れきしくん

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読書レビューと歴史考察と投稿ネタが主な記事です。本を読むのは好きですが文章を書くのは余り好きではありません。大河ドラマは新選組!から欠かさず見ております。阪神ファンで隠れハルキストで藤子不二雄先生を尊敬しております。

二十世紀アメリカの作家コードウェイナー・スミス(1913~1966)の小説『ノーストリリア〈人類補完機構〉』(1975)を読みました。



コードウェイナー・スミスと言えばSF小説の〈人類補完機構〉シリーズで有名ですが、自分も以前このシリーズにハマって当時邦訳されていた作品『鼠と竜のゲーム』『ショイヨルという名の星』『第81Q戦争』(以上短編集)『ノーストリリア』(長編小説)はみな読んだのですが、短編はどれも良かったのだけど唯一の長編である『ノーストリリア』だけは今一だったので今回久しぶりに読み返してみることにしました。(詰まらなかった本は元取るために再読することにしている)

ノーストリリアの語源がオーストラリアであるという(エロトピアとユートピア、ボッキーニとズッキーニみたいな)そんな基礎的なことすら覚えていなかったので、再読というよりほとんど初読みでしたが今回は楽しめました。

この小説の見所は人類のはるか未来の異質な社会の有り様ですが、現代社会のパロディと捉えられる部分もあって中々に笑えました。



「わかったわ、お父様。(略)  いったいあたしに何をさせたいの?」

「結婚だ。この宇宙で史上最高の大金持の男と結婚してほしい」

「それだけ?」ルースは笑った。「もちろん、結婚します。外星人と結婚するのは今度が初めてだけど。もう、その男とデートを決めてくださったの?」

「わかってないな、ルース。これは地球式の結婚じゃない。ノーストリリアの法律と慣習では、女が結婚する男は一人、結婚は一生に一度。しかも生きている限り、その結婚は続く」

「そうなると、話は全然別ね。まず、その男を見なければ……」



この小説は前半と後半に分かれていて(明確な区別はないけれど)、それが一冊の本に纏められたのは作者の死後9年経ってからでした。前半(ノーストリリア編)はやや退屈でしたが後半(地球編)は怒涛の展開で面白いのでこれから読まれる方は辛抱強く読んで下さい🤗





★★★★☆