インセスト(近親相姦)は本当にタブーか

クレオパトラは弟と結婚した

・インセスト(近親相姦)というと、考えるのもおぞましい、絶対にしてはならない、と思う人が多いでしょうが、本当にこれはタブーなのでしょうか。

 結論としては、インセストは必ずしもタブーではない、と言えます。例外があまりにも多いからです。

 たとえば、日本の最古の歴史書である『古事記』に記されている皇族の結婚を調べると、現在の日本の法律で禁じられている3親等以内の結婚が、45の結婚例のうち実に22例、半数近くにのぼっているのです。また、718年に公布された「養老令」には、天皇の妃は天皇あるいは先帝の娘か姉妹でなければならない、と定められています。つまりこの場合、天皇の妃は近親の女でなければだめなのです。

 

・といっても、話は貴族の間だけに限りません。一般人においても、イヌイット、ジャワのカラング族、ニューカレドニア人などでは母と息子は結婚可能でした。また、ミャンマーのカレン族、マーシャル諸島、アフリカのアザンデ族などでは父と娘の結婚が、ハワイ、マーシャル諸島などではキョウダイ間の結婚がそれぞれ認められていました。

 さらに社会生物学者のソーンヒルによると、世界の129民族のうちで、56パーセントにものぼる民族が、親子やキョウダイ間のインセストを規制していないといいます。

 

・たとえば、日本では3親等以内では結婚が可能です。「いとこ同士は鴨の味」という言葉がある通り、むしろいとこ婚が素晴らしいものとして推奨される気配すらあります。

 しかし、いとこ婚は欧米ではほぼタブーですアメリカではほぼ半数の州がいとこ婚を法的に禁じています。彼らから見ると、いとこ婚を認める日本の風土や法律は、とてつもなく野蛮なものに映るでしょう。

 

・また、韓国人は合コンやナンパをするとき、まず相手の姓を聞くといいます。なぜなら、同じ姓だと結婚できないという風習があるからです。と言っても、姓が同じだと何でもだめというわけではなく、本貫(その姓の始祖の出身地)まで同じだと非常にまずい。最も多い金海金氏は韓国人の9パーセントいると言いますから、1割近い異性とは結婚できなくなります(ただし、1999年に法的には結婚可能になりました)。

 

インセストはなぜ忌避されるのか

・さて、インセストのタブーは絶対的なものではないにしても、ほとんどの社会でインセストを回避する掟やシステムを作っていたのは事実です。このインセスト・タブーはどこから来たのか、これについては百家争鳴です。

 

・確かにインセストが否定されるのは「人間は身近な異性には性欲を覚えにくいから」だという説もあります。

 

・しかし、本能説には重大な反論があります。インセストを避けるのが本能なら、なぜ人間はわざわざインセスト・タブーなるものを作り出したのか、ということになるからです。

 

・「インセストは遺伝的に有害であり、人類は昔からそれを知っていたから禁じたのだ」という説もあります。

 確かに、チェコスロバキアの研究で、インセストで生まれた子供160名のうち、実に80名、50パーセントもの子供が先天的な疾患を背負っていたというデータがあります(非インセストの場合は10.5パーセント)。

 しかし、私たちの祖先はどうやってこの事実を知ったのか、という問題があります。

 

・さらに、インセストのタブーは、一筋縄ではいかないところがあります。交叉いとこ婚(異性のキョウダイの子供同士)はだめで平行いとこ婚(同性のキョウダイの子供同士)はいいとか、あるいはその逆だとか、第二・第三いとこ婚は禁じられているのに、より血縁が近い第一いとこ婚は認められるとかいった、およそ「科学的」とは言えないルールが存在するからです。また、文化圏により「近親」の範囲が違うという事実の説明もつきません。もし人類の祖先がインセストの遺伝学的な危険性を科学的に知っていたのなら、タブーのルールはもっと合理的で単純なものになっていたはずです。

 結局「なぜインセスト・タブーは存在するのか」は不明瞭で、文明の冥い霧の中に埋もれていると言わざるをえません。

 

動物とのセックス

アヒルとセックスすると結核が治る?

