日本が栞恫喝に屈すればどうなるか

・ひずたび、䞻暩ず独立を倱い、独裁に屈すれば、譊察暩さらには軍事暩たで倱われるこずになる。

 

・力で反抗を抑圧されれば、結局は、孫子に至るたで䞻暩も独立も民䞻䞻矩も取り戻すこずはできなくなる。固有の文化や䌝統、䞀般䜏民の暩利も倱われ、数䞖代経぀ず民族ずしおのアむデンティティは亡くなり同化されるであろう。それが歎史ず珟圚の䞖界の情勢が瀺しおいる教蚓である。

 

・栞を保有した独裁䜓制の隣囜による栞恫喝に屈しないためには、確実な栞抑止力の保持が必芁䞍可欠である。

 

迫られる日本の自力防衛

・この間、日本は自ら独力で地䞊戊を数カ月、最小限1カ月半皋床は戊い抜かねばならないこずになる。このような状況䞋で、䞭朝から栞恫喝を受けた堎合に、䞊蚘の米囜の栞の傘の信頌性䜎䞋を螏たえるならば、日本は自らの栞抑止力を持たなければ、恫喝に屈するしかなくなる。

 たた、栞恫喝に屈するこずが無くおも、数カ月に及ぶ長期の囜土の地䞊戊を戊わねばならないずすれば、それに耐えられるマンパワヌず装備、それを支える予備圹制床が必芁䞍可欠なこずも明癜である。

 そのためには、早期に憲法を改正し、囜民に防衛協力矩務を課し、䞖界暙準䞊みの防衛費を配分しお、長期持久戊に耐える囜防䜓制を構築しなければならない。それずずもに、日本自らの栞抑止力保有が必芁䞍可欠になる。

 栞抑止力ず自力で日本有事を戊い抜く戊力、特に残存力ず継戊胜力のいずれがなくおも、日本の防衛は党うできない。

 

倖囜人による日本栞保有賛成論

・北朝鮮は囜際制裁や米軍の軍事圧力にもかかわらず、栞ミサむルの開発を続けおいる。

 

・もずもず栞の傘など存圚しないずみるリアリストは、欧米には広く存圚する。「自囜を守るため以倖に、栞ミサむルの応酬を決断する指導者はいない」、たしお、栞戊力バランスが䞍利な堎合は、同盟囜のために栞報埩をするこずはありえないず、圌らはみおいる。

 

日本栞保有賛成論――アヌサヌ・りォロドロンの䞻匵

・日韓の栞保有に぀いおは、欧米の識者からも賛成論が日本囜内で報道されるようになった。

 オバマ政暩時代から、米囜内では日本の栞保有に぀いおは、その是非を巡り議論が出おいた。

 日本の栞歊装に拒吊反応を芋せるのは、米戊略囜際問題研究所のゞェナ・サントロ氏らが䞻匵する「日韓は速やかに栞歊装する科孊的胜力を持぀。日韓䞡囜が栞歊装した堎合は同盟を砎棄すべき」ずの匷硬論である。もずよりこのような䞻匵は米民䞻党に倚い。

 

・䞀方、米囜では䌝統的に、日本の栞歊装を「奚励」する声も少なくない。ゞョン・ボルトン元囜連倧䜿や囜際政治孊者のケネス・りォリツ氏らは、「囜際秩序安定のために日本は栞歊装すべきだ」ず説く。

 

・米囜の最も叀い同盟囜であり、米囜を最もよく知る英囜ずフランスもこうした考え方を共有しおいる。いずれも栞攻撃を受けた際に米囜が守っおくれるずは考えおいない。

 

・その問題に察する答えは困難だが、極めお明確だ。䞭囜は脅嚁であり、米囜が抑止力を提䟛するずいうのは神話で、ミサむル防衛システムだけでは十分でない。日本が安党を守りたいのであれば、英囜やフランス、その他の囜が保有するような最小限の栞抑止力を含む包括的か぀独立した軍事力を開発すべきだ。

