・「アストラル界の地形を表す主要な特徴として、エターナティ川を挙げ、それはまるで、へびのように曲がりくねりながらマルドゥク全体を囲んで流れており、周りの山々からの水流が集まってできた川のようであると述べています」

・「私たちにもあなた方のように体があります。でもあなた方のように密度が高くて、きめの粗い物理的な体ではなく、もっと細かい物質と振動でできている体です。ここには病気はなく、失われていた手足も再生します。地球で変形してしまった体もここでは完全な形に戻ります。私達は、家具の揃った快適な家に住んでいますし、田舎の風景はとても美しいものがあります。ここの人たちの平均年齢は25~30歳です。地球で老衰のために亡くなった人たちは、再生の眠りの後にここで目を覚まします。この眠りは、地球の時間で約6週間続きますが、それより短い場合もあります」

 

・「他界の通信者によれば、彼らの髪や歯、その他の体の部分は、本来持っていたものと変わらないそうです
そして、そうここにはセックスも存在します。もちろん、妊娠することはありませんが」「この世界では『類は友を呼ぶ』という古いことわざがそのまま生きています

・「<第3界の環境>エターナティ川は全長約1億キロメートルで、その川沿いには、かって地球に住んでいた人々が暮らしています。(中略)藻から巨大な樹木まで様々な植物が繁茂しています。建物の多くは木製です

・「人や動物はここで目覚めて新しく生まれ変ることもあれば、(中略)年老いた姿でここにやって来て、再生の眠りの後で、再び若い姿になる人もいます」

・「存在におけるこの別領域は、これを体験した人たちによって、天国や地獄、至福の国、千の荒ぶる神々の場所などとして、さまざまに説明されてきました

・「私たちが誕生と呼ぶものは、単に死の裏側で、これは丁度コインの表と裏の関係、またはドアのことを部屋の外側からは入口と呼び、内側から出口と呼ぶようなものだ」

・「アストラル界の語は、一般的な意味として、死後の全体をさす場合もあるが、死後の世界を7つの階層に分け、そのなかの第2~4界をアストラル界と呼んでいる

・「神智論者のアリス・ベイリーは、亡くなった人たちが私達の住む地球との通信を行い、この通信が真の科学となっていく。(中略)死はその威力を失い、このような恐怖には、終わりが来るだろうと予言しています」

・「奇妙なことに、聖書には『最後の敵として、死が滅ぼされます』(コリント信徒への手紙15・2・6)と記されています」

・「生命の死後存続を研究するルクセンブルクのトランスコミュニケーション研究所、タイムストリーム研究所」。

・「マルドゥクは別の銀河系であるNGC4866渦状星雲にあり、これは物理的な4次元の世界には存在しないと聞かされてきました

・「ここでは全く異なる可能性が私たちの前に開けてきます。私達は、心で宇宙を旅することができ、他の次元や惑星に行ってそこを探索することもできます。一方では、大きな飛行機を操縦したり、熱気球に乗って旅をすることもできます。飛行機も熱狂的な飛行機好きの人たちが乗る二人の乗りのものがあります。ここでは多くの人たちに使われているのは、ザイオルコプターです。これは地球のヘリコプターに似ていますが、異なる物理法則に従って飛ぶので、ヘリコプターとは構造が違っています。また、主に電気自動車とソーラー・パワーの乗り物を用いて地上旅行もできます」

・「アストラル界ではほとんど瞬時に『本を考え出す』ことができるのに、地球では本を書くとなると丸々一年はかかるだろう

・「私達の亡くなった親戚、友人、または違う時代や文化背景を持つ人々の多くがマルドゥクに暮らしています。地球にいる人々にはたいてい霊界に大きな霊的家族が居て、私たちがその存在に気がつかなくても彼らは他界から仲裁に入ったり、守ったりしています」

「『思考には限界がない!』思考は全ての次元を超えて届くものです

・「エーテルは宇宙空間を満たしている。光を伝える媒質として考案された仮想物質。宇宙空間を満たしているエネルギーの源としてエーテルという物質が考えられている。エーテル・エネルギーという表現は、『気』『宇宙エネルギー』『フリーエネルギー』などと同じと思っていいだろう」

