EdTeckとは、教育Educationと科学技術Technologyを組み合わせた造語で、最新テクノロジーによって、これまでの教育をよりよく変えていくことを目標にしています。EdTeckを活用することによって、教育環境を取り巻く既成概念を打破し、未来志向の環境整備をしていくことが期待されています。板橋区の教育現場においても、電子黒板やタブレット端末の導入、通信環境の整備、さらにコンテンツとなるデジタル教科書の導入など最低限のICT機器の整備が整ってきています。環境を生かして教育効果を高める施策が期待されています。
「学校の『当たり前』をやめた。」の著書で麹町中学校の工藤雄一校長は、宿題を廃止し、中間期末テストも廃止しました。その著書の中で、「学校とは子供たちが社会の中でよりよく生きていけるようにするためにある」と想いを語っています。まったくその通りだと共感をし、提案します。
授業の動画のデータが活用を図られることに、賛否はあるかと思いますが、学校の授業での意義がゆらぐことはないと思っています。学校の授業では、すでにアクティブラーニングなどのライブ感のある授業を展開したり、教室でしかできない相互学習の機会も多く設けたりしています。
教員も動画を参考に授業の改善を行ったり、動画やタブレットを活用し分からない箇所の自習を促すことができるようになることで、授業の質の向上につながります。動画を用意することで、授業が分からないときには何度も見返すことができ、不登校や長期欠席になる場合でも、保健室や自宅から視聴することで自主学習を支援することが可能になります。
教育委員会の教育現場にICT機器を導入し、これからも推進していくという方針に賛同していますし、今後も進めていくべきだと思っています。一方で、国が小中学校にPCやタブレット端末のどちらかを一人一台となるように無償配備し、高速通信も整備する方針が示されました。プログラミング教育が始まる小学5年生を優先し、2024年には、全児童への配備を完了するとこのことでした。初期費用の手当を全額国が行うのは喜ばしいことですが、IT機器は耐用年数が短く、更新の度に少なくないコストがかかることが見通せます。また、授業に活用するためには、教員のための研修等も必要になるのではないでしょうか。これらの課題についても国の事業スキームを明らかにした上で、慎重な計画が必要と考えます。
いずれにしても、整備された環境をいかして、一人でも多くの生徒児童が長期欠席や不登校という困難な状態を脱して、社会を担う人材として健やかに成長することができるかが重要です。そのためには従来型の教育手段の意義を問い直し、麹町中学校の工藤校長先生のような改革を進めなければならないとの想いを伝えて、この項の質問を終えます。
つづく