 

・以䞊が、りォルドロンの䞻匵である。その芁点は、䞭朝の栞戊力が高たり、米囜が栞報埩を受ける恐れがあるずきに、米囜が他囜のために栞兵噚を䜿うずいう玄束は圓おにできないずいう点にある。

 すでに述べた、珟実の栞戊力バランスの倉化を螏たえるならば、このりォルドロンの䞻匵は、合理的な刀断に基づく、日本の立堎に立った誠実な勧告ずずるべきだろう。

 

日本栞保有賛成論――パット・ブキャナンの䞻匵

・「日本ず韓囜は北朝鮮に察する栞抑止力を確保するため、独自に栞歊装をするこずを怜蚎すべきだず䞻匵した」ず報じおいる。

 

・亀枉の結果、圚韓米軍が削枛されるような事態ずなった堎合に備え、日本ず韓囜は北朝鮮の短・䞭距離ミサむルの脅嚁に各自で察抗するため「自前の栞抑止力の敎備を怜蚎すべきだ」ず語っおいる。

 

日本栞保有賛成論――゚マニュ゚ル・トッドの䞻匵

・「日本は栞を持぀べきだ」ずの論文。

「米囜ぱリヌトずトランプを支持しおいる倧衆に分断され、その圱響力は䜎䞋しおいる。米朝は互いを信甚しおおらず亀枉は茶番劇であり、米囜の栞の傘は存圚しない」。

「東アゞアでも、南シナ海にみられるように米囜の圱響力は埌退しおいる。栞の䞍均衡はそれ自䜓が囜際関係の䞍安定化を招く」。

「このたたいけば、東アゞアにおいお、既存の栞保有囜である䞭囜に加えお、北朝鮮たでが栞保有囜になっおしたう。これはあたりにもおかしい」。

「日本の栞は東アゞア䞖界に、均衡ず平和ず安定をもたらすのではないか」。

「こう考えるず、もはや日本が栞保有を怜蚎しないず蚀うこずはあり埗ない」。

「栞ずは戊争の終わりであり、戊争を䞍可胜にするものなのであり、日本を鎖囜時代のあり方に近づける」。

 

・このように、トッドは欧州の立堎から、米囜の囜益を離れお客芳的に日本が栞保有すべき理由を瀺しおいる。特に「栞は䟋倖的な兵噚で、これを䜿甚する堎合のリスクは極倧」であり、ゆえに、「自囜防衛以倖の目的で䜿うこずはあり埗ない。䞭囜や北朝鮮に米囜本土を攻撃する胜力があるかぎりは、米囜が、自囜の栞を䜿っお日本を護るこずは絶察にあり埗ない」ず断蚀しおいる点は泚目される。

 

・その䞻匵の芁点は、栞は䜿甚のリスクがあたりに高いため、自囜の自衛にしか䜿えない、栞の傘には実䜓はなく、独自の栞抑止力を持぀べきだずいう点にある。

 蚀い換えれば、生存ずいう死掻的囜益を守り抜くために、胜力があるのなら、どのような囜も栞保有を目指そうずするのは圓然であるずいう立堎を、率盎に衚明したものず蚀える。珟圚の栞䞍拡散を建前ずする䜓制そのものを栞保有囜の識者自らが吊定した発蚀ずもいえる。

 

日本栞保有賛成論者の共通点ず日本ぞの教蚓

・以䞊の日本栞保有賛成論に共通しおいるのは、以䞋の諞点である。①米囜の力が䜎䞋しおおり、日本に提䟛しおいるずされおきた栞の傘の信頌性がなくなっおきおいるこず、②他方で米囜は、北朝鮮や䞭囜の栞戊力の向䞊に察し力により攟棄させたり阻止するこずができなくなっおおり、亀枉では日本に察する北朝鮮や䞭囜の栞脅嚁は解消できないこず、③そうであれば、日本は䞭朝の栞脅嚁に察し独立を守り地域の安定化をもたらすために、独自の栞抑止力を持぀べきであるずする、戊略的に合理的な察応策を提唱しおいる点である。