・「地球は、1000億もの星を持つ銀河系のなかの平均的な惑星で、この銀河系はさらに1000億の他の銀河に囲まれているのです


・「個人が生まれ変りを決心すると、その人は転生の過程のための『特別な建物』へと案内されます」

・「この手順は、人々がこちら側に到着するときのものと似ています。ただ順序が逆行するだけです。これから転生しようとしている人が浴槽のようなものの中に横たえられると、その体(この階層では通常20~30歳が平均)は、変化を見せ始め、だんだん若く小さくなっていきます。そして子供の状態に戻っていき、赤ん坊になり、ついには小さな細胞になります。その体が細胞になる頃は、もう私たちと同じ場所にはいません。この細胞はその間に人間の女性の体内に到着しているのです

・「他界から通信してくるものたちは、多くのアイデアはまずアストラル界で生まれ、それが現世の発明家に与えられると告げています」

・「多くの発明家たちが、貴重な情報を夢の中で受け取ったという経験を語っています。他界の科学者たちにとって、人間が夢を見ている間というのは、通信にもってこいの時間なのです

・「ほとんどの人によって天国だと考えられている世界は、アストラル界高層にあります。神秘家や霊能者はこの世界を『常夏の国』と呼んでいます

・「第3界が地球に良く似ているのに対し、第4界には地球との類似点はそれほどありません。第4界とは、完成された色と形からなる世界であります。そこにはこのうえなく美しい光や色があるのです。魂の外見は『人間の体が持つものとはかけ離れた光と色である』と言うことです。この世界の振動数は、さらに高いので、ここでの体は、とても精妙な物質からできています。第4界には、またアカシック記録があります

・「マイヤーズは、心因界である第5界を『火焔界』と呼んでいます。ここで魂は、炎のように見えます。ここには際限のない自由とともに確個たる規律があり、強い感情があります。この世界に住む魂の分担作業のひとつに霊界に新しくきた者たちの運命を導くと言うものがあります」

・「光明界と呼ばれる天界つまり第6界では、霊はすべての感情を超えたものになります。このレベルでは、魂には、形態がなく、光のように見えます。この領域を的確に表現する言葉は存在しないと述べています」

・「永劫への旅たちを迎えられるほどに強い魂たちは、全ての世界の最高層である第7界、十字架にかかり人類の原罪の償いをしたキリストの宇宙界へと渡っていくことができます。魂は、ここでついに霊の源との融合を果たすのです」

・「第6界と第7界は、神の天界として知られています。第6界で留まる魂たちは、物質の世界で作業をする。そして、純粋で建設的な動機を持って、より低次の世界に下降することができます」

 


<●●インターネット情報から●●>

 

『ブルーアイランド』

エステル・ステッド  ハート出版  1992/11

 

 

 

ブルーアイランドの建物

霊界というと、非現実的で夢のような世界を想像なさるに違いありません。が、そうではなく、みなさんが外国に行くのとまったく同じなのです。地上と同じように実体があるのです。おまけに、比較にならないくらい興味のつきない世界です。

  やがて私たちは大きなドームのような建物の前に来ました。中を覗いてみると、ここも素敵なブルーで彩られていました。地上で見かける建物と変わらないのですが、その美しさが違うのです。

 

・そこにしばらく滞在して、それから軽い食事を取りました。私が地上でよく食べていたものに似ている感じがしました。ただし、肉類は見当たりませんでした。

 奇異に思えたのは、食事は必ずしも取る必要がないように思えたことです。目の前に置いてあるのですが、どうやらそれは必要性からではなくて、地上の習慣の名残にすぎなかったようです。

 

・父の説明によれば、あの建物は一種の休養施設で、地上からの新来者がよく集まるところだそうです。地上界の生活条件に近いものがいろいろと揃っていて、外観も地上の建物に似ているので、よく使用されるということです。同じ目的をもった建物は他にもたくさんあります。別の用途を兼ね備えたものもあります。

 

