恐竜になった夢 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 恐竜になった夢を見た。身体は巨大だったが、動作は鈍かった。四本の脚でしっかりと地面を踏み締めながら鬱蒼とした密林に立っていた。群れで行動しているようで、周辺にも私と同じくらいの大きさがある恐竜達が十匹くらい集っていた。

 どうやら草食であるらしく、私は長い首を伸ばしながら木々の枝から果物を齧り取っていた。太くて長い舌の表面に豊かな甘味が広がった。果実の中に石ころのように硬い種があったが、私の歯はそれも容易に噛み砕いた。ただし、苦々しくて美味しくなかったので二個目からは果肉だけを飲み込んで種は吐き出すようにした。

 よく見ると周辺にいる他の恐竜達は葉を食べていて果物には関心がない様子だった。ひょっとすると、私とは違う種類の恐竜なのかもしれなかった。その世界には鏡がないので私は自分の姿を確認できなかった。

 試しに葉を食べてみたが、やはり舌には合わなかったので私はすぐに吐き出した。ひどく苦かったので何度も咳き込んだ。すると、周辺で食事を取っていた恐竜達の視線が一斉にこちらに集中した。彼等の目付きから自分に対する親しみを感じられなかったので私は居たたまれなくなった。しばらく食事を中断し、果物を食べている姿を見られないように用心した。

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