 日本の栞保有に぀いおは、日本人だけの問題ではなく、東アゞア匕いおは䞖界党䜓の安定化のためにも、必芁ずされる状況になっおいる。日本は既存のの枠組みにずらわれお思考停止するのではなく、どのような栞保有のあり方が望たしいかを真剣に考えるべき時に来おいる。

 

日本の栞保有は可胜か

『成功しおいた日本の原爆実隓』の出版

・その内容の抂芁は、以䞋の通りである。

・日本は第2次倧戊末の1945幎8月12日に、北朝鮮の興南沖合の小島においお、原爆実隓に成功しおいた。

 

・米囜のゞャヌナリスト、ロバヌト・・りむルコックスが40幎間远求した成果であり、2006幎以降、米政府内の機密文曞が元や元空軍の分析官によりりむルコックスにもたらされた。

 

・関係者ぞのむンタビュヌ、日本軍機密暗号電報解読文曞など米政府の機密情報に基づき怜蚌した史実を、1次資料の情報源ずずもに実蚌的に蚘述しおいる。

 

・理化孊研究所の仁科芳雄を䞭心ずする日本陞軍のニ蚈画の成果は、京郜垝囜倧孊の荒勝文策を䞭心ずする日本海軍の蚈画に継承され終戊たで継続された。

 

・倧陞を含め玄1億円の資金が投入され、海軍は倧和玚戊艊2隻分の資材を投入した。

 

・北朝鮮ず満州には豊富なりラン鉱石ず電力源があった。北朝鮮の興南には野口遵の倧芏暡な産業基盀が戊前から所圚し、栞爆匟補造に必芁なむンフラは終戊盎前の興南にはあった。

 

・日本は濃瞮りラン補造甚熱拡散分離塔、遠心分離機などの補造に成功しおいた。

现郚に぀いおは、ロバヌト・・りィルコックス著、矢野矩昭蚳『成功しおいた日本の原爆実隓』勉誠出版、2019幎を参照

 

・䞊蚘のりむルコックスの曞に蚘された、1945幎8月12日の北朝鮮興南沖合の小島で日本が原爆実隓に成功しおいたずいう事実の信ぎょう性は、本曞で立蚌されおいるように、極めお高い。もし日本が原爆実隓に成功しおいたのであれば、栞兵噚䞍拡散条玄の芏定に基づき、日本は同条玄で芏定する「栞兵噚囜」ずしおの資栌を有するこずになる。

 すなわち、日本は「1967幎1月1日以前に栞兵噚その他の栞爆発装眮を補造しか぀爆発させた囜」ずなり、日本は栞保有をしおも、違反を理由ずする囜際非難や制裁を受ける囜際法䞊の根拠はなくなるずいうこずを意味しおいる。

 

・たた、以䞋の事実も機密資料に基づき立蚌されおいる。

 ゜連は倧戊末に日本の興南を占領し、日本の各むンフラず科孊者を奪い栞開発を早めた。たた、䞭共の朝鮮戊争介入の目的も興南の栞むンフラ奪取にあった。北朝鮮の栞むンフラも人材を含め日本が戊時䞭に基盀を創った。蒋介石は1946幎から日本人科孊者を雇い秘密裏に栞開発を始めおいた。

 特に史実であるこずを裏付ける決定的事実は、米軍が朝鮮戊争䞭、興南に数週間留たっおいたこずである。米軍はその間に、培底した珟地調査を行い、日本が栞爆匟を最終的に組み立おたずする興南の北の山䞭、叀土里の掞窟ずその呚蟺斜蚭を確認しおいる。その調査結果は、本曞に蚘されおいる。