それらの外観は一つ一つ異なり、似たものはありません。要するに“大きなビル”と考えればよろしい。博物館や美術館、あるいは巨大なホテルを想像されてもよろしい。だいたいそんなものに近いと思ってください。おとぎ話に出てくる夢のような宮殿を想像してはいけません。きわめて地上的で、変わったところは一つもありません。

 

・このブルーアイランドにはそうした建物が実にたくさんあるのです。というのも、この世界の第1の目的は、地上を去ってやってくる者が地上の縁者との別離を悲しんだり、無念に思ったり、後悔したりする気持ちを鎮めることにあり、当分の間は本人が一番やりたいと思うこと、気晴らしになることを、存分にやらせることになっているのです。

 

・元気づけるために、あらゆる種類のアトラクションが用意されています。地上時代に好きだったことなら何でも――精神的なものでも身体的なものでも――死後も引き続いて楽しむことができます。目的はただ一つ――精神的視野を一定のレベルまで高めるためです。

  書物を通じての勉強、音楽の実習、各種のスポーツ、‥‥何でもできます。乗馬もできますし、海で泳ぐこともできます。狩りのような生命を奪うスポーツは別として、どんなスポーツ競技でも楽しむことができるのです。もっとも、こちらでは地上で言う“殺す”ということは不可能です。狩りと同じようなことをしようと思えばできないことはありませんが、この場合は“死”は単なる“みせかけ”にすぎないことになります。

 

・そうした建物は新来者の好みの多様性に応じて用意されているわけです。こちらでは疲労するということがありませんから、思う存分それぞれに楽しむことができます。が、やがてそればっかりの生活に不満を抱き始めます。そして、他に何かを求め始めます。興味が少しずつ薄らいでいくのです。

  それと違って、たとえば音楽に打ち込んだ人生を送った者は、こちらへ来てからその才能が飛躍的に伸びて、ますます興味が深まります。その理由は、音楽というのは本来霊界のものだからです。ブルーアイランドに設置されている音楽施設で学べば、才能も知識も、地上では信じられないほど伸びます。

 

・さらには“本の虫”もいます。地上では失われてしまっている記録が、こちらでは何でも存在します。それがみな手に入るのです。ビジネスひとすじに生きた者にも、その才能を生かす場が用意されています。

  これには理由があります。こちらへ来たばかりの者は、多かれ少なかれ悲しみや無念の情を抱いております。それが時として魂の障害となって進歩を遅らせます。そこで、とりあえず悲しみや無念の情が消えるまで、当人がやりたいと思うことが何でも好きなだけやれるようにとの、神の配慮があるのです。それが実は進歩への地固めなのです。

  が、純粋に地上界に属する趣味は、やがて衰え始めます。一種の反動であり、それがゆっくり進行します。こちらでも物事は段階的に進行し、決して魔法のように一気に変化することはありません。

 

・その反動が出始めると、興味が次第に精神的なものへと移っていきます。もともと精神的なものに興味を抱いていた人は、引き続きその興味を維持し、拡大し、能力が飛躍的に伸びます。地上的な性格の趣味しか持たなかった人にも、いずれは変化の時期が訪れます。

  このように、ブルーアイランドにいる間は、多かれ少なかれ地上生活との関連性が残っています。最初は、ただ面白いこと、愉快なことによって自分を忘れているだけですが、やがて霊的向上のための純化作用が始まります。

 

 

(2020/7/5)

 

 

 

『オカルト伝説』 ナショナル ジオグラフィック別冊

人を魅了する世界の不思議な話

日経ナショナル ジオグラフィック社   2020/4/30

 

 

 

羽のように軽く……人体浮揚

・たとえば、釈迦は水の上に飛んだという記述が残っているし、ミサの間にいつも浮揚していた聖ヨセフは、死後、飛行の守護聖人として列世されている。もちろん、神々も自在に飛べると考えられていた。エジプト神話のホルス神は、鳥の羽を持った円盤という姿で描かれている。聖人たちが上っていく天界、そこには天使が住んでいる。天使には階層があり、その最高位にいるのは、神の御座の周りにいるセラフで、三対の翼を持っている。天使は人間が幸福であるかいつも気を配っていて、それが「守護天使」と呼ばれるゆえんだ。

