠にフェニックスリーグでは10試合連続無失点と結果もついてきています。


黒田博樹球団アドバイザーも「誰が見ても、ブルペンでの球の質が良くなっている」と評価していました。


益田投手はプロ入り3年目の昨シーズンは、一軍での登板わずか4試合に終わりました。その意味では大学・社会人上がりの益田投手にとって、今年はまさに勝負の年。


クローザーから先発に転向する栗林投手の穴を埋め、中継ぎ陣の救世主となれるのかに注目したいところです。


その他平川選手、勝田選手、斎藤投手のルーキーたちにも注目したいです。


平川選手のスイッチヒッターとしての完成度。勝田選手の守備力は、菊池の後釜としてどこまで通用するかは、この春季キャンプ、ファンとして大きな見どころのひとつだと思います。


斎藤投手は、大学の先輩で現バァファローズ、かつてカープで鉄腕としてならした九里投手のように1年目からほフル回転を期待したいところです。


彼らは即戦力であると同時に、もたもたしている先輩たちを脅かす存在。キャンプは、そういう存在が一気に前へ出る場所でもあるので、物おじせず自分をアピールしていって欲しいですね。


そして、最後に見どころとしてこの人を挙げたいと思います。



そう、新井監督、その人。


今年、最も注目したいのは、実はここかもしれないと私は思っています。


最新号の雑誌Numberのインタビューで語られた、3年目で感じたという反省の弁。一軍と二軍の当落線上にいる選手が、若手に「これがラストチャンスやぞ」とハッパをかけている姿を見て、自分がチームに求めていた「家族」という言葉は本当に正しかったのか、そう深く考えさせられたと言う新井監督。


育成と勝利。思えば昨年はその間で揺れたシーズンでした。そしてシーズン途中から、新井監督がベンチで前に出てはしゃぐ姿は明らかに消えました。代わりに、ベンチでどこか遠くを見るような目をしていた姿が印象的だった新井監督。


それは迷いながらも、決意を固めた男の目のようにも私には感じられました。


今年の新井監督は違う、私はそう信じたい。


おそらく若手を使うために使う、というフェーズは終わったんだと思います。ただやみくもにチャンスを与える、そんな若手起用は今シーズンはかなり減るでしょう。評価は、もっとシビアになるはずです。


それを、私はチームの前向きな変化だと受け止めたいと思っています。


プロの世界は残酷です。同じ技術なら、若い方が使われる。同じ年齢で差がなければ、新しい選手にチャンスがいきます。


だからこそ――チャンスは与えられるものではなく、自ら掴みにいくものという、原点に立ち返り、選手たちにはがむしゃらにこの春季キャンプに臨んで欲しいなと思いますね。


さあ、そんなカープの春季キャンプ、今年もまたJスポーツで、毎晩キャンプ中継を見る季節がやってきました。


今年もまた、始まる。これから毎日また野球の話題が溢れるのかと思うと嬉しくてたまりません。


語る前に、やる。見せる前に、積み上げる。男は黙って知行合一。


2026年のカープは、その覚悟が試されるシーズンになるでしょう。私もファンとして、このキャンプでの選手のチャンスをつかみにいく姿勢をしっかり見届けていきたいと思っています。


皆さん、2026年も共にしっかりカープ追いかけていきましょう!


頑張れ、カープ!!