 その調査の間に、米囜は興南沖合の小島ずされる爆心地の残留攟射胜などの確実な栞実隓の蚌拠を盎接確認できたはずである。その米政府の、米軍の秘密資料に基づき怜蚌された結論が、この曞に明蚘されおいる。

 䟋えば、日本の原爆がトリりムずプルトニりムの「混合殻」を䜿った可胜性に蚀及しおいる。このような、戊埌も長らく機密ずされおきた特殊な栞爆匟の構造にたで蚀及しおいるずいうこずは、䜕らかの確蚌を米偎が持っおいるこずを瀺唆しおいる。

 

珟圚の日本の栞兵噚保有胜力

・技術的には、米専門家は、珟圚の日本なら数日で栞爆匟の補造が可胜ず評䟡しおいる。たた、日本の専門家も、技術的には数週から数カ月で可胜ずみおいる。その理由に぀いおは、「費甚察効果の面から芋た怜蚎」で分析したずおりだが、さらに付蚀すれば、以䞋の通り。

①  æ—¥æœ¬ã¯ç‰¹ã«äž–界で唯䞀、加盟囜の非栞囜でりラン濃瞮ずプルトニりム抜出を認められおいる囜であり、濃瞮りランもプルトニりム239も䞀定量を囜内に保有しおいる。

②  æ žå®Ÿéš“なしでもコンピュヌタヌ・シミュレヌションにより栞爆匟の蚭蚈が可胜なコンピュヌタヌ技術を保有しおいる。

③  æ žçˆ†åŒŸã®åŽŸç†ã¯å‘šçŸ¥ã®çŸ¥è­˜ã§ã‚ã‚Šã€æŠ‚å¿µèš­èšˆã¯ã§ããŠãŠã‚Šã€æ—¥æœ¬ã®æŠ€è¡“åŠ›ã‚’å‰æãšã™ã‚Œã°ã€è©³çŽ°èš­èšˆã‚’è¡Œãˆã°éƒšå“æ§‹é€ ã‹ã‚‰çµ„ã¿ç«‹ãŠãŸã§æ•°é€±ã‹ã‚‰æ•°ã‚«æœˆã§å¯èƒœãšã¿ã‚‰ã‚Œã‚‹ã€‚

④  åŒŸé“ミサむルに぀いおは、Ⅱ、Ⅱロケットの補助ブヌスタヌをに転甚可胜であり、栞匟頭を搭茉し投射する胜力もある。

â‘€  ãƒŸã‚µã‚€ãƒ«ã®èª˜å°ŽæŠ€è¡“、匟頭の再突入技術は「はやぶさ」などで実蚌枈み。

⑥  é€šåžžå‹•力型朜氎艊の氎準は䞖界䞀であり、原朜甚小型原子炉の囜産技術も保有しおいる。は、数幎で建造できる。

⑩  æ—¥æœ¬ã®äž­å°äŒæ¥­ã‚’含めた生産技術は䞖界䞀であり、蚭蚈通りの郚品を補造するのは容易。

これらの諞芁因を考慮すれば、日本なら数日でもできるずの米囜の専門家の芋方は、過倧評䟡ずは蚀えず、遅くずも数週間から数カ月以内には、栞爆匟の補造は可胜ずみられる。

 

コスト面ず技術的問題は

・第3章で分析したように、費甚察効果の面から芋おも、優䜍性はあり、コスト的にも十分に財政負担にも耐えられる範囲内である。操䜜芁員も少なくお枈み、マンパワヌも問題はない。ただし、開発に協力し秘密を厳守できる科孊技術者ずメヌカヌの確保に制玄があるずみられる。

 コストに぀いおは、䞀般的に、攟射性物質以倖の栞爆匟補造のみなら、数千䞇円ずみられる。最も高䟡なのは、米囜の䟋でも明らかなように、栞分裂物質の補造であり、日本の堎合はすでに囜内に保管されおいる。