 

歩く家具、鳴り出すアコーディオン

・空中に浮かぶことができたのは聖人や天使だけではない。行者や魔術師なども、やはり浮く力を持つといわれていた。19世紀のスコットランドの霊媒師、ダニエル・ダングラス・ヒュームは、ナポレオン3世やアンソニー・トロロープの前で、その能力を披露してみせた。浮いてみせただけでなく、手を触れずに家具を動かしたり、アコーディオンを空中で鳴らしてみせたりもした。このような物理的心霊現象を起こすことのできる霊媒師は多く、20世紀初頭のイタリア人霊媒師エウサピア・パラディーノなども、離れたところから家具を動かしたという。見物していたノーベル賞受賞者のピエール・キューリーも「これはまぎれもない事実だ。とても騙されているとは思えない」と言ったというのだ。だが、1900年代に起こなわれた研究では、部屋にはさまざまな仕掛けが施されていて、それがパラディーノの霊能力の正体だったと結論づけている。

 

霊の予言

・使徒言行録によれば、キリストの磔刑のあと、使徒たちはキリストを裏切ったユダの後任に神は誰を望んでいるか、くじ占いをして答えを探った。くじ占いとは符号やマークのついた棒や石を投げ、答えを見つけるというもの。その結果、ユスト・バルサバは負け、キリストの洗礼の時から行動を共にしていたマティアスが選ばれたのだった。

 

世界の中心

・一方、古代ギリシャ人は、デルフォイの神殿におもむき、神託を仰いだ。神殿はアテネ北西の山パルナッソスの中腹にあり、当時、そこが世界の中心であると信じられていた。

 人々は、国家や植民地の問題から個人的な問題まで、アポロンの巫女ピチアに相談した。

 

ゴーストダンス

・予言が悲劇を生んだ例もある。19世紀の終わり頃、アメリカ先住民パイユート族のウォジウォブという予言者が、トランス状態から目覚め、「自分たちの土地を取りもどす日は近い」と言った。さらに、神聖な衣服を身につけてゴーストダンスを踊り、瞑想すれば、白人が逃げて行く時期は早まると。

 

・このゴーストダンスを、戦いの準備ではないかと警戒していた連邦政府は、1890年、第七騎兵隊をサウスダコタ州のパインリッジ保留地に送り込んだ。緊張が一気に高まったのは、ウーンテッド・ニー川近くの野営地で、ラコタ・スー族が弾丸を通さないとされる「ゴーストシャツ」を着てダンスを始めたときだった。軍隊はキャンプを取り囲み、速射砲で狙いを定めた。いったん戦いが始まると、銃声が絶え間なく響き渡り、300人近くもいた大人や子どもが無差別に殺された。ゴーストダンスはもうラコタ族に踊られることはなくなったが、形を変え、今でもネイティブアメリカンの文化の中に残っている。

 

ゴーストとポルターガイスト

・ゴーストといえば出没自在で、わたしたちの周りをふわふわと浮遊しているイメージだ。しかし目撃したという人は多いが、その存在を示す科学的な証拠はいまだに見つかっていない。それでも、2012年の調査によると、45パーセントのアメリカ人がゴーストの存在を信じ、28パーセントが実際に目撃したが、気配を感じたことがあると言っている。

 

10万人の眠るセントルイス第一墓地に幽霊が出るという噂が立ち、おもしろがって見に来る観光客が多い

・ゴーストに会いたがる人たちはかなり昔からいた。イギリスには幽霊の出る場所が1万ヵ所もあるといい、ゴーストの秘密を探ろうという人たちが、温度計を手に歩きまわっている。気温が急に下がるのはゴーストが出現したサインだという。不思議な足音だけが聞こえてくる家もある。そのような場所から、またたくさんの物語が生まれてくるのだ。

 

築110年のスタンリーホテルには何体ものゴーストが、夜な夜な廊下を歩き回っているという

・1974年にスティーブン・キングが妻のタビサと泊まったロッキー山脈のスタンリーホテル。冬季閉鎖を目前に控えたこのホテルに泊まっていたのはキング夫妻だけ。このときの体験をもとに、スティーブンはホラー小説『シャイニング』(1977年)を書いたという。