・ベトナムを旅していたころ、田舎の年配の男から、「鳥を食べるときは、目の前で絞められたのを確認してから食べなよ。それ以外は食っちゃだめだ

 と半ば笑いながら言われたことがあります。要するに、その鳥が人間の男から獣姦されているかもしれないので、うかつに食べると大変なことになると、親切に教えてくれたわけです。

 まあこれは冗談だと思いますが、世界には不可解な獣姦の習慣が多々あります。それらは、単なる性的傾向ですまされないものがあります。

 

日本の奇妙な性習俗

日本の性の奇習

《誘拐婚》

・「嫁かつぎ」「嫁盗み」と呼ばれる誘拐婚は、日本中に存在しました。

 

・なお、誘拐婚を行う理由はキルギスの場合と同じで、結納金を払えないからとか、認められない結婚を誘拐されたという形にして認めさせる、などです。また、大阪にも「ボオタ(奪おた)」と称する誘拐婚がありました。

 

《夜這い》

・私は、最近まで夜這いが行われていた徳島県の山奥まで、夜這いの経験者の話を聞きに行ったことがあります。夜這いはかなりの場所で高度成長期のころまで残っていました。古くは『竹取物語』『源氏物語』にも夜這いの記述があります。

 

・完全に村公認の制度なので、娘のところに誰も夜這いに来なければ、親も心配して、若い男たちに「たまにはうちにも夜這いに来てくれ」と懇願するほどでした。そうしないと、結婚の相手が見つからないからです。

 

・また「後家は村持ち」という言葉もあり、後家さんならどんな男でも夜這いを仕掛けてかまいませんでした。「半田・亀崎女のよばい」などという言葉も残っている通り、女が夜這いをしかける地域もありました。

 

《宗教売春》

・戦国時代に日本にやって来た宣教師ルイス・フロイスは、次のように書き記しています。

 

 日本では比丘尼の僧院はほとんど淫売婦の街になっている。(中略)日本の比丘尼はいつでも遊びに出かけ、時々陣立に行く。

 

・実際、比丘尼(びくに)(尼僧)は売春と密接に関わっていて、特に「歩き巫女」と称する巫女たちは、各地を布教して回りながら売春を行ったのです。

 また、日本の大きな神社の近くには、売春街があることが多いのです。代表例が伊勢神宮で、ここの近くには古市という有名な色街があり、かつては70軒もの遊郭が立ち並び、遊女たちが艶めかしい声を上げて春を売っていました

 いったいなぜ、神社の近くに売春街があるのでしょうか。それは、伊勢神宮に参拝する前に、男は「精進落とし」と称して遊郭で女を買う習慣があったからです。女も同様に、行きずりの男に身を任せ、厄を落としてもらうのが通例でした。江戸時代に流行った「お伊勢参り」は、売春ツアーとしての一面もあったのです。

 明治初期に日本を旅したイギリス人女性イザベラ・バードも「この国では悪徳と宗教が同盟を結んでいる。ほとんどの大きな神社は女郎屋に囲まれている」と書き残しています

 

社会的に認められた同性愛

・日本は昔から男性の同性愛に非常に寛容であったことが知られています。たとえば仏教寺院では女犯の禁が厳しかったので、僧侶が稚児と愛し合うのが当たり前でした

 戦国時代には、女性を戦場に連れて行くのは縁起が悪いとされていたため、むしろ衆道(男の同性愛)のほうが高尚だとされ、奨励されました。この時代に日本にやって来たキリスト教の宣教師は、あまりの男色の多さに驚き、激怒したという記録が残っています

 

・さらに江戸時代には、売れない男の歌舞伎俳優が性の相手をする「陰間茶屋」が人気を博していたことが知られています。

 

淫乱な日本

・もともと日本人は、世界的に見ても非常に淫らな民族として名を馳せていました。

 16世紀に日本にやって来たポルトガルの宣教師ルイス・フロイスは、次のように書き残しています。

 

 日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても、名誉を失わなければ、結婚もできる。日本では娘たちは両親にことわりもしないで一日でも幾日でも、ひとりで好きな所へ出かける。

 

