浮世絵師、歌川広重の「名所江戸百景」のうちの第48景水道橋駿河台という作品。町人の間に広がった、端午の節句に鯉の吹き流しを掲げる習慣をドラマチックに表したもの。武家は、陣地に立てる長方形の幟(のぼり)を立てていたそうです。


かつて美術館に勤めていた時代には、この作品も手元にあったので近くでまじまじと見入っていました。特に印象的な構図の浮世絵でした。同じく大橋あたけの夕立も、亀戸梅屋舗も。


何で鯉なのかと諸説あるそうですが、中国の故事によるらしいです。黄河の竜門という場所の滝を様々な魚がこぞって登ろうとした際に、鯉だけが見事に登ったという後漢書の記述から、立身出世の象徴で縁起が良いとされたことによると。



初めは、和紙の黒色の真鯉だけを飾っていたのに、時代の変化とともに、現在のようにカラフルな色で家族を表したり、昭和30年頃からは合成繊維になったりと移り変わりました。


そんなゆかりのある鯉のぼりを、人工の滝が流れて、滝の音が心地よい広場に飾れるなんて素敵じゃないかと勝手に思う私です。


このまま、雨や強風が吹かなければダメージも少なく、来年も問題なく飾れます。飾るよりも、実は回収した後の補修が大切です。茨城の竜神峡の鯉のぼりとかもきっと数が多くて大変だろうなと思います。風で切れたり、雨で傷んだり、するからです。


それでもたくさんの子ども達が、ご年配の方が上を見上げて喜んでいる様子はステキな景色です。


明日がこどもの日、本番。子ども達の健やかな成長とあわせて、子ども真ん中社会の実現を願いつつ😌