 

実際、スタンリーホテルの泊り客が、廊下をうろつくゴーストを見たという話は昔から絶えなかった。ゴーストに会ってみたいという客のために超常現象ツアーが組まれているほどだ。ツアーでは、ホテルの怪奇現象を紹介しつつ、ゴーストの世界へといざなってくれる。

 

・大きな音を立てて、人を脅かしてばかりいるゴーストのことをポルターガイストという。由来はドイツ語で、ポルターはノイズ、ガイストは魂のことを指す。このはた迷惑な魂たちは、映画『ポルターガイスト』(1982年)に描かれた通り、物を動かしたり、叩いたりして皆を怖がらせる。

 

・しかし、人々がポルターガイストについて語りだしたのは、とりわけ最近になってからのことだ。たいていは人の良いゴーストのほうが好まれ、何世代にもわたって語り継がれている幽霊話もある。ワシントン・アービングが書いた『スリーピー・ホロウの伝説』に出てくる首なし騎士の話などがその典型的な例だろう。また、人々はゴーストが出るという心霊サイトも大好きだ。

 

・ゴーストが出没する場所として有名な街もある。ニューオーリンズには第一墓地やラローリーマンションへ馬車で連れて行ってくれる。ラローリーマンションは、女主人デルフィーン・ラローリーが所有していた屋敷で、多くの奴隷が虐待されたり殺されたりした場所だ。シンガポールも、心霊サイトの多い都市で、中でも出現率の高さで群を抜くのが旧チャンギ病院だろう。

 

・ゴーストはまた、船上にも出現する。現在はカリフォルニア州のロングビーチに永久停泊しているクイーンメリー号には、「白いドレスの美女」や船の中で殺された船員などの霊が、大勢乗っているといわれている。ゴースト見学ツアーまであるそうだ。そして、決して港に戻ることのない船もある。フライング・ダッチマン号は永遠に航行するのろいをかけられた幽霊船だ。リヒャルト・ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』の中でも港に帰ることを許されず、英国詩人サミュエル・テイラー・コールリッジの『老水夫行』という作品でも海原をさまよっている。

 

狼男

・1764年、ジャンヌ・ブルという14才の少女がフランスのサン・テティエンス・ド・リュグダーレ村の近くで獣に襲われた。その頃のジェボーダン地方(現オクシタニー地域圏にある地域)で動物に襲われることはそれほど珍しいことではなかったが、1760年代半ばの犠牲者は100人以上に上り、少女もその中の一人だった。

 

・彼らは皆、喉元を食いちぎられ、頭をかみ砕かれた状態で発見された。相次ぐ惨劇に、ジェボーダン地方は大騒ぎになった。後ろ足で立ち、銃で撃たれても死なないどう猛な野獣が辺りをうろついているという噂が広まったのだ。大勢の有志がライフルや毒入りの餌を持って集まった。うまく仕留めれば、報酬が手に入るかもしれない。ハンターの一人、ジャン=バティスト・ブーランジェ・デュアメルの記録には、こう書いてある。「やつは、きっとライオンを父に持つモンスターだ。しかし母親のほうは見当がつかない」。討伐隊はそのモンスターを見つけることができなかったが、1765年には事件がピタリと止んだ。おそらくオオカミの群れが人を襲っていたのか、または外国人の見世物小屋から逃げ出したライオンだったのではないかと推測されているが、その正体は、いまだに謎のままである。

 

人食いモンスター

・たしかに当時のヨーロッパでオオカミは脅威だったが、人々がもっと恐れていたのは、人が変身して人食い動物に変わったもの、つまり狼男だった。誰かが殺されるような事件が起こると、決まって貧しく、選挙権も与えられていないような弱い立場の人々に疑いの目が向けられた。当時は、狼男に噛まれると噛まれた側も狼男になり、薬を飲んだり、魔法のマントや帯を身につけたりしても変身できると考えられていた。

 