 栞匟頭の抂念蚭蚈は容易であり、さらに詳现蚭蚈から補品補造に至るたでの総コストも、以䞊の条件を前提ずすれば、玄1億円以内に収たるずみられる。

 たた英仏䞊みの匟道ミサむル搭茉原朜4隻の補造・維持運甚に必芁なコストは、英囜の䟋から芋おも、米囜の䟋に基づく分析から芋おも、幎間玄12兆円皋床ずみられる。この皋床の増額分なら、財政的にも可胜であろう。

 

米囜の同盟囜日本ぞの期埅

・トランプ政暩は「米囜第䞀䞻矩」を唱え、や日韓など豊かな同盟囜に察しおは、自力防衛を期埅し、駐留兵力の削枛たたは駐留費の分担増、歊噚茞入の増倧などを芁求しおいる。

 たた倧量の死傷者が出る地䞊戊に぀いおは、極力避けお、同盟囜の自らの負担ずし、米軍はそれを「支揎しあるいは補完」するこずが、むラクやアフガンの䜜戊でも基本的な方針ずなっおいる。

 

・しかし栞戊力バランス䞊、䞭露ずの栞戊争に発展しかねない盎接亀戊ができないずすれば、自囜を栞戊争のリスクにさらしお日本に栞の傘を提䟛するこずはできなくなり、米囜ずしおは、日本に独自の栞抑止力を持たせるこずを容認するのが合理的な戊略になるであろう。

 そうするこずにより、米軍は日本を盟に、安党にアりトレンゞから䞭露の海空戊力を東シナ海・南シナ海で制圧可胜になり、オフショアバランシング戊略が遂行できるこずになる。結果的に、米囜地䞊軍の盎接介入は避けられる。

 

日本の栞軍瞮・䞍拡散ぞの取り組みは無にしないか

・こうした軍備拡匵競争や兵噚の拡散は、囜際の平和ず安党を損なうこずに぀ながりかねない。無制限に増倧した軍備や兵噚は、たずえ䟵略や歊力による嚁嚇の意図がなくおも、他の囜の䞍信感や脅嚁意識を高め、囜際関係を䞍安定にし、䞍必芁な歊力玛争を匕き起こすこずになりかねない。囜連憲章が、第11条で、軍備瞮小及び軍備芏制を囜際の平和ず安党に関連する問題ずしお䜍眮付けおいる理由は䞻ずしおここにあろう。

 

・日本の呚蟺囜では栞軍備増匷が進み、日本が䟝存しおいた栞倧囜、米囜の栞の傘の信頌性が䜎䞋しおいるこずは、すでに述べたずおりである。

 珟圚の日本が眮かれおいる状況は、日本が栞保有囜である「他囜からの䟵略や歊力による嚁嚇などから、自囜を防衛するために、軍備を必芁」ず感じる「厳然ずした事実」がある状況䞋にあるず蚀える。

 そうであれば、珟圚の日本の「軍瞮・䞍拡散の取り組み」のもずにおいおも、「日本自らが栞保有する」こずは、囜家安党保障䞊の合理的な理由があるのであれば、可胜であるず蚀える。

 

・埓っお、栞兵噚に察する軍瞮ず培底した削枛を求める運動に぀いおも、「ずりわけ米露䞡栞超倧囜の栞軍瞮の進展を求める声が高い」ずしお、米露の栞戊力削枛に運動の矛先を向けさせるずずもに、米露を埌远いする立堎の䞭囜自らは制玄を受けるこずなく栞軍瞮を進めるのを正圓化するこずを䌁図しおいる。

 

日本は䞖界䞭から経枈制裁を受けないか

・これたでの史実から刀断すれば、栞保有囜盞互間にも利害の察立があり、日本の栞保有にメリットを芋出す囜が出おくる可胜性が高く、日本が栞保有したずしおも、党面的な制裁や犁茞には至らないずみられる。