・村では結婚前から夜這いをしかけるのは当たり前でしたから、処女の価値などまったくなかったのは当たり前です。また、処女の価値どころか、処女が忌避されてしまう文化も世界的には多い。

 

・さらに、幕末にペリー提督とともに来日した通訳のウィリアムズは、次のように驚倒しました。

 

 私が見聞した異教徒諸国の中では、この国が一番淫らかと思われた。体験したところから判断すると、慎みを知らないといっても過言ではない。婦人たちは胸を隠そうとはしないし、歩くたびに太腿まで覗かせる。

 

野蛮な文化が世界をリードする

・言うまでもなく、自分たちの文化だけが正しいと考える「自民族中心主義」は賢明ではありません。

 

《LGBT》(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー

 最近はLGBTQIA+とかSOGIとかとも言うようですが、性的マイノリティの権利を守らねばならない、という主張をよく聞きます。

 しかし、本書を読んでいただければ、性的マイノリティが当たり前に社会に組み込まれている文化も多いことに気づくでしょう(たいていは非キリスト教文化圏)。

 

《同性婚》

・日本では同性同士の結婚は法的には認められていませんが、アフリカには女性同士の結婚が昔から存在します(ただし意味合いは異なりますが)。

 

《代理母出産》

・これも日本ではまだ法的に認められていませんが、アフリカの「女性婚」はこれの先駆けとなっています(より肉体的なものですが)。女が不妊の場合、女が女と結婚し、「妻」に別の男をあてがって、かわりに出産してもらうというものです。

 

《結婚制度》

日本を含め先進国では、非婚率が上がっています。フランスでは半分近くのカップルが事実婚です。結婚制度そものが揺らいでいる、と言っていいでしょう。

 しかし、中国のモソ族には、もともと結婚制度が存在しません。

 

 


『秘密結社の日本史』

海野弘   平凡社   2007/9

 

 

 

<折口信夫の<まれびと>論>

<特定のおとづれ人>というのは、折口によれば、<まれびと>であり、彼方からやってくる神なのだ。蓑笠を着けた人は神であり、<まれびと>である。したがって、スサノオも<まれびと>なのだ。

 折口は<まれびと>を神であり、「古代の村村に、海のあなたから時あって来り臨んで、其村人どもの生活を幸福にして還る霊物」といっている。

<まれびと>は折口学の根本となることばである。彼は1921年、23年の沖縄の旅でそれを発想したといわれる。彼方からやって来る神とそれを迎える土地の精霊。両者の間に行われる神事、そこから文学と芸能が生まれる

 

この<まれびと>こそ、実は秘密結社であり、折口は、<まれびと>論において、日本の秘密結社を先駆的にとらえたのであった。しかし折口自身、それについてどのくらい意識していたかわからないが、あまり発展されず、結社としての<まれびと>は埋もれてしまった。<まれびと>の原型になったのは、沖縄の八重山のアンガマア、マユンガナシ、アカマタ・クロマタなど。異装して訪れて、祝福を与えて帰っていく民族神を知ったことであった。

 

・アカマタ・クロマタは、八重山群島で、稲の豊作をもたらす仮面仮装の来訪神である。この神事のために、村人から選ばれた祭祀集団がつくられている。閉鎖的な秘密結社で、入るために厳しい審査を受ける。入社式があり、内部には階梯があり、初年者をウイタビ、2年目をマタタビ、それ以後をギラヌムという。これはメラネシアなどの見られるプリミティブな秘密結社が日本にも入っていたことを示している。他には男鹿半島のナマハゲなどが知られる。

 折口は、蓑笠を着て、鬼のような面をつけてあらわれる来訪神を<まれびと>と考えた。<まれびと>は、秘密の異界とこの世を往来する。そして蓑笠を着けてあらわれるスサノオは<まれびと>とされる。

 

・スサノオを<まれびと>の密儀を行う秘密結社と見ると、いろいろ理解できることがある。スサノオは大国主命に、さまざまな試練を与えるが、これは結社への入社式の試練と見られる。