・狼男の仕業とされていたが、実は人間による殺人事件だったというケースもある。ドールの狼男として有名な、16世紀のフランス人ジル・ガルニエの事件がそうだった。ガルニエは以前から軟膏を全身に塗って狼男に変身すると噂されていた。そして、「変身した」ガルニエは、実際に子どもを殺し、食べていた。ガルニエは、1573年1月18日に逮捕され、火あぶりの刑に処せられている。ただし、狼男だと疑われていた人々の大半は、ただの勘違いによるものか、珍しい病気が原因だったのだ。強烈な頭痛を伴って口から泡を吹く狂犬病や、遺伝子の変異から体毛が過剰に成長する多毛症などの症状が、健康な人々の目には恐ろしく映ったのだろう。

 

リカントロピー(狼憑き)

・リカントロピーは非常に珍しい精神障害で、2004年以降の報告はわずかに30ケースを数えるほど。気分障害や統合失調症と関連性があり、症状は自分が狼や熊などの獣に変わっていると錯覚してしまう。バビロニアのネブカドネザル王、そしてアルメニア王のティリダテス3世もこの病気にかかって苦しんでいたと考えられている。イギリスの劇作家ジョン・ウェブスターが発表した『モルフィ公爵夫人』(1614年)は、この病気に苦しむ狼男の悲哀を見事に描き出した作品だ。

 

現代の狼男

・近代になっても狼男を目撃したという報告はなくなっていない。第2次世界大戦末期にはナチスは連合国軍に牙をむく「人狼部隊」というゲリラ軍を結成したとされている。しかし、やはり狼男が存在するのはスクリーンの中だけだろう。

 

・それでも、どう見ても狼男としか思えないような行動を取る人もいる。オーストラリア医学ジャーナルで2009年に発表されたところによると、シドニーに北にあるニューカッスルの病院では、2008年8月~2009年7月の間に受け入れた「狼男のような」症状のある急患は91人ものぼった。狼男のようなとは、急に乱暴になって暴れ出す、スタッフに噛みつく、つばきを吐きかける、引っかくなどの症状で、それらの症状の23%は、満月の夜に現れている。これは、ほかの月相のときの2倍の数字だった。患者は拘束され、鎮静剤を投与されるしかなかったということだ。

 

不思議の国の住人たち

・大地の精であるノームは、子どもたちを笑わせる人気者。

ブギーマンは、大人でさえぞっとしてしまう。もちろん彼らは現実には存在しない。

いつも楽しそうな妖精から、いたずらなトリックスター、あの手この手で怖がらせようとしてくるスピリット(精霊)まで、世界中の文化の中に生まれてきた伝説の生き物だ。

 

[コブリン]

・ふざけてばかりの醜い小鬼ゴブリンは、子どもがいてワイン樽のある家に住み着く。家事を手伝ってくれることもあるが、とにかくとても騒がしい。追い出すには亜麻の種を床一面にまくといい。そうすると、もうその掃除を手伝ってくれるゴブリンはいなくなるが。

 

[ブギーマン]

・子どもをしつけるために罰を与える怖いお化けは、世界中どこにでもいる。オランダのボルマンはベッドの下に潜み、いつまでも起きている子を連れ去ってしまうと言い伝えられている。自分の下に怪物がいるなど、怖くて逆に目がさえてきそうなものだ。韓国のお化けはもっとわかりやすく、子どもが悪いことをすれば袋に入れてさらっていく。フィリピンのお化けは首がなく、その開いた首元から言うことのきかない子を飲み込んでしまう。

 

[フェアリー(妖精)]

・不思議な魅力でいっぱいのフェアリーは、羽の生えた小さな女性の姿で描かれることが多い。イギリスの書物に登場したのは13世紀、歴史家であるティル・ベリーのジャーベイズが書いたのが初めてだといわれている。おそらく、紀元前の神や精霊がもとになっているものが、多く、始めはかなり力が強く危険な存在だったらしい。しかし、語り伝えられていくにしたがって、人間のやることに首を突っ込みたがる親しみやすい精霊にイメージが変わっていった。代表的な例が、ピーターパンの友達ティンカー・ベルだろう。

