エアリードXがまだリリース前の時、泉州さんの工房で三塚さんがX公開前の作品を吹かせてくれました。

「山田さんなら、値段設定をどの位が妥当と思いますか?」

と尋ねられたことを覚えています。

具体的な数字は言いませんでしたが、

「サックスで言えばセルマーのように、後世までその種の楽器のスタンダードになるような存在として、付加価値がいると思います。」と答えました。

「そうですね。そのあたりのことが、なかなか理解してもらえません。」

と仰っていました。

価値あるもの、時代を変えるものは安売りをしてはいけないと思う。という意味を込めていましたが、消費者として今となっては安売りをしてほしかったのも本音です。

翌年、発売直前にお邪魔したとき、

「難しかった歌口周りのデーターが最終決定できました。」

とも仰っていました。

ずいぶんこの部分にも試作改良を重ねた事だと思います。

 

話は変わり、3D尺八で長管の歌口はやはり特殊な設計が必要になってくると思います。

D管までは猛林さん提供の歌口に加工を加えて流用していましたが、A管になるとそうも行かない。

私としてもデーターはだいたい決まりました。

太くなるため、あご当たりは大きく落とします。

内径が大きくなりますが、あごを当てる部分の内径は、通常尺八に近いほど絞り込みます。

よって内部にはなだらかな段差が付きます。

泉州管の場合、竹の長管は必ず節を残し、息返しがあります。

エアリードX331Aの本物は見たことがないですが、私はこのような形にしてみました。

 

細かな調整はこれからですが、この形状で行ってみましょう。

昨夜、外形竹タイプの1尺6寸Xのデーターは完成しました。

こちらも固まれば、プリントアウトに出すのも近いです。

ちょっと歌口のr曲線が今一かな。

量産するわけではないので、プリント出力後の現物調整研磨分も残しておく事としましょう。