 折口信夫は、笠をかぶってあらわれる来訪神<まれびと>として、スサノオ、隼人、斉明記に出てくる鬼などに触れた。隼人は、異民族で、天孫民族に征服され、宮廷の雑役をしたり、芸人として使われていたらしい。また竹を編んで、籠や笠をつくっていたという。

 

・神話の中には、日本文化の最古層に沈んでいる海洋民族の秘密結社のきおくがひそんでいる。折口信夫はそれを、まれびと。と呼んだ。<まれびと>の秘儀の中の、ほかひ、語り、芸能、占い、そして秘密の技などを持ち歩く人々の集団の中に、日本の秘密結社の原型がある、と私は思うのである。

 

<日本に秘密結社はあるか?>

・なぜに日本に秘密結社はない、とされたのだろうか。島国であり、単一民族で、万世一系の天皇制だから、秘密結社が存在する余地がなかったと考えられたのだろう

後の歴史学は、日本の歴史も一本の流れではなく、複数の流れであることを明らかにしたはずだ。それにもかかわらず、<秘密結社>が見えてこなかったのは、戦後もずっと、戦前・戦中の史観の呪縛が解けていなかったことになる。

 

・綾部恒雄が触れているように、戦前にすでに、岡正雄は「異人その他」(1928)で、メラネシア、ポリネシアの伝統的秘密結社が日本文化の深層に沈んでいることを語っていた。それは折口信夫の<まれびと>の考えにつながってゆく、画期的な視野を持っていた。

 

・ここには、なぜ今<秘密結社>なのか、という問題へのヒントも示されている。<秘密結社>とは<異人><まれびと>(外からやってくる人・神)といかに出会うかを問いかけてくるものなのだ。

 だが、岡正雄の提案はこたえられず、日本は戦争に突入してしまい、<日本の秘密結社>は封印されてしまった。問題は、戦後になってもその封印が解けなかったことだ。戦争に敗れた日本はさらに自らに閉じこもり、異人とのつき合いに臆病になってしまった。

 

 


『異人その他』 

(岡正雄) (岩波書店)    1994/11/16

 


<異人>
・異人もしくは外人は、未開人にとっては常に畏怖の対象であった。あるいは彼らは、異人は強力な呪物を有していると考えて畏怖したのであろう。あるいは悪霊であるとも考えたのであろう。

・自分の属する社会以外の者を異人視して様々な呼称を与え、畏怖と侮蔑との混合した心態を持って、これを表象し、これに接触することは、吾が国民間伝承に極めて豊富に見受けられる事実である。山人、山姥、山童、天狗、巨人、鬼、その他遊行祝言師に与えた呼称の民間伝承的表象は、今もなお我々の生活に実感的に結合し、社会生活や行事の構成と参加している。


 


『異人・河童・日本人』 (日本文化を読む)

(住谷一彦・坪井洋文・山口昌男、村武精一)
(新曜社)  1987/11

 

 


<異人その他><日本民族の起源>
・アメリカ大陸の神話の中にスサノオ神話と同質のものが入っているらしい。もしそうだとすれば、スサノオ神話の歴史的な遡源は3万年近くまでさかのぼってしまうことになります。


・ストレンジャー(異人)が主役を演じる。


・大人(おおびと)というようなストレンジャーがあり、山姥が暮れに市に出るとその市が終わる、という話がある。


・経済史の中で、経済的な事象の中に「市に山人、異人、山姥、鬼が出現し、何程か市行事の構成に散ずるといふ事。つまり交易の相手たる『異人』の問題が考へられる」と書いておられます。要するに、ひとつの社会の対象化するために、そういうふうな異人が出現することが、いかに重要だったかということが、このへんで、明らかにされていると思います。

 

 