 䞭囜、むスラ゚ル、むンドが栞保有を詊みおいた段階では、フランスが支揎をしおいる。パキスタンに察しおは䞭囜が支揎しおいる。このように、すべおの栞保有囜が制裁に䞀様に加わるわけではなく、自囜の利益になるずみお支揎する囜が珟れるのが通䟋である。

 

栞拡散によるリスクをどう考えるか

・理論的には、リアリズムの立堎から、栞拡散それ自䜓を是認する、ケネス・りォルツのような芋解もある。すなわち、匱囜であっおも、残存性のある報埩可胜な栞兵噚を保有すれば、朜圚的な䟵略囜は物理的にも心理的にも抑止されるずいう芋解である。

 事実、印パ関係を芋おも、1998幎の印パの栞保有以降、翌幎にカヌギル玛争があったものの、それ以降倧芏暡な玛争は起きおいない。

 䞭東でも第4次䞭東戊争で、むスラ゚ル、゚ゞプトずもに、栞戊力を朜圚的に保有し互いに恫喝を加えたが、それ以降、倧芏暡な通垞戊争は起きおいない。

 

オフェンシブ・リアリズム

・本曞の目的は、日本が「栞時代をどう生き延びるか」ずいう芖点から、「日本独自の栞抑止力の必芁性ず可胜性」を論じるこずにあった。しかし、独自の栞抑止力があれば、それで日本の安党保障、防衛は盀石になるのかず蚀えば、そうではない。

 

・本曞のテヌマは、栞の脅嚁や栞戊力を背景ずする恫喝にどう察凊するかずいう点にあった。その手法ずしおオフェンシブ・リアリズムの芳点から、独自の栞抑止力を保持し、盞手に報埩の脅嚁を䞎えるこずが最も確実でか぀安䟡な手法であり、日本もその遞択を採るべきだずいうのが、本曞の結論である。

 しかし、抑止力の効力には限界がある。䜙りにも䜎い烈床の脅嚁に察しお、行䜿した堎合に戊いの烈床が䞀気に䞊がるこずが予想される栞による抑止手段は、抑止される偎からみた抑止力行䜿のもっずもらしさは䜎くなる。その結果、栞抑止力の効力が機胜しにくくなる。

 

・そのためには、少なくずも䞖界暙準䞊みの2皋床の防衛予算を配圓し、有事には囜民の1皋床が戊える正芏軍ず予備圹からなる通垞戊力も必芁になる。たた、すでにその動きはあるが、サむバヌ、電磁波、宇宙人などの新空間での戊いぞの備えも早急に固めなければならない。情報戊、心理戊などの゜フトパワヌの戊いや総合囜力の戊いに぀いおも、囜家レベルの察応が必芁である。

 ただし、各皮の抑止力の䞭でも、栞抑止力の信頌性の問題は、囜家安党保障の根幹をなす課題であり、その信頌性を維持するこずなしには、他の斜策をずっおも深刻な囜家間の囜益察立の局面では、盞手の芁求に屈するしかないずいう珟実は、今埌ずも倉化はない。

 重芁性が高たっおいる、䞊蚘の新領域での戊いや平時の戊いも、結局は栞戊争たで想定した各段階の抑止力ず、その前提ずなる打撃力、残存報埩力を、いかに枩存し最倧限に発揮するかを狙いずしお構築されおいるず蚀える。

 

・たた、新しいシステムも確実に栞ミサむルを撃墜できるわけではない。栞は1発炞裂しおも数十䞇人以䞊の被害が出る。䟝然ずしお栞の絶倧な砎壊力に察する確実な抑止手段は、盞手に恐怖を抱かせるに足る、栞戊力の保持しかないずいうべきであろう。

 日本には独自の栞戊力を保有する必芁性があり、その可胜性もある。唯䞀の被爆囜ずしお、被爆者の無念の思いに報い、その思いを繰り返させないためにも、独裁囜の栞恫喝に屈するこずなく独立ず䞻暩を守るためにも、独自の栞抑止力保持が必芁ずなっおいる。それを実珟するか吊かは、䞀に日本囜民自らの決断にかかっおいる。

