Xタイプ内径の塩ビ管尺八はほぼ思い通りの結果が出ました。オリジナルのエアリードXと比較し差が出るのは高音域伸び。

無垢のアルミ削り出しと、塩化ビニルの差がここで出ます。しかし、昨日倶楽部で多用し試奏していたところ、塩ビXの音色も心地よいと言ってくださる方もありました。ただ、

「山田さん、やはり私らには型まで作って変形させることまではできませんわ・・」

との声も。

塩ビパイプをそのまま使って良い鳴りにするには・・とは皆考えることですね。

1、菅尻を熱し広げる

Makoさんが、ちょうどよい道具を紹介してくれました。

調理用金属計量カップ。熱して押し込む。

私も買いました。ついでに半球形のも。

これはダイソーでなく、同じ100均でもCan Doにあります。

2、一番硬質なHT管を使う

茶色のパイプですね。ただし熱処理をするなら、黒か灰色のパイプです。

3、できるだけ大きな指孔にし、内部も斜めに広げる。

これが今回の実験。

現代のベーム式フルートは、本体内径はほぼ同じ(頭部管は違うが)ですが、トーンホールの直径を15~18㎜くらいまで広げる事により均質な鳴りを維持していると思っています。金属のキーでフタを開閉することで可能になりました。

塩ビ管で尺八を作ると、再低音の筒音はよく響きますから、指孔を限界まで広げ、さらに断面内側も円錐状に内部に広げると、鳴りはどうなるか?全音筒音のような共鳴動作に近づけるために。効果はいかほどか?

昨日倶楽部に行く前に試してみたくなり、40分ほど工房に寄り道しやってみました。

端切れのパイプを仮につないで、全長と指孔の位置を探るため試作。普通の尺八の長さよりも短くなりますから、予備実験は必要です。

今回指孔も直径12mmにしてみるので、この位置も試作で決定。仮に作ってみてどちらに何ミリ移動させるか確認します。

さあ、HTパイプで本番

手元にあった12Φの木工キリで開けてしまう。

内部を全周斜め45度くらいまで削ってみる

ざっくり完成

HT管は熱変形させにくいので、菅尻は3㎜の厚みぎりぎりまで削って広げる。

仕上げて

歌口はこの部分に手を加える。

両サイド加工 これで一気に音量と艶が増します。私の吹き方では・・・・

倶楽部練習前の思い付きで作っていったストレート菅(茶色)ですが、最近の2作品同様練習で試してみました。

同じ音程でもこれだけ全長と指孔位置が変わります。

結果は・・・・今回の加工はかなり効いています。ストレート菅としてはこれは限界まで鳴らした感じです。

でも曲を吹くと、やはり吹きやすさに限界を感じます。一曲吹いてやめた。

銀と黒の内径調整菅は心地よく、他の楽器(竹やエアリード331D)と比較してもそれなりの良さを感じました。

塩ビストレート管尺八は、体験や学生向け授業で100本以上作ってきましたが、やはり限界を感じます。

ただ、指孔を大きくし、指孔内部をえぐる(音程が上がるので注意)、熱処理で菅尻を広げる、の三つで性能は上がることは確認できました。