『秘密結社』
綾部恒雄  講談社    2010/10/13




<異人と祭祀的秘密結社>
・メラネシア又は
ポリネシアの社会生活の概念となるものはいわゆる秘密結社である。

・そのようなメラネシアやポリネシアの秘密結社の考察は、その様相、変型、フォークロア化の点で、日本文化史に与える暗示はきわめて深いと述べている。

1. 異人が幾度にか、季節を定めて訪来したこと。
2. 異人は先住民より亡魂、又は死者そのものと考えられたこと。
3. 異人は海の彼方から、来るものと信じられたこと。後には、山中の叢林より来るとも信じられるに至ったこと。
4. 異人は畏敬されつつも平和的に歓待されたこと。
5. 異人は食物の饗応、殊に初成物を受けたこと。
6. 異人は海岸地に住まずして山中の叢林に住みしこと。
7. 異人はdual  organization の構成の原因となりしこと。
8. 異人が土民の女と結婚する必要ありしこと。
9. 異人とその女との間に出来た子供が特殊な社会的宗教的性質を有せしこと。
10. 異人は入社式、男子集会所の起源をなしたこと。
11. 異人はその異人たることを表徴する杖、及び「音」を有せしこと。
12. 仮面が男女二つあること。女異人が山中に住むということ。
13. 異人が訓戒、悪事摘発をなし、豊作をもたらし、又はもたらさしめんことを任務としたこと。
14. 異人が季節殊に収穫季、冬至に関係したこと。 
15. 異人は季節が来ると、その出現を期待されたこと。
16. 異人若しくは神は常に村にとどまらないと信じられたこと。
17. 異人の出現の際は女子、子供は閉居したこと。
18. 異人のタブーが財産の起源となったこと。
19. 異人がフォークロア化して遊行歌舞伎団となったこと。
20. 遊行人は異装し、杖と音とを有し、饗応を強制し、或は掠奪を敢えてし得ること。
21. 遊行人が神話、神の系譜を語り、或は之を演技で表現すること。多く季節と関係して。
22. 遊行歌謡団から伊達者(man―woman)が発生したこと。
23. 彼等は民間信仰に於いては、侮蔑されつつも亦高き階級に属すとされたこと。

・すでに触れたように、岡の考察はメラネシアの社会史を範例として行われたのであるが、これらの異人にまつわる表象、状況、発展について暗示された諸項目は、
アフリカの祭祀的秘密結社の成立の事情を辿ることによっても、確認することができるのである。
                                                                                     

 

 

『世界を見る目が変わる50の事実』

ジェシカ・ウィリアムズ  草思社 2005/4/28

 

 

 