 

 

 

『軍事のリアル』

 冚柀暉    新朮瀟   2017/11/16

 

 

 

米囜安党保障戊略の揺らぎ

・米戊略囜際問題研究所シニアアドバむザヌの゚ドワヌド・ルトワックは、1財務省ずりォヌル街は「芪䞭」である、2囜務省は「芪䞭」ず「反䞭」の間をゆれる、3囜防総省は「反䞭」である、ず蚀っおいる。

 圌は、財務省が「金融」にしか関心を持たず、そのため米補造業が凋萜したず非難し぀぀も「財務省・りォヌル街ず䞭囜は利害共同䜓になっおいる」ず述べたうえで、囜務長官のヒラリヌ・クリントンはやや「反䞭」だったが続くケリヌ長官は「より芪䞭」で、その意味で囜務省は「反䞭」ず「芪䞭」を右埀巊埀しおいる、ずしおいる。しかし、米海・空軍にずっお、䞭囜は少なくずも蚈画・調達の目的の䞊では、明らかに将来の「䞻敵」になっおいる、ず述べおいる。

 

・では、米囜の軍事戊略ずは䜕なのか。考え方はいろいろある。䞻芁なものを以䞋に列挙しおみよう。

1.  ã€ŒïŒˆ1北朝鮮が残存性のある栞胜力を持぀可胜性を螏たえ抑止力ず即応䜓制を構築すべきである、2同盟囜・友奜囜の軍事胜力向䞊を掚進すべきである、3䞭囜ずの摩擊䜎枛に努力すべきである」ずの3぀の提蚀をしおいる。぀たり「米囜のアゞア・リバランスは北朝鮮察応が䞻目的であり、党䜓ずしおは米軍自身ではなく同盟囜、友奜囜に期埅し、しかも䞭囜ずは敵察しないように」ず蚀っおいる蚳である。

2.  2010幎の米囜の4幎毎の戊略芋盎しに゚ア・シヌ・バトルずいう蚀葉が珟出しお以来、日本では「これが米囜の新戊略だ」ず誀解する人々が増えた。圌らは、その盎埌にクリントン囜務長官が「アゞア・リバランス」ずいう蚀葉を甚いたこずもあり「これからの米囜戊略は察䞭戊略が党おであり、それが海・空戊略である」ず早合点しおしたったようである。

 

・あれだけの陞軍軍拡をし、海空軍軍瞮をすれば、海空軍の䞍満が高じるのは圓然である。そこで「海空軍には将来に備えお欲しい」ず予算の぀かない玄束ずしお提瀺されたのが「゚ア・シヌ・バトル」だったのである。

 

1.  ã€Œäž­å›œãŒæŽ¥è¿‘阻止・領域拒吊2をやっおいるのだから、それに察し日本も䞭囜に察し2をやれば良い、そうすれば日本を隘路の門番にしお䞭囜軍を分散させ、米軍はもっず効率的・攻撃的な䜜戊に集䞭できる」ずいい、これを受けお日本でも、南西諞島呚蟺に自衛隊を配備しおその2を準備しよう、ずいう動きが盛り䞊がり、既にその䞀郚の準備が進められおいる。

 

1.  ã€Œã‚ªãƒ•ショア・コントロヌル戊略」は「同盟囜ず協力し぀぀䞭囜による第1列島線以東、以南の海掋䜿甚を拒吊しお島嶌を防衛し、その領域を支配し぀぀遠くから䞭囜のシヌレヌンを封鎖しお経枈消耗戊にもち蟌む」ずいうものであり、圓初から日米韓など南シナ海経由シヌレヌンを攟棄したものであった。

 

・ザック・クヌパヌ研究員は、もっず積極的に日米海軍自衛隊が共同しお南シナ海での譊戒掻動をすべきだず提案した。

 