 1962年には、サマセットの農家のおかみさんがバークシャーの丘で迷い、緑色の服を着たとても小さな男の人に会ったと話した。その小人はおかみさんを助けると、煙のように消えてしまったのだそうだ。

 

宇宙の謎

昔から人類は意外な場所でUFOを目撃していた

・不思議な物体が空を飛んでいたという記録が、これまでの歴史の中にないわけではない。大昔の人々は、長い尾を引いて空に現れた彗星を、神の警告ではないかと考えていた。その頃に描かれた洞窟の壁画の中に、宇宙から来たものとみられる絵が含まれていても、驚くほどのことではないだろう。

 

・1561年、ドイツのニュールンベルグの空で、色とりどりの三角や球、十字の形をした物体が「戦い合っている」ところを多くの人が目撃している。物体は1時間ほど戦ったあと、燃え上がり、地面に落下していったという。

 19世紀末には、パーシバル・ローレンス・ローウェルを初めとする欧米の天文学者が、火星の「運河」を観測していた。そして20世紀に入り航空技術が発達すると、おかしな飛び方をする物体を見たという報告が急増した。それは侵略者なのか、救世主なのか。H・G・ウェルズの小説『宇宙戦争』やアメリカン・コミックスの『スーパーマン』が人気を集めるようになると、そのような飛行物体の目撃報告はさらに増えていった。

 

続く宇宙探査

・こんなに科学が進歩しているにもかかわらず、彗星を見て宇宙人が来たのだと思い込む人々がいる。1997年、ヘブンズ・ゲートというカルト教団の信者39人が集団自殺をした。彼らは、ヘール・ボップ彗星とともにやって来た宇宙船が自分たちの魂を連れて行ってくれると信じていたのだ。

 

ハワイで目撃

2017年、ハワイのパンスターズ1望遠鏡が、太陽系を駆け抜けていく葉巻型の物体を捉えた。つけられた名前はオウムアムア。ハワイ語で「メッセンジャー」という意味だ。オウムアムアは今までにない恒星間天体と考えられたが、宇宙人の船である可能性を唱える人たちもいた。その宇宙船説を後押ししたのがハーバード・スミソニアン天体物理学センターで、飛行スピードの変化の様子から、「地球外文明から意図的に地球のそばへ送られてきた十分に操作可能な探査機」の可能性があると発表した。

 

未確認飛行物体

・1947年の夏、あるパイロットがワシントン州のマウント・レーニア上空で、まるで「水面をかすめ飛ぶ皿のように」猛スピードで飛ぶ物体を目撃したと報告した。それを「皿のような形をした物体が」とニュースレポーターが言ってしまったことから、「フライング・ソーサー(空飛ぶ円盤)」という言葉が広まった。

 

・ニューメキシコ州ロズウェルに近い米軍基地から、空飛ぶ円盤を「捕獲」したという発表があったが、すぐにその発表は撤回された。

 

空飛ぶ円盤か、ソ連の密偵か

・それは折しも冷戦がはじまった頃だった。正体不明の飛行物体は、ソ連が軍事力を誇示するために飛ばしているものと考えられていた。アメリカ空軍は調査のためにプロジェクト・サインを立ち上げたが、地球外生物の可能性は、念のために視野に入れておいたという程度にすぎなかった。ほどなくして、新たに立ち上げられたプロジェクト・グラッジが調査を引き継ぐが、やはりUFOだという証拠は見つからなかった。その後のプロジェクト・ブルーブックも、1万2618件もの目撃情報を入手していながら、「UFOに関する報告はなにもない」と結論づけた。

 政府が、いくら宇宙人の存在を示す証拠は見つかっていないと発表しても、情報が隠蔽されたと信じて疑わない層もあった。それどころか、宇宙人に拉致されたという体験談も出てきた。有名なところでは、ヒル夫妻の話がある。1961年、ベティとバーニーはニューハンプシャー州のホワイト山地で宇宙人に捕まり、髪の毛や爪を採取されたと語った。

 

現在では、アメリカ人の半数以上が、地球外生命体の存在を信じているという。おかげで愛好家が訪れるようになったロズウェルには、UFO博物館が設立され、年に一度、UFOフェスティバルも開催されている