50の事実

•日本女性の平均寿命は84歳、ボツワナ人の平均寿命は39歳

•肥満の人の3人に1人は発展途上国に住んでいる

先進国で最も妊娠率が高いのは、米国と英国の10代

中国では4400万人の女性が行方不明

•ブラジルには軍人よりも化粧品の訪問販売員のほうがたくさんいる

•世界の死刑執行の81%はわずか3カ国に集中している。中国、イラン、米国である

•英国のスーパーマーケットは政府よりも多くの個人情報をもっている

•EUの牛は一頭につき1日2.5ドルの助成金を受け取る。年額にすると世界旅行が可能だ

70カ国以上で同性愛は違法、9カ国で死刑になる

世界の5人に1人は1日1ドル未満で暮らしている

ロシアで家庭内暴力のために殺される女性は、毎年1万2000人を超える

•2001年、何らかの形成外科手術を受けたアメリカ人は1320万人

•地雷によって、毎時間1人は死傷している

インドでは4400万人の児童が働かされている

•先進国の国民は年間に7キロの食品添加物を食べている

•タイガー・ウッズが帽子をかぶって得るスポンサー料は、1日当たり5万5000ドル。その帽子を作る工場労働者の年収分の38年分

米国で摂食障害を患っている女性は700万人、男性は100万人

•英国の15歳の半数はドラッグ体験済み。4分の1は喫煙常習者

ワシントンDCで働くロビイストは6万7000人。連邦議員1人に対し125人

•自動車は毎分、2人を殺している

•1977年以降、北米の中絶病院では8万件近い暴力事件や騒乱が起きている

•マグナルドの黄色いアーチがわかる人は88%。キリスト教の十字架はたった54%

ケニアでは家計の3分の1が賄賂に使われる

•世界の違法ドラッグの市場規模は4000億円ドル。製薬市場とほぼ同じ

アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている

拷問は150カ国以上で行われている

世界では7人に1人が日々飢えている

今日の米国に生まれる黒人新生児の3人の1人は刑務所に送られる

•世界で3人に1人は戦時下に暮らしている

•2040年に原油は枯渇するかもしれない

•世界の喫煙者の82%は発展途上国の国民

•世界の人口の70%以上は電話を使ったことがない

•近年の武力紛争の4分の1は天然資源がらみ

アフリカのHIV陽性患者は約3000万人

•毎年、10の言語が消滅している

武力紛争による死者よりも自殺者のほうが多い

米国で、銃を持って登校し退学になる生徒の数は、平均して週に88人

•世界には「良心の囚人」が少なくとも30万人いる

•毎年、200万人の女性が性器切除される

世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人

•英国では総選挙の投票者数よりも、テレビ番組でアイドル選びに投票した人のほうが多い

•米国のポルノ産業の規模は年間100億円ドル。海外援助額と同じである

•2003年、米国の防衛費は約3960億ドル。「ならず者国家」7カ国の防衛費総計の33倍

世界にはいまも2700万人の奴隷がいる

•アメリカ人が捨てるプラスチック・ボトルは1時間に250万本。並べると、3週間分で月に達する

•ロンドンの住民は、監視カメラで1日300回撮影される

毎年、西欧向けに人身売買される女性は12万人

•英国で売られるニュージーランド産キウイは、その重量の5倍の温室効果ガスを排出している

•米国は国連に10億ドル以上の未払い金がある

貧困家庭の子供たちは、富裕家庭の子供たちに比べて、3倍も精神病にかかりやすい

 

「50の事実」に何ができるか

・読み進めていくうちに、いくつかのことが明らかになるだろう。何より、世界を取り巻く問題の多くは、富める先進国と貧しい途上国との、醜い不平等に起因していることだ。

 

私は、これら50の事実が世界を変えると確信している。>

・「思いやりがあり、行動力のある人々は、たとえ少人数でも世界を変えられる――それを決して疑ってはなりません。実際、それだけがこれまで世界を変えてきたのですから」

 

中国では4400万人の女性が行方不明

・2002年10月、中国の新華通信社は最新の国勢調査を発表した。それによると、2000年には女児100人に対し、男児は116.8人生まれていた。そこには、かすかだがはっきりと警告の響きが感じられた。過去2回の国勢調査と比べても、この男女比は拡大している。『上海スター』 紙は、こうした傾向が続けば、約500万人の中国人男性が結婚相手を見つけられなくなると伝えた。そうなれば、家庭、経済、社会的サービスにも問題が生じるだろう。ある専門家は、自暴自棄になった男性による女性の誘拐が増えるとさえ警告している。

 

・この不均衡は、中国やインドをはじめ、東アジアや南アジアにおいて男の子を望む傾向が強いために生じた。女の子を望まない親たちは、性別診断で胎児が女児とわかると、中絶に走る。実際に生まれても、女児の多くは生後数日から数週間で殺されてしまう。親たちはそれを自然死に見せかけるために、手を尽くして警察や衛生当局の目を欺く。幸いにも生き延びた女児も、出生届は出されない。その結果、教育や福祉ばかりか、充分な食事さえ与えられない日陰の生涯を歩む。

 

・インド、中国、台湾の出生率は着実に下がりつづけて西欧並みになりつつあるが、それでも女児への偏見は根強い。

 

・出生登録をされない子供たちには、どんな運命が待ち受けているのか?法律的には、彼らは存在を認められていない。だから学校に行くこともできず、公的機関の診療も受けられない。彼らの生活条件は、ひどく限られている。

 

アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている

・30%の人々が「これまでに報告されている未確認飛行物体の一部は、他の文明からやってきた本物の宇宙船」だと答えており、45%のアメリカ人が地球外知的生命体はすでに地球に訪れていると回答している。

 

・実際、軍の発表と目撃者の言い分には食い違いがあった。エイリアンの死体が、いまやすっかり有名になったロズウェル空軍基地の「エリア51」に運びこまれるのを見たという人々もいる。1994年には、「エイリアン検死」の様子であるとのふれこみの怪しげなビデオも出回った。