1.  2぀の面癜い情報が入っおきた。1぀は米囜の囜家安党保障䌚議が囜防総省に察しお「倧囜間の競争」や「䞭囜ずの競争」ずいう蚀葉を䜿甚しないようにずいう指瀺を出したずいうものであり、2぀目は米海軍トップの海軍䜜戊郚長が「今埌米海軍においお2ずいう甚語を䜿甚しないず発衚した」ずいうものである。・䞻なものでも、米軍事戊略にはこれほどのバリ゚ヌションがある。䜕れにせよ、生煮えの米戊略案を远いかけ、それに合った日本の戊略を論ずるこずは犁物である。

 

オフショア・バランシング戊略ずトランプ倧統領

・数幎前に、米囜に朜圚する幟぀かの軍事戊略案を少し勉匷しおいた。その䞭に、これたでに述べおきたものずは趣を異にする「オフショア・バランシング」ずいう戊略があった。それは、

 

 

1.  ç±³å›œçµŒæžˆç™ºå±•のため、米囜は䞭囜ずの軍事察立を避け良奜な関係を保぀、

2.  ã—かし、䞭囜軍事力が米囜以䞊のものになるのも困る、

3.  ã“のため、䞭囜に察しおは、北のロシア、西のむンド、東の日本から、軍事的に牜制させる、

4.  ãã®ãŸã‚æ—¥æœ¬ã«ã‚‚栞兵噚を持たせる、

5.  ã‚ªãƒ•・ショア沖合に退いおはいるが所芁に応じお戊力投射できる準備はしおおく、

 ずいうものであった。

 

・それから数カ月を経お、トランプずいう米倧統領候補が、圌らず抂ね同様のこずを蚀っおいるこずを知った。今床は、このネオリアリストたちがトランプ倧統領のスタッフたちに、どういう圱響を䞎えるのかを芋守っお行きたい。

 

・戊埌70幎の䞖界は、囜際協調グロヌバル化ずいう䞍可逆な流れの䞭にあるず考えられおきたが、実は今、100幎呚期の「䞖界分裂」ずいう、より倧きいうねりを迎えられたのかもしれない。

 この状況の䞭から劂䜕に新しい囜際協調を生み出すのか、それずも本圓にたたブロック化の時代が来るのならどのブロックに属しお生きのびおいくのか。囜民1人1人が真剣に考えるべき秋ずきを迎えたようである。

 

ミサむル防衛の限界ず民間防衛

・北朝鮮による栞匟頭ミサむル攻撃に察しお、日本のミサむル防衛システムでは察応できないこずは、第5章で述べたずおりである。

 そこで日本も、艊艇搭茉の非栞巡航ミサむルなどにより敵基地を攻撃できるようにしおは、ずいう意芋が20幎も前からある。

 

・ずいうこずになれば、本圓に栞攻撃から身を守るのであれば、日本でも「栞シェルタヌ」を準備しお囜民を守るしかない。「栞シェルタヌ」は1次攟射線や爆颚を避けるだけでなく「栞の灰フォヌルアりト」やそこから発せられる2次攟射線による被曝を避けるものずしお有効である。スむス、むスラ゚ル、ノルりェヌ、アメリカ、ロシア、むギリス、シンガポヌルなどでは、50100の高率でシェルタヌが準備されおいるず聞く。日本では0.02である。「日本は栞兵噚を認めおいないからシェルタヌも認めおいないのだ」ずいう蚀い蚳は、党く理屈になっおいない。

 

・せめお、各郜垂にある地䞋街に空気枅浄機濟過噚を蚭眮し、そこに避難した人々が2週間皋床暮らせる備蓄食料ず䞊䞋氎道を完備するこずぐらいは実行しお貰いたいのだが、この「民防」を進んで担圓する圹所は、いたのずころ囜にも地方自治䜓にもない。無論、譊察も防衛省もそれを担圓する䜙力を持っおいない。こうした準備は囜民1人1人の意志ずその芁求によっお初めお実珟するものである。