ステレオタイプは人を勘違いに陥れる
今季の総得点数は29
29得点のうち、流れからのゴールが14で、セットプレーからのゴールが15でした
流れの中のゴールか、セットプレーからのゴールなのか、区別が微妙なものがいくつかあったので目安程度に考えてください
過半数がセットプレーからのゴールということで、セットプレーが大きな武器になるということが証明された形です
一方で、流れの中でのゴールが34ゲームで14ゴールと明らかに少ないです
セットプレーの内訳をみると、CKからが4ゴール、FKからが8ゴール、PKからが1ゴール、スローインからが2ゴールでした
ところで、山形のサッカーは「堅守速攻」や「しっかり守ってカウンター」と表現されることがよくあります
しっかりブロックを形成するディフェンスをしているので、「堅守」というキーワードは山形のサッカーを表すものとして適切でしょう
しかし、山形のサッカーを「速攻」あるいは「カウンター」と表現することには大いに疑問を感じます
そのようなスタイルのサッカーを決して目指していないし、もう少しカウンターができるといいのになんて感じることもあるくらいです
驚きなのは解説者の中にも山形のサッカーをカウンターサッカーだと思っている人がいることです
それも、そのように思っている人は少数ではないようです
最近で言うと、磐田戦で解説していた方やサカダイの総集編でJ1の総括をしている方などがまさにそうでしたね
おそらく「守備が堅い」=「カウンターサッカー」という先入観なんだとは思いますが、山形のゲームを1ゲームでもしっかり見たらカウンターサッカーではないことがわかりそうなものなんですけど
今季の流れの中からの14ゴールを詳しくみてみることで、山形はどのような攻撃をしているのかを検証してみます
ポゼッションを始めてから(ボール奪取してから)ゴールに至るまでの秒数の平均を出してみました
14ゴールの平均は25.43秒でした
他クラブのデータがないので他と比べてどうかというところはわかりませんが、ゴールまでに平均25秒かかるチームがカウンターで点を取ってるとは言えないでしょう
しかも、ボール奪取から10秒以下の短い時間でゴールを決めたのは1度もありませんでした
ボール奪取から一番ゴールが早かったのはホームのダービーの2点目とホームのG大阪戦の2点目のゴールで、11秒でした
ダービーの有三のゴールは仙台の最終ラインの4枚は揃っていたのでカウンターではないでしょう
G大阪戦の光平のゴールは石川からの縦パス一本で裏を取ったゴールで、これが唯一カウンターと言えそうなゴールです
逆に長い時間ポゼッションをしてゴールを奪った形のほうが多く、40秒以上ポゼッションしたうえでのゴールは4ゴールもありました
一番長かったのはホームのC大阪戦の60秒でした
途中で3度クリアされましたが、クリアボールを山形が拾い、ポゼッションを続けました
3→8→13→19→2→17→13→8→17→19→32→クリア→17→32→3→13→3→17→クリア→32→1→2→15→クリア→15
このような形で11人のプレーヤーのうち9人が関与したゴールでした
次に長かったのはアウェー広島戦でのゴールで49秒でした
13→19→9→8→13→17→13→17→22→2→22→10→17→2→9→8
このような形で8人が関与し、49秒間相手に全くボールを触らせずにゴールを奪いました
また、ホーム広島戦のゴール、アウェーF東京戦のゴールはそれぞれ42秒間クリアされることなくポゼッションを続け、ゴールを奪いました
以上見てきたように、山形は第三者のイメージとは異なりしっかり繋いでゴールを奪う攻撃をしています
しかし、一方でカウンター攻撃というものが少ない印象です
前述したようにカウンターから奪った得点はわずか1点で、高い位置で奪ってからのショートカウンターでの得点という形は皆無でした
この辺が得点力不足に苦しんだ一因なのかもしれません
器用貧乏では困りますが、現在のポゼッションをしての遅攻の精度向上だけではなく、さまざまな攻撃パターンを確立することが来季の課題の一つと言えそうです